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閑話12 クレハナの成人式

用語説明w


セフィリア

竜人の女性で龍神皇国の貴族ドルグネル家の若き当主。ドルグネル流武器術を修め、騎士としても活躍中。その長く美しい金髪から、金髪の龍神王と呼ばれているドラゴンエリート


ミィ

魚人の女子。騎士学園時代にラーズとパーティを組んでいた。金勘定が上手く、戦闘よりもアイテム調達で貢献、騎士団の運営に興味を持ち、龍神皇国立騎士大学へと進学した。ひょんな事から、瑠璃色のスライム、スーラと仲良くなった


ヤマト

獣人の男子。騎士学園時代にラーズとパーティを組んでいた。騎士としての実力は高く、龍神皇国騎士団にスカウトされた。ボクシングをやっており、ラーズにパンチを教えたことも


クレハナ 灰鳥(あすか)



「フィーナ、似合ってるわ」


「そうかな? ありがとう、セフィ姉」


「いいわね」


「そうだな」


「あんた、もっと興味持ちなさいよ」


ミィがヤマトを睨む



今日はフィーナの成人式

国民に、フィーナ姫が成人したことをアピールする式典だ


集まっているのは、護衛としてクレハナに同行したセフィリア

そして、騎士学園の同級生であり、龍神皇国騎士団の同僚ともなったミィとヤマトだ



「ラーズは、結局来れなかったのか」


「防衛軍学校に入ってるから」


ヤマトが残念そうに言う


式典の日程が四月になってしまい、ラーズは軍学校に入校

クレハナに来ることが出来なくなってしまった



「ラーズとは仲良くやってるの?」

ミィが尋ねる


「まぁ、普通かな。前に、軍学校から電話が来てさ」


「何だって?」


「元気にやってそうだったけど、ムカついて電話を切っちゃった」


「相変わらずね」


「空気読めないんだよ」


「ヤマトと一緒」


「すぐに男を悪者にするのはどうかと思うぜ」


言いながらも、ヤマトは不利な条件での勝負を放棄する


「セフィリアさん、ドラゴンの修行とかいうのは順調なんすか?」


「いいえ、上手く行っていないわ」


セフィリアがため息をつく



セフィリアは、龍神王の血を引いている

ドラゴンの力が色濃く宿っているのだ


このドラゴンの力は、ドラゴンの教えを受けることで目覚めさせることができる


龍神皇国とドラゴンとは協力関係が作られており、ドラゴンの力を持つ者は、知能を持つドラゴンに師事することになっているのだ



「龍神皇国にいる神竜ランクで、金竜と呼ばれるドラゴンがいるのだけど…」


「強かったんですか?」


ヤマトが目をぎらつかせる

ナチュラル・ボーン・ファイターの血が騒ぐのだろう


金竜とは、黄金の鬣を持った美しい東洋龍

神龍ランクであり、穏やかな性格で、龍神皇国の人類とも良好な関係を築いている



「会った瞬間に、格が違うって分かっちゃったわ。同じ場所に立っていても、別の場所にいるような…」


「セフィ姉がそんなこと言うなんて、信じられない」


「ミィ、私達人間の違いなんて、神龍からしたら些細なものよ」


「修行がうまくいってないって、どうして?」

フィーナが尋ねる


「金竜が言ったの、お前にはまだ早いって。力をつけ、応龍の名を得てから来いって」


「応龍?」


「ドラゴンのランクのことよ。神竜ランクにまで実力を高めろってことでしょうね」


「どうやったら、その神竜ランクになれるんですか?」

ヤマトが興味津々だ


「人それぞれだけど、私は、仙人となって霊体の神格化をする。龍族の強化紋章を使いこなしてトランスレベルを上げる。龍の力を高めながら、ドラゴンキラーに対する耐性をつける…」


セフィリアがスラスラと答える

金龍に認められるためにどうするのか、すでに考えているのだ



「ふーん…、やっぱりセフィリアさんは凄いぜ。全然、追いつける気がしねぇ」


ヤマトがソファーに身を投げだす


「ふふ、ヤマト。一度でも神龍ランクに会えば、私がいかに小さいかが分からされるわよ」


「えー…、そりゃ大げさだよ。セフィリアさん」


ヤマトは騎士学園の頃からセフィリアを見て来た

そして、騎士団でのセフィリアの活躍


フィーナとミィも、思わず頷く



「ドラゴンが成長し、力をつけて神龍ランクに至るためにはね…。宝珠が必要なの」


「宝珠?」


ドラゴンの大きな分類として四つの型

東洋型、西洋型、異形型、宝珠型に分けられる


その最後の型は、その名の通り宝珠…如意宝珠と呼ばれる玉を作り出す


伝説では、あらゆる願いが叶うと言われており、また、この宝珠をドラゴンから奪うと能力が使えなくなるとも言われる



「神龍ランクのドラゴンとは、この宝珠を手に入れた者。でも、この宝珠はドラゴンの中でも数が少ない宝珠型のドラゴンしか生み出せない。つまり、同族のドラゴンを襲い、奪い、若しくは譲られた者」


