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第30話 世間の反応

 いつものメンバーを探す為、ギルド内を見て回るが、なんだか今日は人が多い気がする。


 普段は他人の会話なんて一切興味がないんだが、会話の断片断片に、天馬とか月音とか、ましてや凪斗という字面が並んでいたら、流石に少しは気になってしまう。


 だからって、止まって聞き耳を立てるとかは、ないんだけど。

 やっぱり、気になりはするよね。


 もともと、俺たちが勇者や聖女と扱われている時点で、多少は名前が聞こえて来るようなこの世界の有名人なのは理解していたけど。

 それにしたって、今日は俺たちの話題が多すぎる気がする。そこかしこから、名前が聞こえてくる。


「あ、ナギー!こっちこっち。」

 ほら、略称までつけられてるじゃん。

「あれ?聞こえてる?」

「うわっ!びっくりした!?」

「え?なに?どーしたの?」

「ごめん、ちょっと考えごとしてた。」

 ラシュアさんの案内で、無事2人とも合流できた。

「で、考えごとって?」

「いやなんか今日、人すごく多くないかなって思ってさ。」

「あー、たしかに多いね。」

「たぶんだが、昨日の“VS魔王城“の中継の影響だろうな。」

 え?中継??

「えっと?」

「知らないのか?昨日勇者様達が戦ってたろ?」


 んー、知ってて当たり前っぽいのかな?じゃあ、合わせとくか、見てはいたんだし。

「あー、いや、あれね。見てたよ。俺も。」

「凄かったよな。テンマ様もツキネ様も、ナギト様も。」

 うっ。

 なんていうか、バーツから俺の名前が出てくるって凄い違和感。

 てか、様付けって。


「そうだね。天馬様とか、本当一瞬だったからね。」

「そうそう、凄かったよな。そして、月音様。今日の混み具合の一番の原因だろうな。」

「?そうなの??」


 改めて見直してみると、男性の方が多い?いや、そんな事ないな。あ、でもコスプレっぽい衣装を着てる人が多いかも。

 鎧でガチガチのタイプの服じゃない場合は、魔法効率を上げる機能のある鎧なんだっけ?


「いや、テンマ様やナギト様の影響もあるだろうけど、周りの服装を見るとな。」

「ツキネ様が属性領域を作ってたのを見て、もしかしたら魔法使いにもチャンスがあるかもしれないって、引退気味だった人たちが多く出てきたっぽいのよね。」

「あー、なるほどね。」


 月音が見せたのは、完全サポート特化の能力だった。

 それも魔法使いの。

 本来、この世界で狩りをそれも大型獣の討伐をする場合、魔素領域の影響で魔法しか使えない人は、完全に何も出来なくなってしまう。

 せっかく強い魔法が使えても、強いモンスターには使えなかったり、弱い敵だとオーバーキルで素材が傷むリスクがある。


 それを考えると、冒険者としては魔法使いは不遇職だったのかもしれない。

 でも、そこに月音って言う希望の光が見えた。

 もしかしたら、月音のパーティ募集見たいなものがあるかもしれないってことで、感覚を取り戻しにきたのかな?


「俺やネアは、魔法効率が上がっても出来る事に大差はないが、ラシュアやナギアは変わってくるんじゃないか?」

「んー、そうね。私は魔素循環とか早くないから、魔法の運用効率は上がりそうよね。」

「俺は高火力の魔法とかほとんど使えないからね。そんなに恩恵は無いと思う。」


 俺が月音に支援されるなら、一番お世話になるのは回復魔法だろうからな。まぁ、たぶん怒られるから頼らないけどさ。


「そんなものか。」

「私の場合も、もっと優秀な魔法使いはいっぱいいるからね。あの中で張り合えるとは思えないわ。」

「ラシュアちゃんは、サポート魔法も得意としているからね。攻撃魔法は仕方ないよ。」

「俺らのランクだと丁度いいバランスで助かってるからな。」

「褒めても何も出ないわよ。」

 あ、珍しくラシュアさんが照れてるな。


「それに凄かったのは、月音様だけじゃないわ。」

「まぁ、そうだね。」


 天馬のスペックは明らかに素晴らしかったからね。

「ナギト様の戦いには感動を覚えたよな。」

「そうね。」


 一瞬、ドキッとした。気づかれてないよね?

 俺の方の名前が出てくるとか全然考えてなかった。

「そうなの?」

「そうだろ!ナギト様の能力は、戦闘について考えると向いてるとは思えない。全ての属性を使える事を考えると、研究者とかの方が大いに向いてるはずだ。全属性とはいかないが、大体の属性を使えるナギアも気持ちはわかるだろ?」

