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序章 第六話 闘氣(オーラ)

用語説明w


セフィリア

竜人の女性で龍神皇国の貴族ドルグネル家の若き当主。ドルグネル流武器術を修め、騎士としても活躍中。その長く美しい金髪から、金髪の龍神王と呼ばれているドラゴンエリート


「な、何だあいつは!?」


ヤマトが振り返って、口をあんぐりと開ける



「グオォォォォッ!!」


新たに現れたのは、巨大な身体

二足歩行のそれは人類と共通であり、一見して巨人のようにも見える


しかし、その姿は生物のそれではない


真っ黒に変色した皮膚

所々、水泡のようにぶくぶくと腫れあがっている



「し、死体…?」

フィーナが言う


「あれはドラウグか。珍しいアンデッドだな」



ドラウグ


アンデッドの一種で、魔属性魔力が蓄積した死体

黒く腫れた死体の姿であり、雪山などの閉ざされた地域に埋葬された死体が長い年月をかけて変化したモンスター


ゾンビやブラックゾンビの上位モンスターの一種であり、場合によってはBランク以上の戦闘力を持つ

巨人のような体躯は、死体が成長した証だ



タワーシールドを構えたコリントが前に飛び出す

大きく振り上げた拳を叩きつけるドラウグ



ゴガァッ!


「ぐおぉっ!?」



あまりの威力に後ずさるコリント

だが、体勢は崩さずに二本の足が作り上げた、電車道のような溝が地面に刻まれる


逆に、全力の攻撃で前のめりに体勢を崩したドラウグ

その拳にロングソードを叩きつけると、衝撃で叩き潰されて弾けた


「す、すげぇっ、ただの打撃がなんつー威力だ!」

ヤマトが驚く


「あれがコリントの闘氣(オーラ)の強さよ」

セフィ姉が言う


闘氣(オーラ)とは、肉体の力である氣力と精神の力である精力(じんりょく)の合力、闘力の技能


身体に纏うことで物理作用(バリア)、身体に満たすことで身体強化作用を得る

そして、防具や武器を闘力で覆うことで強化保護作用を持つのだ


更に、応用として闘氣(オーラ)を集中させる使い方がある

攻撃の際に武器に闘力を集中、防御の際に盾や攻撃を受ける箇所に闘力を集中させることで、任意の部位を硬化させられるのだ


コリントは、ロングソードに闘氣(オーラ)を集中させて高い攻撃力を作り出す

しかし、その反面、その他の部位の闘氣(オーラ)が薄くなるため、カウンターには注意する必要がある



闘氣(オーラ)は、魔法や特技(スキル)よりも隙が無い攻撃に転化できる。ある意味、無属性攻撃なのかもしれないわね」


魔導法学におけるエネルギーとは、必ず属性を持つ


属性は大きく分けて六つ


・熱属性

・物質属性

・物理属性

・生命属性

・魔導属性

・時空間属性


これらのカテゴリの中に、例えば熱属性の中には火属性と冷属性が属しており、全部で三十六属性が存在する


そして、魔導法学において、この属性に属さないエネルギーは存在せず、無属性の攻撃もまた存在しない

つまり、魔法と特技(スキル)は、必ず三十六種類の属性のどれかに属しているのだ


しかし、闘氣(オーラ)は魔法や特技(スキル)とは違って、物質を強固にするという性質のみを持つ

そのため、闘氣(オーラ)は物理攻撃を強化するだけの力であり、ある意味、無属性の攻撃とも言える



「イディ、アーロン、足止めを」


「了解しました!」


セフィ姉が動く


「セフィリア様!」


「ええ、お願い」


セフィ姉が純白の双剣の一本を構える


あれは、聖属性聖光魔法

聖属性の攻撃魔法であり、生物を焼き尽くし、アンデッドを消滅させる高位魔法だ


聖光魔法をフィロメナが矢に付加、そのまま射出

遠距離から、対アンデッド攻撃魔法が炸裂し、ドラウグの身体が爆発して消滅していく



「す、凄い…」


「セフィリア様は、私たち魔法使い以上の高位魔法を習得しているの。それに噂だと、竜族の力が無いと使えない限定魔法、竜言語魔法を使えるなんて噂もあるわ」


「そ、そんな魔法が…」




「ギャルルルルルアァァッァァアアアアアアッッ!」


ドラウグが奇声を上げながら、短距離走のようなきれいなフォームで走り出す

身体が崩れながらも、美しい姿勢で疾走


そのアンバランスさがたまらなく不気味だ



ゴッ!

ドガァッ!


