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序章 第一話 受験勉強

用語説明w

ペア:太陽系第三惑星であり、惑星ウルと惑星ギアが作る二連星

ウル:ギアと二連星をつくっている惑星

ギア:ウルと二連星をつくっている相方の惑星


龍神皇国:惑星ウルにある大国


空を見上げると、一際大きな影を落としている星が目に入る


惑星ギア

俺たちがいる惑星ウルと、二連星を作っている相方の惑星だ


そして、惑星ギアとは別に、二つの大きめの星

我が惑星ウルの衛星ルナと、惑星ギアの衛星カグヤだ


この二つの衛星は、それぞれの惑星に潮汐力をもたらし、生命の誕生を助けたとかなんとか…



俺の名前はラーズ

ラーズ・オーティルという


惑星ウルにある国、龍神皇国に住む受験生だ



今年の夏

俺は惑星ギアにある、ちょっと変わった学園を卒業した


その学園の名前は、ボリュガ・バウド騎士学園


四千年に起こった、人類の存亡をかけた終末戦争アポカリプス

この戦乱を止めた英雄ボリュガが作った学校だ


同じく英雄だったバウドの名を冠したらしいのだが、よくバウド・ボリュガ騎士学園と間違えて呼ばれたりもする

卒業生の俺も、たまに間違えるほどだ


…言い訳をすると、俺たちは普段、騎士学園と呼んでいて正式名称なんて学園の外でしか使わない

そのため、たまに使う時にどっちだよってなる


決して、学校の名前に興味が無かったわけじゃないんだ



この騎士学園は、その名の通り騎士になるための教育機関


騎士とは、戦闘ランクB以上を持つ戦闘員であり、国家が保有する最終兵器

人類の生息圏を維持するための英雄たちだ


具体的には、魔法、特技(スキル)という技能に加え、闘氣(オーラ)という超常能力を持つ者

闘氣(オーラ)とは、人体の性能を強化して凄まじい出力を持ち、更に、物理作用(バリア)で身体を覆うことで防御性能を得られる能力だ


人類においては、この闘氣(オーラ)という能力を持つことがBランクと認められる基準

そして、戦闘ランクがBランク以上のモンスターとやり合える最低条件となる


ちなみに、Cランクとは、人類の兵器である戦車が基準

Bランクモンスターとは、戦車が持つ高火力の砲撃に耐え、戦車の頑強な装甲を叩き壊すような化物のこと


Bランク以上のモンスターを討伐する場合は、騎士がいることが前提なのだ




「ラー兄ぃ、フィー姉、来たよー!」

「こんにちは」


「ようこそ、ピンクちゃん、セフィリアちゃん。二人とも、またきれいになったわね」


「うんうん。これは、将来が心配だ。ま、二人が相手だと、そこらの男じゃなかなか手が…」


「あなた。そういう下世話な話はしないって、昨日、話したわよね?」


「…そうだった。美人を見ると、ついね。でも、一番はディードだからっっっぁぁぁあああああ!!!」


パニン父さんが、ディード母さんにわき腹を思いっきりつねり上げられて絶叫する


パニン父さんはジャーナリストをしていて、口が達者だ

そのため、ディード母さんは口での説得を早々に切り上げて実力行使に移ることがある


マジで止めなさいって怒っている時だ



「お邪魔します!」


「お、ソロン君も大きくなったなぁ」

「いらっしゃい」


やって来たのは、竜人の女子二人と男子一人


中等部二年生のピンクと、すでに龍神皇国騎士団に所属するプロの騎士セフィリア

そして、来年、騎士学園に入学するソロンだ


この三人は、龍神皇国の王族の血を引く、全員が貴族


ピンクは、貴族の序列一位であるカエサリル家の令嬢

ソロンは、現皇帝の孫で皇太子


そして、セフィリア…、俺たちはセフィ姉と呼んでいるが、ドルグネル家という貴族の家督を若くして継いだ当主だ


ドルグネル家は、ドルグネル流という剣と槍の流派の宗家

龍神皇国だけでなく世界中に広まっている流派で、セフィ姉自身も剣と槍の達人だ



「セフィ姉、ラーズの勉強を見てあげてよ。ラーズったら、全然、受験勉強が進んでないんだよ?」


「ちょっ、フィーナ、何言ってるんだよ!」


「大丈夫よ。ちゃんと用意して来たから」


「え?」


