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五章 第二話 立ち話

用語説明w


アルバロ

神族の男性で、ラーズの人文学部の同期。女好きで合コン好き。チャラく緩く大学生活を楽しんでいる。


アン

魚人女性でラーズの人文学部の同期。まじめな性格で勉強も一生懸命


カエデさん

ラーズ達のアパート、メゾン・サクラの管理人で、黒髪ノーマンの優しいお姉さん。ラーズの好みだが、しっかりと既婚。


講義 魔導法学基礎



「魔導法学のおさらい、属性についてです」

講師が説明をする


魔導法学は、霊質と三つの基本作用力についての学問

物理学が、物質と電磁気力などの力を扱うのと同じ、世界の仕組みを解き明かす学問だ


魔導法学で定義している属性は六つ

この世の全ての(ことわり)に対応したものだ


無属性のエネルギーは存在せず、全てのエネルギーは、この六つの属性のどれかに必ず属している


例外として、魔導法学における概念上の無属性に当たるものがある

例えば、解呪などの魔法構成を破壊するための情報としての術式などがこれに該当する



一つ目が熱属性

熱エネルギーを司る属性

火・冷の二属性が属し、火属性は温度を上げ、冷属性は温度を下げるエネルギー


二つ目が物質属性

物質を司る属性で、風・水・土の三属性

風属性は気体を操り、水属性は液体を操り、または生み出し、土属性は固体を生み出す


※超高温のプラズマ属性、極低温のボースアインシュタイン凝縮(BEC)属性もあるので正確には五属性だが、この二つは通常の状態では再現できないため除外


三つ目が生命属性

生命力を司る属性で、聖・魔の二属性

聖属性は生命力を増し、魔属性は生命力を減らす

生命という存在にのみ干渉するエネルギー


四つ目が物理属性

物理学の基本相互作用を司る属性で、雷、重力・ノクリア・ソラコアの四属性

雷属性は電力と磁力、重力属性は重力

ノクリア属性は弱い核力によってウランなどの核分裂を促進

ソラコア属性は強い核力により、重水素や三重水素などの核融合を誘発

(あくまでも、魔法や特技(スキル)で再現できる現象のみ)