「ぐおぉぉっ!!」


アーロンがギリギリで持ちこたえるが、あまりの力の差に、そのままドラウグに引きずられる


「このっ!」


「ヤマト、無理をするな!」


イディが、同じくドラウグに引きずられながら手を離さないヤマトに言う



あれが、本職の前衛の力

本能で暴れ回るモンスター相手に喰らい付き、致命傷を避けるための、頑強さと強靭さを得る闘氣(オーラ)の力だ


ヤマトは、騎士学園時代から生粋の前衛職

強靭な身体能力でパーティを守る壁役(タンク)でありながら、強力な近接攻撃でモンスターを撃破するアタッカーでもあった


俺の憧れ

そして、嫉妬の対象でもある


前衛職に必須の闘氣(オーラ)


俺には、この闘氣(オーラ)のための闘力が少ない

前衛職のような、強力な身体能力を持っていないのだ



パキキキッッ!

カッシャーーーーン!


ボボォォッ!!



イージュンとフィーナの冷気と火炎の範囲魔法が直撃

その勢いのまま、ドラウグが体勢を崩す



フィーナは、後衛のエース

数々の魔法を操り、攻撃だけでなく補助や回復もこなすパーティの主力


俺たちのパーティは、フィーナが強力な魔法を発動するまでの時間を稼ぎ、最後に吹き飛ばすのが常勝パターンだった


俺には、フィーナのような魔法の才能もなかった

魔力も少ない、使える魔法の種類も少ない

そして威力も高くなかった



バッチャァァァァァン!



豪快にドラウグが足を滑らせて転倒

ミィがボウガンに水属性潤滑魔法を付加して発射し、足元を滑らせたのだ


ミィはパーティの裏方

司令塔であり、パーティの生命線である資金集め担当の生粋の商売人


次々と作戦を立案

数々の奇策で資金を集めて必要なアイテムを買い揃え、下準備にも余念がない


更に、ボウガンによる遠距離攻撃と水属性を中心とした補助魔法や弱体化(デバフ)魔法を駆使し、パワーは無いものの凶悪なモンスターを搦め手で沈めて来た


ある意味、力の無い俺が参考とするべきスタイルだった


だが、ミィの凄さはそれだけじゃない

その意思の強さが飛びぬけている


ミィは言った

凄い才能を、私はお金を稼いで叩き潰したいと


そして、実際に騎士学園で金儲けをし、先生の叱責もどこ吹く風でアイテムと装備を買い漁った

その結果、俺たちのパーティは、セフィ姉が持つダンジョン踏破階層の学園記録を叩き出すことに成功したのだ



「ぐ…」


俺はフラフラと立ち上がる



俺の唯一の持ち味、重属剣

発動すると、高い破壊力と引き換えに全エネルギーを消費

動くこともままならないほどの疲労に襲われる



「………」


眼の前で、同じパーティだったヤマト、フィーナ、ミィがプロの騎士と戦っている


目の前のプロの騎士の凄さ

そして、騎士学園時代の仲間たちの凄さ


…どうして、俺はここで座り込んでるんだ


どうして一緒に戦えないんだ


こうして、動けなくなった後に仲間を眺めるのは何度目だろう



「…」


俺は違う


俺だけは違う


圧倒的な才能の差


ゲームで言う、ステータスの差

持っている技能の差


俺にあるのは、自分を戦力外に追い込む、リスクの大き過ぎる重属剣だけだ




ズバッ!


「………!!」



一回の風を切る音

その直後、ドラウグが十字に切断される


音が一回しか鳴らないにもかかわらず十字に斬る

それは、ほぼ同時に二回の斬撃を放っているということ


セフィ姉が放った聖属性の斬撃系特技(スキル)ホーリーエッジ

これを二回繰り出す双剣ならではの連撃だ



「す、すげぇ…!」

ヤマトが呟く


その通り、プロの騎士が崩れかけた高位アンデッド、ドラウグが一瞬で消滅

これが、セフィ姉の実力だ


龍神皇国では、セフィ姉の美しい金髪と強さを讃えて、金髪の龍神王という二つ名が定着してきているとか


あの特技(スキル)の二連撃は、俺の重属剣とは安定感が違う


余計なリスクを追う必要がない、それは騎士の実力に直結す……



「…ラーズ!」


「えっ!?」




ゴッガァァァァァァァン!!!



「…っ!!」




閃光


直後の凄まじい衝撃




気が付くと、俺の身体は宙にあった


その眼下には崖が広がっている


俺を飲み込む気満々だ



しまった、ドラウグの自爆で吹き飛ばされたのか!


モンスターの前で気を抜いた


俺の油断



強い仲間に気を取られて、俺は足を引っ張る


どうしようもない…



「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!」



万有引力の例に漏れず、俺は惑星の中心へと落ちていった



この小説は、格闘がメインのテーマです

ファンタジーではありません

街で殴り合い、素手でモンスターにぶっ飛ばされる話ですのでよろしくお願いしますw

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