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二章 第三十五話 フィーナの帰り

用語説明w

フィーナ

ノーマンで黒髪、赤目の女子。ラーズの義理の妹で、飛び級でハナノミヤ聖女子大学に進学。クレハナの王族であり、内戦から逃れるために王位を辞退して一般家庭に下った。騎士の卵でもあり、複数の魔法を使える。最近はラーズの怪我の治療によって回復魔法の腕が上がっている


夕方


俺はアパートから、最寄りのイドダカ駅に向う

今日は、フィーナが帰って来る日だからだ



「あ、ラーズ!」


改札を出てきたフィーナが、俺を見つけてこっちに来る


「えっ!?」


「お帰り、フィーナ…」


「な、何でそんなにヘロヘロなの!? ちょっ、擦り傷に痣! どうして!?」


「質問多いな。いてて…」


「とりあえず、こっち来て!」


フィーナが掌を向け、回復魔法を使おうとしてくれる 


「いや、ここじゃ目立つって」


「じゃあ、ベンチで治療するよ」


「それなら、あの公園に行こうぜ」


「うん、分かった」


俺とフィーナは、連れ立って寄り道に向った




海が見える公園


「うあぁぁぁぁ…」


「ちょっと、動かないでよ」


フィーナの回復魔法が俺の怪我を癒していく


「あぁ…、痛みが引いて行く…ありがとう…ありがとう……」


「死にそうな感じで感謝しないでよ。擦り傷と痣だけなんだから」


「いや、そうなんだけどさ。痛みが無くなるのはありがたいんだよ」


「やっぱり元気じゃない」


気がつけば、俺の擦り傷と痣がかなり治っている



「それで、どうしてそんなに傷だらけなの?」


「バイト先でさ、面白いブーツがあって教わったんだよ」


「ブーツ?」


「ホバーブーツって言って、エアジェットの推進力を使う靴なんだ。バランスが難しくて、何度も吹き飛んでこうなった」


「ふーん、そんな靴があるんだね」



ちょうどその時、俺達の眼に夕日が差し込んで来た


「あっ」


「お、ちょうど時間だ」



この公園は、高台から海を望む公園

夕日が西から差し込み、穏やかな海を黄昏色に染め上げる


黄金に近い赤色

この美しい海原は、俺もフィーナも大好きな光景だ




「日が落ちちゃったね」


「…さ、そろそろ帰るかぁ」


季節は夏に差し掛かる

日が落ちても、寒くないというのはありがたい


まぁ、日中暑すぎるのは困りものだけど



「ね、ご飯どうしようか」


「フィーナが帰って来た記念で、今日は外で食べるか?」


「そんなに嬉しかったの? 私が帰って来て」


「言い方よ。どうしてすぐに上から目線で言っちゃうんだ。…やっぱり家で食べます」


「あーウソウソ! 外でご飯食べたい!」


俺とフィーナは、アパートの方向へ



「何食べる?」


「ラーメン、つけ麺、僕…、うどんもいいね」


「お約束を踏みにじりやがって」


俺達は、きょろきょろと店を探す


「意外とここら辺って店が多いね」



「フィーナちゃんじゃないか」


「え?」


振り返ると、同じアパートのマリアナさんが立っていた


「あら、ラーズ君も一緒ね。二人とも、しばらく会わなかったわねぇ」


「私は実家に、ラーズは免許合宿に行ってたんですよ」


「そうだったのかい。そう言えば、聞いてよ。103号室のビタリさんがね…」


「はい…」


「それで、202号室のベニさんと…」


「はぁ…」


「しかもね、うちの旦那ったら…」


マリアナさんのマシンガントークに俺達は被弾

ハチの巣にされ、十分以上足止めをくらう



「おーい、お前。何やってるんだ?」


「あら、あなた」


「また長話で。すみませんねぇ、こいつ、いつも話が止まらなくて」


「いえ…」


マリアナさんお旦那さんか

優しそうなおじさんだ



「そうだ、お前。あっちの総菜屋さんでタイムセールが始まったぞ」


「あら、いいわね。フィーナちゃんも行きましょ」


「えっ、あの…」


「ほらほら。学生はお金が無いんだから、こういう所で節約するのよ」


「は、はい」


マリアナさんの押しに、簡単に飲み込まれるフィーナ

結局、三十パーセント引きの総菜を五パック買って帰ることになった