五つ目が魔導属性

魔導法学の基本作用力を司る属性で、精・霊・氣の三属性

精神属性は精力(じんりょく)による精神への作用

霊属性は霊力、氣属性は氣力を発生させる


六つ目が時空属性

時空間を司る属性で、時間・空間・力学の三属性

時間属性は時間、空間属性は空間、力学属性は運動エネルギーに干渉する



「こんなの覚えられねーよ…」

アルバロが大げさに嘆く


「そうか? 中学校くらいで習っただろ」


「もう忘れたっての」


この六属性は中学校でやる一般教養

だが、知らなくても何とかなる


魔導法学を利用したアイテムは社会に溢れているが、仕組みを知らなくても使えるのがすごいところ


電気の知識がなくても電化製品が使え、魔力の知識がなくても魔法陣は動く

文明の利器は素晴らしいのだ


ちなみに、俺は騎士学園出身

当時は魔法という特殊技能を使えたため、属性も頭に入っている


体験と知識が合わされば、そう簡単には忘れないもんだ



「さて、と。気合い入れねーとな」


「夏休み終わったばっかなのに、何かあるのか?」


アルバロが精神統一を始める

「今日の合コンは、レベルが高いんだってよ」


「ブレないなぁ」


俺なんて、合コンにトラウマ持ってるのに


「ラーズも行くか?」


「遠慮しとく」


アルバロは合コン三昧

片や、俺は廃部寸前の空手部で稽古三昧


バイトでは、銃弾と霊力が飛び交うやべー現場で走り回る


同じ大学生活で、なぜ俺だけここまで追い込まないといけないのか



「あ、ラーズ」


自分の大学生活に自問自答を始めると、声をかけられる

振り返るとアンだった


「アンも講義終わり?」


「うん。近代法学」


「難しそうだね」


「時代による法律の移り変わりが分かって面白いよ」


アンは真面目だ

真面目というか、勉強に対する知識欲が凄い



「私、今度、海外へ実施研修に行く事になったの」


「どこ行くの?」


「クシュナ。龍神皇国の南の国よ」


「へー、遠いね」


「そうなのよ。飛行機使うんだけど、交通費も結構かかるし、滞在費も…。これで単位を貰えなかったらと思うと怖い」


「そうだよね」


発掘やフィールドワークを行う実施研修

費用は生徒持ちで、現地での活動時間、レポート作成の手間をかけても、オーギュスト教授のオッケーが出なければパァ


実施研修とは認められない



「アン、気を付けて。単位を勝ち取れることを祈ってる」


「ありがとう。お土産買ってくるね」


アンは、同級生の女の子と歩いていった


さて、俺も帰ろう

明日からは稽古だし、今日は貴重な休みなのだから




・・・・・・




アパート、メゾン・サクラに帰ってくると、カエデさんが花壇の雑草を取っていた


汗が流れる美人、いい…

とても、何というか、いい…


カエデさんは、セフィ姉ともケイト先輩とも違う良さがある


優しさというか、包容力というか

とりあえず、男が女性に欲する要素の八十パーセント以上を備えている


もちろん、独自のパーセンテージなので根拠はゼロだ



「あ、お帰りなさい。ラーズ君、そんな所でどうしたの?」


カエデさんが、俺に気がついて立ち上がる


「あ、いえ、カエデさんが暑そうだなって思って」


「まだまだ暑いよねぇ。ラーズ君、熱中症には気をつけてね」


「はい。カエデさんも、この暑い中、花壇の世話なんて…」



なんて話をしていると、髭面の男性がメゾン・サクラの門を入ってくる


「ビタリさん、お帰りなさい。今日は遅かったんですね」


103号室のビタリさん

警備員の仕事をしていると言っていた



「夜勤明けに仕事を入れられたんだ。まったく…」


ビタリさんは不機嫌そうに言う

疲れているのだろう


「大変ですね」


「何でも、カツシの町に防衛軍が行くとかでな。うちの警備会社にも警備の要請が入ったんだ。急に人出が足りなくなって、てんてこ舞いだよ」


「カツシの町って、ニュースでやっていた…」


俺は思わず口を挟む



連日のニュースで取り上げられているカツシの町


爆発が起こったことは取り上げられているが、その原因は明らかにされていない


隣国ハカルの関与やテロの可能性も噂されている



「怖いですね。ここは、まだカツシの町から遠いのが救いですけど」

カエデさんが言う


「よくは知らんが、防衛軍がカツシの町に続々と向かっている。大々的に調査されるんじゃないかな」


ビタリさんが、どうでもよさそうに答える


「防衛軍の出動で、どうして警備会社が忙しくなるんですか?」


俺は疑問に思ったことを聞いてみる


「カツシの町まで道を通行止めにしたりと、いろいろな所で民間の警備員が活動するんだよ」


「そうだったんですね」


「しばらく休みが無くなりそうだよ。給料は上がるが、体が持たないなぁ」


「体に気をつけてください」


「あぁ、ありがとう。とりあえず寝るよ」


「お休みなさい」

「お疲れ様です」


俺とカエデさんに見送られて、ビタリさんは部屋に入って行った



「防衛軍が出動なんて怖いわね」


「そうですね。爆破した原因が分かればいいですけど」


「爆発したのがカツシの町っていうのが、また…」


「何かあるんですか?」


「私もシグノイアに移住する前のことなんだけど。五、六…ううん、七、八年前になるのかな。シグノイア・ハカル戦争っていう戦争が起こった場所なんですって」


「戦争…」


「カツシの町は壊滅して、酷いことになってたって聞いたわ。だから、カツシの町での爆発なんて怖いなって」



カツシの町…

ロンが前に言っていた気がする


町が廃墟になるほどの戦闘によって、大きな被害が出たとか


大爆発は戦争を連想させる

いや、さすがに考えすぎか


「誰も犠牲者が出てないといいけど」


「本当にそうですね」


俺は、カエデさんに挨拶をして部屋に戻った



ビタリさん 二章 第二十三話 武部会1

カツシの町 二章 第三十一話 合宿免許3

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