「フィーナから連絡を貰ってたから、ね」


セフィ姉が頷くと、フィーナが得意気にニヤリとする

セフィ姉のトートバッグに、問題集が数冊入っているのがチラッと見えた


「さ、ピンクとソロンはフィーナと一緒に遊んできなさい。ラーズは私が見てあげる。おじ様とおば様、それでもいいですか?」


「もちろんよ、助かるわぁ」

「騎士学園と、難関の龍神皇国立中央大学を主席で卒業した美人家庭教師…。ラーズ、一国の王が大金積んでも不可能な……何でもありません。セフィリアちゃん、頼むよ」


ディード母さんが目を細めたのを敏感に感じ取り、パニン父さんが言葉を改める



セフィ姉は、パニン父さんが言う通り超絶美人だ

美しく輝く金髪、陶器のような真っ白い肌、彫刻のような龍の角

そして、左右の色が少し違う吸い込まれそうな真っ青な瞳


道行く人が振り返る、ザ、美女ってやつだ


セフィ姉の右の瞳の色は龍眼と呼ばれる青色で、左の瞳よりも少し濃い

この色彩の差は、セフィ姉の魅力を引き上げるアクセントにもなっている



「受験は二月でしょ? 今のうちに苦手な場所を特定しておけば、後で楽が出来るわ」


「よ、よろしくお願いします…」


「ラー兄、遊べないんだ。受験生だもんね…」

「受験って大変なんだね」


ピンクとソロンが言う


「いや、フィーナ…、何で…」


何で、わざわざ遊べる日に余計なことを言ってくれちゃってるわけ?


俺がフィーナを睨むと、フィーナがプイっとする

「普段から勉強してないからでしょ。落ちても知らないんだから」


フィーナがピンクと並ぶ

確か、フィーナはピンクの三歳年上のはずだ


だが、なんか…

中等部のピンクの方が、胸が…


ピンク、大きくなったなぁ

成長度ってのは残酷だ



ボカッ!


「ぐはっ!?」



フィーナが、玄関に立てかけてあった魔導士の杖を振り下ろす


「今、何を考えてた?」


「な、な、何の話!? 貧相だなんて思ってないって!」


「……や、や、焼いてやる!」


フィーナがブチ切れて火属性投射魔法を発動


「ぎゃぁぁぁっ!!」


「フィ、フィー姉、ストップ!」

それを、ピンクが慌てて止める



「フィー姉さん、何を怒ってるの?」


「女の子にはね、気づいちゃいけないことがあるの」


「む、難しいんだね…」


セフィリアは、優しくソロンの頭を撫でながらため息をつく

だが、どこか楽しそうにフィーナを止めに入ったのだった




・・・・・・




「はい、お疲れ様。お茶にしましょう」


「あ、ありがとう、セフィ姉…」


「一人でも、しっかりやらないとダメよ? この調子でやれば、模試でもA評定になるわ」


「が、頑張ります」



セフィ姉が、香りのいい紅茶を入れてくれる

拘りの、北方の牛乳を使ったミルクティーだ


「この茶葉には、このミルクが合うと思うの」


「うん、確かに美味しい」


セフィ姉は、紅茶の達人でもある

同じ茶葉でも、セフィ姉が入れると味と香りが全然違う


「ねぇ、ラーズ。今度、一緒に狩りに行かない?」


「狩り?」


「モンスターハント。ファブル地区と北区の境の立ち入り制限地区で仕事があるから」


「えっ、騎士の仕事ってこと?」



セフィ姉は龍神皇国騎士団に所属する騎士

国内で発生した危険なモンスターへの対応が仕事だ


立ち入り制限地区とは、許可がない限り立ち入りが禁止された地域

モンスターが闊歩する人類の勢力が及ばない場所であり、一般人の命の保証は無い


騎士と軍関係者、そしてモンスターハンターの資格を持つ者以外が入れば罰則もある



「ええ。まだ騎士学園の勘は残っているでしょう? フィーナも誘うし、ヤマトともミィもね」


「う、うん…」

俺は曖昧に頷く


ヤマトとミィ、俺とフィーナは騎士学園時代、四人でパーティを組んでいた



…騎士を諦める前に、最後にモンスターハントかぁ


まぁ、いいか

セフィ姉と出かけられるし、思いで作りにもなるもんな



挫折したラーズ君ですが、実はまだ騎士になるための技能を持っていますw

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