「そうなんですか…、ドラゴンの世界でも奪い合いがあるんだな」


「その宝珠を手に入れたら、どんな力が手に入るの?」

フィーナが尋ねる


「ドラゴンとは、生命の基本を具現化した者よ」



この世の物理法則の基本は、光速という値だ

具体的には、C=299792458m/s


光速は宇宙における最大の速さであり、これを超えることは物理的に不可能

しかも、この値は時間と空間の基準となる物理学の特別な値でもある


光速は常に一定、これが相対性理論の根本原理だ



E=mc二乗


特殊相対性理論から導き出された、エネルギーと質量の関係を表した式

なぜか、一見関係のない根本的な物理法則の式の中にまで光速が使われているのだ



この光速Cとドラゴン、何の関係があるのか


ドラゴンとは、生命体の絶対的な基準を定める存在


そして、神龍ランクとはドラゴンの中でも選ばれしもの

宝珠を得たことで、龍の神の力を与えられる


龍の神の力とは、物理の絶対的な基準である「光」に対しての四つの特性だ



龍神特性


・シャイニング

自ら発光する太陽のような特性


・ダークネス

全ての光を吸収し、一切反射しない闇のような特性


・ミラー

全ての光を反射する、鏡のような特性


・インビジブル

全ての光を透過する、無のような特性



光という物理学の絶対基準に対する、龍の神の力を持つドラゴン

それぞれエネルギーを全反射したり、吸収したりと、とんでもない力を持つとか



「神竜かぁ。やっぱり凄いね、ドラゴンって」


「キュィー…?」


ミィは、オーシャンスライムのスーラを撫でる



スーラは最近、能力が上がっている

身体に物質やエネルギーを取り込んで、何でも消化できるようになった


この能力は、ミィも気が付いていないが、かなり凄い能力だ



「失礼します。フィーナ様、お時間でございます」


メイドが呼びに来る



「分かりました」

フィーナが立ち上がる


「フィーナ、忘れてたわ。これ、ラーズに渡しておいてくれない?」


セフィリアは、一本の剣をフィーナに渡す


これは、ラーズの愛刀ドラゴンブレイド

セフィリアが預かり、研いでメンテナンスをしてのだ


「分かった。今度、軍学校から帰って来るから、その時に渡すね」


フィーナは、剣を受け取ると式典へと向かった




・・・・・・




…式典が終わった


パニン父さんとディード母さんが喜んでくれた

セフィ姉とミィ姉、ヤマトも


クレハナは内戦中


この式は、ドース率いるウルラ領を勢いづけるための国民へのアピールだ



「フィーナ、立派になったな」


「うん…」


ドースお父さんに、フィーナは頷く


フィーナは嬉しかった

大事な人に、晴れ姿を見て貰えたから



「お母さんにも、見せたかったな…」

フィーナが呟く


「…」

それを、ドースはすまなそうに見守る


「お母さんのこと、好きだった?」


「…私は愛してた。好かれていなかったかもしれないが、な」


「私は、ドースお父さんのこと好きだよ」


「そうか…」


ドースの目が潤む

だが、気恥ずかしいのか、窓の外を見ることで隠した



「…フィーナ」


「何?」


「…ウルラは、龍神皇国と取引を始めた。この内戦を終わらせる、ウルラの勝利でな」


「…セフィ姉と、また何かするの?」


「今回は違う。セフィリア殿にだけ、頼るわけにもいくまい。…こちらのことはいい、心配しないで騎士として頑張るんだぞ」


「う、うん…」



フィーナは、龍神皇国で騎士となる


だが、母国のクレハナでは内戦中

その、自身ではどうにもならない大きな流れに、胸の奥がチクリと痛んだ




龍の修行 閑話10 授与式

龍族の強化紋章 九章 第十三話 セフィリアの受賞2

ドラゴンブレイドのメンテナンス 十章 第九話 ファブル地区4


明日、エピローグです!

その後、設定資料集の上下、用語説明を投稿して完結処理となります!


作品の完結まで書き切れる…、この達成感がたまりませんw

読んで頂き感謝です!

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