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二章 第二話 入部1

用語説明w


ケイト

茶髪の獣人女性。トウデン大学体育学部の先輩で柔道部。明るい性格、ふくよかな胸でキャンパス内でも人気が高い。したかな性格のヤワラちゃん


ゴドー

鬼のゴドーの異名を持つ獣人男性。ケイト先輩の一年先輩だったが、留年して同期になった。好戦的な性格で、体格とセンスにも優れる。その実力はプロの格闘家並


旧部室練


トウデン大学の一番奥のエリアであり、古い部室や練習場などが並ぶ

新しい総合武道館や体育館が整備され、部室棟も完備されたため、将来的には取り壊される予定となっている


そのために管理はテキトーとなっており、旧道場は畳を使う柔道や合気道などの部が好きに使っている

そして、血の気の多い体育会系が喧嘩をする時も、あまり職員が来ないこのエリアで行われるとか…



「この野郎!」

「来いよ、おらぁっ!」


カポエイラ部とシラット部が殴り合っており、拳法と合気道が胸倉を掴み合っていた



「だからさ、何でこの大学と駅周辺だけ、こんなに世紀末なんだって」


「俺達も絡まれ過ぎだしなぁ」


俺とロンは、そんなヤベー先輩たちを見ない振りしながら通り過ぎる


「格闘技とか武術って、何が強いかでいつも論争してるでしょ? そして、実際に試し合いを始めるんだよ」


そんな俺達の前を歩くケイト先輩は慣れたものだ



一番奥にある平屋の建物が旧道場

東玉流総合空手部の練習場所だ


「こんちわー」

「入ります」

「ゴドー、来てるー?」


俺達はケイト先輩に続いて道場に入る


「あ、珍しい。時間通りに来てる」


「練習時間はだいたい守ってるだろうが」


中では、空手着を来たゴドー先輩が寝ころんでいた


「だいたいねぇ…。ま、いいか」

ケイト先輩も座り、俺達に紙を渡してくる


「これが入部届だよ。それで、本当に総合空手部に入ってくれるの? 今はゴドーが一人、君たちが入っても三人の弱小部だけど」


「余計なお世話だ」

ゴドー先輩が舌打ちをする


「打撃系はゴドーが教えると思うけど、うちは部活が多いから、他の部活に出稽古も行けるよ。それと、柔道は私が教えるからね」


「ケイト先輩が教えてくれるなら嬉しいんですけど、空手なのに柔道をですか?」


「空手って名前は付いてるけど、ルールは総合格闘技みたいなものだから。受け身や投げ、関節技が必要になるのよ」


「はぁ…」


「まぁ、そこら辺の話はいいだろ。そこに道着があるから着替えろ」


「へ?」「はい?」


ゴドー先輩に言われ、俺とロンはとりあえず道着に着替えた


おぉ、空手家って感じだ…



「ほらよ」


「えっ、これって…」


渡されたのは、指が出るタイプのグローブ

オープンフィンガーグローブという奴だ


「どっちからでもいい。付けたら構えろ」


ゴドー先輩が道場の中に立つ


「ちょっと、ゴドー。何をするつもりなの?」


「入部テストだ。続かねー奴に教えるのはめんどくせーからな」


「ロン君はともかく、ラーズ君は素人なのよ!? そんないきなり…」


「こんな弱小サークルを残してるのは、大学代表枠を勝ち取るためだろうが。モノになる奴以外はいらねーんだよ」


ケイト先輩を黙らせて、ゴドー先輩が拳を鳴らす



「さぁ、お前らは本気で来ていい。実力を見せて見ろ」


「…」

俺とロンは顔を見合わす


いきなり先輩と試合って…



「町のチンピラ共にボコられるザコ君じゃ無理か? 怖いなら、優しい先輩を演じてやるぜ」


「…煽らないでもらっていいっすか、先輩」

ロンの目つきが変わる


「お、おいっ、ロン!」


「俺から行きます」


「よし、来な」


ロンが畳を進む


あいつ、キレやすいんだよな…

前も先輩と揉めてたし



ロンが重心を落とし、半身に構える

左足前の後ろ脚重心で、左足はつま先しかついていない


見たことの無い構え

あれが形意拳なのだろうか


「しっ!」


ロンは左パンチ、ジャブを繰り出す



なんだ、拳法っていいながら普通に格闘技みたいな戦い方なんだな



ドゴォッ!


「ぐぁっ…!」



ゴドー先輩がジャブを返す

だが、その威力でロンがガードごと仰け反る


ジャブのくせに、まるで左ストレートだ



ゴガッ!