「あら、お揃いでお帰りなさい」


メゾン・サクラに着くと、管理人のカエデさんが花壇に水をあげていた


「ちょうど、商店街であったのよー」


マリアナさんは。帰り道でもずっとしゃべり続けていた

どれだけおしゃべりなんだ


「はい、カエデさん。総菜が安かったからおすそ分けだよ」


「えっ、いいんですか?」


「いいんだよ。食べて食べて」


マリアナさんが、総菜の一つをカエデさんに押し付ける

おしゃべりだけど、マリアナさんは面倒見がいい



「それじゃあ、失礼します」


「またね」


俺達は、マリアナさん夫妻とカエデさんに挨拶して部屋へと戻る



「あー、疲れた。やっと我が家だ」

フィーナが座布団に倒れ込む


「お疲れさん。ご飯食べようぜ」


俺は炊飯器をセット

すぐにご飯を炊く


「そう言えば、ラーズはもう車の運転ができるの?」


「もちろん。バイト先で、一回運転して来たよ」


「いいなぁ。私も魔法の箒の免許でも取ろうかな。ミィ姉みたいに」


「フィーナは魔力があるからいいと思うけど、結構疲れるみたいだぞ」


ミィが俺を送ってくれた時、魔力を注ぎ続けて疲れていた

魔法の箒は燃料が魔力なため、運転者の魔力量によって移動距離が変わる


それでも、空を飛べるというアドバンテージはかなり大きい


「あ、ミィ姉とヤマトがラーズによろしくって」


「二人とも元気だったか?」


「うん。ヤマトは必殺技を作るって言ってがんばってたよ。ミィ姉は相変わらず商売を考えてた」


「変わってねーなぁ、二人とも」


「ね、ご飯が炊けるまで、ちょっとお土産食べようよ」


「何?」


「フルーツグミ。パニンお父さんが買ってくれたの」


「へー」


色とりどりのグミ


「うまいな」


「あ、ラーズ、紫ばっかり食べないでよ」


「フィーナこそ、黄色のやつ食べすぎじゃないか?」


「そんなことないよ」


「いや、食べてるって。もうないじゃん」


「もー、細かいんだから。それじゃあ…」


フィーナが口を開ける

その中には、まだ噛まれていないグミが残っている


「交換、する?」


「は?」


「どうしても食べたいなら、それしかないでしょ」

フィーナがいたずらっぽく言う


「…」


おいおい、妹に挑発されたら、その喧嘩は買うしかないよな




ドンッ


「えっ!?」



俺はフィーナに顔を近づける

そして、壁をドン


通称壁ドン

予想外だったようで、フィーナが目を見開く



「…いいんだな?」


「えっ、えっ…」


俺とフィーナの顔がかなり接近

目と目が近接戦闘を開始する


「…」

「…」


お互いに、無言で見つめ合う

そして…



俺は反転

フィーナと同じタイミングでしゃがみ込む


「…!!」

「…っ!!」


さすがに恥ずかしすぎた

二人して照れて相打ちだ



ピー ピー


タイミングよく、炊飯器が鳴ってご飯が炊きあがる



「…ご飯食べようよ」


「そうだな」


久しぶりに、二人での食事

総菜は、普通に美味しかった






個人プロフィール


氏名:ラーズ・オーティル

人種:竜人

性別:男

学年:人文学部一年生(前期)


バックボーン:キックボクシング習い始め

得意技:ワン・ツー、ローキック、左フック


スタイル:

ジャブとストレートに咥え、左フック、ローやミドルの蹴りを覚え、打撃の引き出しと実力が向上した

また、柔道部での練習により受け身と、崩されにくい体幹力を鍛えられた


特記事項:

性格はビビりで、争いを好まない性格だが、ロンのせいで喧嘩に巻き込まれるのがお約束

東玉流総合空手部に入り、ゴドーからキックボクシングベースの打撃を習っており、順調に上達中

まだまだフィジカルは弱いが、実は柔道への適応力も見せ始めている



次、閑話を投稿して二章完結なります

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[良い点] 兄妹なら恥ずかしくないよね [気になる点] この世界にもEIKOが!?
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