「まぁ、たしかに。決めてにかけるっていうか、出来ることに制限があるからね。」


 研究者でも、多くの魔法を使えたほうが便利っぽいから、向いてるとは思えなかったけどね。

 戦闘するよりはマシくらいな気がする。


「だからこそ、ビゲストに初挑戦で勝ったってめちゃくちゃ凄くないか?」

「難易度は一番優しい0(ロスト)である事を置いておいても、普通に出来ることじゃないわよね。」

「流石は勇者様、って感じだったもんね。」


 そんな風に思われてたんだ。

 魔王の中でも一番弱く、難易度も一番弱いものを選んだつもりだったのに、それでも勝つって事は、やっぱり重要な事だったんだな。


「ナギト様が使った魔法はよくわからなかったけど、多属性魔法使いの多くに希望を与えたんじゃないか?」

「反転属性魔法を使ってたっぽいけど、結構無傷に見えたのよね。」

「でも、最後の最後は、ビゲストとナギト様もどちらも倒れるギリギリみたいな感じだったよね。」

「そうなんだよな。見た目的には、守りながら攻撃を返していたように見えたけど、実際は結構ギリギリだったのかもな。動けるように、表面上は回復魔法で繋いでたとか。」

「そのあたりは、誰もよくわかってなかったわね。昨日から能力予想や使った魔法属性の考察がネットで凄い事になっているものね。ナギアは、どー思った?」


 ラシュアさんからの質問だけど、どう答えるべきかな?ってか、そんな話題になってるとか知らなかった。

 俺の魔法はただ単に姿偽装してるだけで、タネとかなくただ跳ね返しただけなんだよな。これを考察されるとか、申し訳なさすぎる。


「んー、俺は希少属性はほとんど使えないからな。あんまり想像とかつかなかったんだよね。」


 3人には、希少属性が使える事は言ってないし、てか、ボロが出そうで怖すぎるから、適当に流すしかなさそうだな。


「あー、そうなんだよな。そこなんだよなぁ。そもそも、反転属性って物を見る機会がなさすぎるから、よくわからないんだよな。」

「逆転鼠とか狩りに行ってみる?」

「いや、反転属性の魔法を使われたからって、使う側の気持ちはわからなくないか?」

「まぁ、そうよね。」


 楽しそうに会話する3人を横目に1人、思ったことがある。

 なんていうか、ここで3人から勇者様達についてのリアルな意見を盗み聞く予定はなかったけど、こうしてこの国の住民としての気持ちを知れたのはよかったのかもしれない。


 天馬と月音、2人に置いていかれたくなくて、せめて最低難易度でも勝ちたいって思ってた。

 それでやっと勝てた。ギリギリのギリギリで、魔王城の回復魔法がなかったら、終わった後、死んでもおかしくないような怪我を負いまくって、やっと勝てたんだ。


 でも、それは自己満でしかなく、何かになったとは思えなかった。2人との間の大きな溝にしか、俺には思えなかった。


 でも、こうやって好意的で励まされた人もいるって知れた事は、結構ありがたい。


 嘘で塗り固めた姿ではあるけれど、それでも俺は上手く魅せれたんだ。

 それだけでも、十分な収穫な気がする。


 少しだけ、心が軽くなった気がした。


 これもラシュアが誘ってくれて、みんなが受け入れてくれたからなのかな?

 1人ではもっとキツかった気がする。


 3人に俺がナギトだって言える日が来るのかとか、そういうのはわからないけど、それでもいずれお礼はしたいな。


「3人ともいつも色々と教えてくれてありがとうね。」


 今は、これくらいしか言えないけど、いつかはね。


「な、どーした急に?」

「ナギア君が可愛いらしくなってるね。」


 やっぱ、口にするって少し恥ずかしい。

 ネアさん、頭を撫でないでください。どういう反応なんですか、それ。


「たまには、こういうことも口にした方がいいんだよ。バーツは彼女さんにそういうことしてる?」

「いつも心から思っているさ。」

「きちんと口にしないと、すれ違いかなないからね。」

「う、それは気をつけるけど。ちゃんと伝わってるはずだけどな、俺の気持ちは。」

「こういうのって……。」

 ラシュアさんに目線を向けて見る。


「愛想を尽かされてから気づく、ダメなパターンよね。」

「な!そんな事は無いぞ。ちゃんといつも俺から愛を!」

「いい!聞きたくなーい!どうせ惚気でしょう?」

「そっちから、振った話題なのに!!」


 なんだよ、ひどいよなー。って言いつつ、画像を表示させてる。たぶん彼女さんかな。


「そういう話題なら、ネアから聞きたいのよね。」

 周りに聞こえないように、ラシュアさんがボリュームを、一気に下げた。

「天馬様がパン屋さんに結構来てくれるんでしょ?」

 それを聞いて、ネアさんが少し顔を赤くしてる。


 天馬からどのくらい進展したかとか、一切聞いてなかったけど、結構進んだのかな?


「そ、そうなんだよね。なんで良く来てくれるのかよくわからないかったんだけど、ついこの間ね。」

「あーー!!!クッソ、なんなんだどいつもこいつも!!!!」

 誰かの大声にネアの言葉が遮られてしまった。


 なんだろうと思い、視線を向ける。

 そこには見たことがある顔があった。


「あー、アリアトスか。荒れてるな。」

 バーツも知ってるようだ。まぁ、VS魔王城のランカーって聞いてたし、有名人ではあるのか。


「誰に憧れたか、知らねぇが、狩りに出るんなら、早く行けよ。ここにたむらってないで!」

「凄い人に触発されて、自分もやりたくなるのはあるあるだけど、実際同じようには動かないからねぇ。」

「うざすぎる。」


 知らない女性と話してるみたいだけど、昨日会った時とは結構、雰囲気が違うね。

 っていうか、酔ってるのかな?お酒みたいの持ってるし、顔赤いし。


「俺が!俺が、世界を救うつってんのに、くそ!くぞぉ!」

 え?泣いてます?やっぱり完全に酔ってるっぽいな。





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