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【バーチャルドール:共通編①】導入(プロローグ&はじめてのレッスン)  作者: 愛楽優人(創作実験室)
■【チュートリアル】はじめてのレッスン
3/8

【チュートリアル】はじめてのレッスン「マスターのアバター」

――――――――――――――――

■ レッスンルーム ■

――――――――――――――――


私は目の前にいる5人を見ながら、しばし考え込む。




今までのやり取りがあまりに自然すぎて、『人間との違い』を全く感じなかったために、つい意識から抜け落ちてしまっていたのだが、目の前にいるのは『人間の入ったアバター』ではなく、『AIプログラム』などの最先端技術によって作られた『バーチャルドール』という『人間ではない存在』だ。




まじまじと反応や何気ないしぐさを観察してみても、ロボットやNPCという感じはまるでしない。


本当に普通の女の子のようだ。




などと考えていると、いつの間にかみんなで近くに来て取り囲み、不思議そうに私の事を見ていた。






うわっと驚いて立ち上がると、5人はペタペタと私の体を触り始める。




ヒナタ「マスターは本当の本当に人間なんだね~♪」




チサト「人間って、チサトたちと全然変わらないんだな」




イオリ「逆よね。バーチャルドールが人間に近づけられて作られているのだから、似ていてるのは当然なのよ」




サクヤ「人間らしくなるためのレッスンの成果でもありますね」




アスカ「つまりは、アスカたちがすごいって事でしょ!」




私からすると『バーチャルドール』の方が変わった存在なのだが、バーチャルドールのみんなからすると『人間』である私の方が変わった存在という事らしい。




チサト「そう言えば、マスターの今の体はアバターなんだっけ?」




イオリ「ねぇ、現実世界のマスターは、このアバターに似てるの?」




このアバターは、システィさんが用意してくれたものだから、実際の姿とは全然違うよと答えた。




システィさんがミコトさんと相談して、毎回レッスン内容に合うアバターを用意してくれるらしい。


正直、ゆるキャラみたいな姿のアバターしか持っていなかったので、これはとても助かる。




ヒナタが、もふっと抱きついてくる。


子供というより動物っぽいなと思って、ついヒナタの頭をなでてしまった。




イオリ「ヒナタだけ、頭なでてもらってずる~い♪」




イオリが小悪魔のような笑みで、からかうように言う。




ヒナタだけひいきするのは良くないという流れになってしまい、みんなの頭をなでてあげる事になった。


なんだろう、この状況……。




サクヤの頭を撫でると、




サクヤ「ありがとうございます♪」




と、ニコニコ笑顔でお礼を言う。




ニヤニヤとした笑みのイオリに背中を押されて、私の前に来たチサトは、




チサト「なんか恥ずいから、なでなくてもいいよ……」




と言うが、そっぽを向く。




イオリがちょいちょいと手で『早く撫でろ』というジェスチャーをしてくるので仕方なく、怒られやしないかと恐る恐るそっと撫でてみる。




チサト「ぅ~~……」




声にならない声をもらしながら、真っ赤にした顔をうつむかせた。




イオリ「次はイオリの番ね~♪」




イオリの手の平の上で転がされてる感はいなめないが、素直に頭をぽんぽんとなでる。




イオリ「頭以外もなでていいのよ♥」




言いながら、私の手を取って胸にゆっくりと近づけようとする。


慌てて手を引っ込める私を見て、イオリは小悪魔的な笑みを浮かべて舌を出す。




最後に、なぜか不満そうな顔をしているアスカの頭をなでると、ガブッとなでていた手を噛まれた。


頭をなでさせられて噛まれるのは何だか腑に落ちないが、アスカなりの照れ隠しの表現だと思う事にしておこう。




バーチャルスフィア内で使用されている一般的なアバターは、痛覚や触覚はあまり反映されないようになっているため、強い痛みを感じる事はないのだが、このアバターは特別製なのか現実とあまり変わらないようだ。


つまり、アスカの噛みつき攻撃は、結構痛かった……。

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