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一章 第十四話 入学式3

用語説明w


ケイト

茶髪の獣人女性。トウデン大学体育学部の先輩で柔道部。明るい性格、ふくよかな胸でキャンパス内でも人気が高い。したたかな性格のヤワラちゃん


俺は、飛び起きて男手から財布を奪い取る


「なっ…、この野郎!」


男が奪い返そうと手を出した

その瞬間、俺は全力で男の胴に突っ込む


両腕で腰辺りを掴み、引き寄せながら、押す! 押す! 押す!



「こ、このっ…ぐはぁっ!!」


ゴガッ!



そのまま、ビルの壁に突っ込む

胴を反るように掴んで押したため、男の頭が壁に直撃


そのまま崩れるように腰を落とす



「て、てめぇ!」


もう一人の、小柄なヤンキーが警棒を振り上げる



だが、焦ったのか距離が遠い

少し下がると、大きく空振りした



ゴッゴン!


ちょっと力んでしまったが、思いっきり握り込んだ拳

俺の唯一の得意技、ワン・ツー



当たり所が良かったのか、そのまま尻餅をついた

俺は、ヤンキーが落とした警棒を掴んで、そのまま振り下ろす



ゴガッ!


「ぎゃっ!」



頭を押さえて、のたうち回るヤンキー



ロンが一人やったため、後は二人!


気合を入れろ!

ダンジョンでは、もっとヤベーモンスターがたくさんいた!


人間なんて、怖くないだろ!




「うおぁぁぁぁっ」


ちょうど、前に出て来た男に警棒を振り下ろす



ゴギィッ


「ぐあぁぁっ!!」



骨のきしむ音がする

警棒を腕でガードしたら、そりゃそうなるわ


俺はドルグネル流の剣術をやっている

振り下ろしに威力を乗せるのは得意なんだよ!



だが、これで警棒が曲がっちまった

俺は、そのまま痛がっている男を殴りつける



「この野郎!」


だが、最後に残ったタオが俺に突っ込んで来た



俺は、曲がった警棒を投げ捨る


「あぁっ!!」


気合と共に、ワン・ツー!



「…!」


だが、タオはしっかりと反応

パンチを捌いて、ガードする



「はぁっ!」


もう一度!


今度はジャブ!


ストレートからのジャブ!



「…」


だが、タオは冷静に俺のパンチを捌く

くそっ、普通に見切られてる!



「…お前、ボクシングを習ったわけじゃねーな」


「…!」


「まっすぐだけで当たるかよ!」


タオは喧嘩慣れしている

俺の実力をすぐに見抜きやがった


…俺はワン・ツーくらいしかパンチを持っていない


騎士学園では剣がメイン

パンチなんて、ボクシング部だったヤマトに片手間で教わっただけだ


「油断しなきゃ、もう喰らわねー!」


「はぁ…はぁ…」


くそっ、パンチを出しすぎて息が切れて来た

だ気が付いたら、あとはこいつ一人なのに


チラッと見ると、ロンがフラフラと立ち上がろうとしている


「だ、大丈夫か、ロン!」


「くそっ、頭が痛ぇ…」



「お前ら、勝ったと思うなよ? 仲間に連絡したからよ、もうすぐ来るはずだ」

タオが、勝ち誇った顔をする


「…!」


「囲んで、攫ってやる。楽しみにしてろ」


「くそっ、この…」


「お前の家族のついでに、あのコンビニにいた女もだ。お前に関わった奴は全員…」



「…っ!!」


言われた瞬間、俺は飛び出した



「うおっ!?」


左でジャブを打つが、腕でガードされる

だが、その勢いのまま、俺はタオの胸倉を掴んで押し込んでいく



俺の騎士学園時代の戦い方は雑草魂

華麗さとは真逆、泥臭いスタイルだった


魔法を使うべき杖で殴りつける

剣の勝負の中で拳で殴りつける

そして、頭突きを叩きつける


ダーティな技で意表を突き、時に才能ある同級生に勝ち抜いて来たんだ



ゴガッ!

ゴッ!


タオの胸倉を掴み、腕を下げさながら、額を叩きつける

そのまま、後ろの壁に打ち付けてやる



…騎士にもなれず、俺は何なんだ!


不良に絡まれて、フィーナやケイト先輩を巻き込むだと!?



俺は強くならなきゃ…



それなのに、こんなところで…



そんなことは許せない…!



何が何でも…!




クソが!



クソが!



クソッたれが!