「…っ!?」



そして、踏み込んでの下段蹴り

ロンの身体がその勢いで浮き、畳に落下する


「ぐはっ…」


「おら、さっさと立て。お前は経験者なんだろ?」


「くそっ…!」


ロンが、小鹿のように足を震わせながらも立ち上がる


「弱いくせに小技にたよってんじゃねー。全力で来やがれ!」


「うおぉぉぉっ!!」


ロンが踏み込みながらの右ストレート

ゴドー先輩のガード叩きつける


「らぁっ!」


ロンが蹴り、パンチを振り回す


「雑だ、しっかり狙え」


「くそっ!」


ロンが歯を食いしばって左パンチを出しながら飛び込む

だが、そこにドンピシャでゴドー先輩が左アッパーが待ち構えていた



ドゴォッ!


「…っ!?」



一回転するくらいの勢いで、畳に後転するロン


「や、やべー落としたぞ! 大丈夫かロン!」

「ちょっと、ゴドー! 手加減しなさいよ!」


俺とケイト先輩が駆け寄る



「ぐぅぅ…く…」


ロンは、俺の肩を掴んで無理矢理立ち上がる


「お、おいっ、一回待てって!」


「まだだ、俺は…」


「よーし、いい根性だ。来な」

ゴドー先輩がニヤリとして顔を突き出す


あ、この人煽ってる

性格悪いぞ?



「うおぉぉぉぉっ!」


ロンは左足を踏み込むと同時に、右足を前へ

歩くように足を交差させてスイッチする武術的な動きで大きく跳び込む


その距離、1.5メートルほど

その距離を一歩で詰めたのだ


そのまま、中段に右拳をぶち込む



ドンッ!


重い音が響く



その拳を、ゴドー先輩が掌で受け止めていた


「これが形意拳の崩拳ってやつだな。これだけは及第点だな」



ドゴォッ!


「ぐほぉっ!」



言ったとたんに、ゴドー先輩が右ボディフックをロンの腹に打ち付ける

そのまま前のめりに崩れ、ロンが痙攣した



エグイ…


ロンの奴、めちゃくちゃ戦えるじゃねーか

素人は俺だけかよ


怖いんだけど!



「ラーズっつったか。次はお前だ」


「は、はい。ただ、俺は素人で…」


「いいから、思いっきり来い。何でもいいからよ」



ゴドー先輩が、俺の言葉を遮る


チラッと見ると、ロンがケイト先輩に介抱されていた

あ、あの野郎、羨ましい!


いやっ、違う

現実逃避している場合じゃない



俺は、目の前のゴドー先輩(モンスター)に集中する


うぅ…、めちゃくちゃデカく見える

怖い、怖すぎる


落ち着け

これは格闘技じゃない、狩だ


騎士学園と同じ

人間よりもはるかに強いモンスターに挑む戦いなんだ!



「しっ!」


俺は、覚悟を決めて踏み込んでジャブを打つ



パンチには少し自信がある

とは言っても、ワンツーとジャブとストレートだけだけどな!


心配そうに、ケイト先輩が俺を見ていた

情けない所は見せられない


俺は騎士の力を捨てた

だが、それはセフィ姉のような強さを目指すためだ


妥協して騎士になるのではない

本当の強さを目指すために捨てたんだ!



ゴッ!


ゴドー先輩のジャブが飛んで来る

ガードが甘く、両手をこじ開けられて俺の額に直撃



ドッ!


ストレートは、ガードの上からでも衝撃が顔に届く



し、正面からじゃダメだ

俺は横に回る


ドゴォッ!


「がふっ…!」



左に動こうとした途端、ゴドー先輩の太い足が俺の身体をくの字に曲げる

ミドルキックってやつだ


一瞬、息が止まった

だが、腕を挟み込めたので、まだ動けるぞ!



ゴガァッ!


ズドッ!


だが、そのままゴドー先輩のフックやストレートが飛んで来る

ガードしているだけで動けなくさせられる


ゴドー先輩は体格が良く、リーチが違う

俺の攻撃が届く場所まで行かせてもらえない



「なんだ、それで終わりか?」


「く…」


パンチを出しながら、ゴドー先輩が挑発して来る



ドシィッ!


「…っ!?」



ローキックが直撃

あまりの痛さに、一発で心が折れそうになる


「お前…、弱すぎるな」


そんな俺を見て、ゴドー先輩がため息をつく


「い、いや、俺は格闘技なんて…」


「そうじゃねーよ、ハートがだ」


「え…」


「今までの奴と同じだ。痛い、怖い、やられる。そして、逃げ出すお決まりのパターンだ」


「…」


「格闘技ってのはな、目の前の敵をぶっ倒すためにやる。自分が負けないためにだ」


「…」


「自分が殴られてでも勝ちたい。辛くても極めてやりたい。そういう気持ちが必要なんだよ。お前、そういうの無いだろ」


「…」


「出来ねーのなら、今すぐ逃げ帰れ。そうじゃない、戦える男だって言うのなら、俺に一発入れて見せろ!」

そう言って、ゴドー先輩が構える



その瞬間、俺はゴドー先輩に殴りかかった



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― 新着の感想 ―
[良い点] いろんな格闘技をごった煮して必殺技を編み出しそうな環境ですな
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