表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【バーチャルドール:共通編①】導入(プロローグ&はじめてのレッスン)  作者: 愛楽優人(創作実験室)
■【チュートリアル】はじめてのレッスン
6/8

【チュートリアル】はじめてのレッスン「ステータス調整・力比べ」

――――――――――――――――

■ レッスンルーム ■

――――――――――――――――


次は、『ステータス調整』という、ステータスを変更する能力について教えてもらう事にした。


素の状態のみんなの事をもっと知りたいと思ったので、とりあえずキャラメイクとロールプレイは解除して元に戻ってもらった。




サクヤ「ステータス調整は、簡単に説明すると、ステータスを任意に調節して、力をアップさせたり、早く走れるようにしたりできる能力です」




まずは、ステータス調整をしていない元の強さを知っておきたいと言うと、アスカが目を輝かせて意気揚々と手を上げる。




アスカ「はいはいはーい! アスカが相手してあげるわ! ステータス調整なしでも勝てるか、やってやろうじゃないの!」




――――――――――――――――




お互い両手を組み合わせて、押し合う体勢を取る。


バーチャルドールの通常時のステータスは、システィさんが『同じくらいの人間の女の子』を分析して平均値あたりに調整していると言っていたなと思い出す。




イオリ「レディー! ファイト!」




合図と共に、ぐっと力が加えられる。




アスカ「人間の力を見せてみなさいよー!」




見た目通り、アスカの力はそれほど大した事はなく、手加減しても押し負ける事はない。




アスカ「ぐぬぬぬぬ……!!」




アスカの方は全力らしく、私に頭を押し付けて3点で押しながらぷるぷるしていた。




イオリ「はい、そこまで~♪」




アスカ「きぃーっ!! 悔しいーーっ!! 後で見てなさいよー!!」




悔しさを体いっぱいに表現するかのように、ダンダンと地団駄を踏んだ後、私を指さして啖呵を切った。




――――――――――――――――




サクヤ「マスター、ステータス調節のためのウィンドウの開き方と設定の仕方を、今から教えますね」




サクヤに教えてもらった通りにすると、私の目の前にステータス調整のウィンドウが表示された。


文字やら数字やら、メニューやらがたくさん並んでいる。


教えてもらいながら、なんとかアスカのパワーを調整する画面に到達する。

複雑なため、これは勉強が必要だなと感じた。




アスカ「ここに設定しなさい、ここ」




ウィンドウのゲージをトントンと指さす。


私は素直にアスカの言う位置にゲージを動かそうとしたが、イオリとチサトが同時に私の手をとめて、元の位置から少し上げたくらいの数値にする。




イオリ「少し上げるだけで充分よ♪」




チサト「上げすぎると、マスターのアバターは無事では済まなくなるぞ」




アスカ「なによ~! ちょっと力の差ってやつを見せつけてやりたかったのに~!」




イオリはともかく、チサトは人をからかったりふざけたりするような子ではないので、疑う事なく言う通りにする。




アバターが重度の損傷や完全破壊状態になった場合、バーチャルスフィアのログインの維持ができなくなるため、『現実世界に強制的にログアウトされる』だけで、実際の体がケガを負ったり死んでしまうわけではない。


損傷したアバター以外に手持ちのアバターがなければ、修理が終えるまでバーチャルスフィアにはログインできなくなってしまうというだけだ。


ただ現在のアバターは、ミコトさんとシスティさんに用意してもらった借り物のアバターなので、むやみに壊してしまうわけにはいない。




サクヤ「ステータスの調整が済んだら、右下にある『OKボタン』を押して、システィに申請してくださいね。申請されたステータスは制御可能かどうかや、安全面などからシスティが判断して承認するんです」




OKボタンを押すと、瞬時にウィンドウ上に『承認完了』という文字が表示される。


最後に、サクヤにウィンドウの閉じ方を教わり、ウィンドウを閉じた。




――――――――――――――――




アスカ「さぁ、マスター! もう一度勝負よ! 今度は私が手加減してあげる番ね!」




先ほどと同じように、お互い両手を組み合わせて、押し合う体勢を取る。




イオリ「レディー! ファイト!」




言うほどあまり強くないなと油断していると、じわじわと少しずつ力が強くなっていく。




アスカ「人間がどれくらいの力まで出せるのか興味があるわ。全力を出してみなさい」




アスカは余裕の表情で笑う。




もうすでに本気でやっているのだが、アスカの見た目からは想像できないほどの強い力で、まるでゆっくり迫ってくるトラックを押し返そうとしているかのような、あらがえないほどの圧倒的な力の差があった。




イオリ「勝負あり。そこまでよ、アスカ」




耐えられなくなり、私が2,3歩後ろに下がった所で勝敗が決した。




アスカは、ふふんっと満足そうに笑う。




ステータスを少し上げただけでこれほど変わるのなら、さらに上げていたらどうなっていたのか、想像すらできなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