「や、やめろ、ラーズ…!」


「…っ!?」




はっと我に返る


気が付くと、ロンが俺の肩を引っ張っていた



「はぁ…はぁ…」


息が……胸が…苦しい……


呼吸をしろ


心臓の音がうるさい




「おい、あそこだ!」


「タオの奴、やられてるじゃねーか」


「情けねぇな。幹部降格だろ」



振り向くと、五人ほどのヤンキーが集まって来ていた

タオの呼んだ増援か


「増えやがった…」


「マジか…」



俺とロンは、もうフラフラ

これ以上動けない


しかも、増援は五人

逃げ道もない



「…」


絶望の二文字が頭をよぎる

俺はロンと、どうするかを目で相談すると…




「あ、やっと来た。こっちだよ!」

聞いたことのある声が聞こえた


顔を向けると、不良達の向こうに、茶髪の獣人の女性が手を振っている


「ケ、ケイト先輩…?」


更に、その向こうから、空手の道着を来た獣人の男が走って来た



「な、何だお前!?」

「こっちは取り込み中だ、向こうに行け!」


ヤンキーたちが怒鳴る


「おいおい、何言ってんだ。俺は、喧嘩を買いに来たんだぜ?」


道着の男がニヤリとする

そして、威圧するように指をバキバキと鳴らす



「てめぇ、ふざけてんの…」


「ちょっと待って。あいつ、鬼のゴドーですよ!」


「ゴドーって、あのドエルチームを潰したっていう、あの…」


「そ、そうです。トウデン大の空手部の!」


「…!」



ケイト先輩が連れて来た男を見て、ヤンキーたちの態度が変わる

あの人、有名なのか?


「ごちゃごちゃ言ってねーで、さっさと来い」


「ちょっと待て。俺らは、お前と事を構え…ゲペッ!」


「お、おまっ、まだしゃべって…グボォッ!」


「お、俺達が何を…」

ドゴォッ!



豪快なハイキックで吹き飛ぶヤンキー

大柄な体格から繰り出される空手技で、アッと今に三人が地面に沈む



「ま、待てって! お前、これ以上ブッラクマ…」

ゴガッ!


これで、後一人

しかも、完全にビビッて腰が引けている



「つ、強ぇ…」

「な、何だよ、あの人…」


俺とロンは、壁に寄りかかりながら鬼のゴドーと呼ばれた男を見つめる



「あのゴリラみたいなの、ウチの大学だよ」


「え?」


いつの間にか、ケイト先輩が俺達の所に来ていた


「今は二年生。三年生になれなかっただけなんだけどねー」


「うるせーぞ、ケイト。さっさと集めろ」


「はいはい」



そう言うと、ケイト先輩が不良たちから財布を抜き始める


「…あんた達、この子らの家族を狙ったりしたら、あんたらの身分証を警察に持って行くからね!」


「う…」


意識が半分無さそうな不良たちに、容赦なくケイト先輩が言う


「バイト代、回収したよー」


「分かった。よし、お前。生かしておいてやるから、こいつらに伝えろ」


「は、はい?」


唯一残っている不良が戸惑う


「俺の後輩に二度と手を出すな。分かったな」


「わ、分かりました」


「よし、歯を喰いしばれ」


「は!?」


「お前だけ無傷だと不公平だろ。文句あるならいつでも来い」


「そ、そんな…ぐぎゃっ!?」


ワンパンでうずくまるヤンキー



「よーし。行くぞ、後輩共」

「お巡りさん来ちゃいそうだから、離れましょ」


ゴドー先輩とケイト先輩に言われ、俺達はその場を後にした



「それじゃあね」


「ちゃんと病院に行けよ、脆弱コンビ」


「また、そういうことを…」


ゴドー先輩の頭を、ケイト先輩がパシッとはたく



「ねぇ、どうだった? あの子たち」


「俺は、あいつらの動き見てねぇからな」


「ロン君は、多分、打撃系の格闘技をやってる。一発で倒してたから」


「ほー…」


「でも、ラーズ君の方が面白かったかな」


「何かやってるのか?」


「うーん…、よく分からない。ボクシングっぽいんだけど」


「じゃあ、何が面白いんだよ」


ゴドーがケイトを見る


「…狂気? 強迫観念というか」


「あ?」


「追い詰められた時に、キレたのよ、あの子」


「…」


「ああいう子は、強くなるんじゃないかな。鍛えてみる価値、あるんじゃない?」


「よく分かんねーな」


「いらないなら柔道部でもらうね。さ、飲みに行こう。今日のバイト代で」


「お前、俺を呼んだだけじゃねーか。俺が払うのかよ」


「元々、あんたのお金じゃないでしょ。戦闘狂に喧嘩のチャンスを上げてるんだからけち臭いこと言わないで」


「何だかなぁ…」



二人は、居酒屋へと消えていった



次回で一章完結となります

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