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第三話 日本人はとりあえずご飯渡しとけば寛容になると思う

 天馬の走らせる風浮車で、緑生茂る山道を難なく進んでいく。浮いているからか、変に揺れたりせず凄い快適だ。気候も暖かい為か、触れる風が気持ちいい。


「なんで当たり前のように、天馬が運転してるの?」

 ありがとう、月音。俺が最も聞いて欲しかったことを、聞いてくれた。

「え?だって、凄い楽しいぞ!おれ車とか運転したかったから、正直テンション上がってる。」

「いや、それはおめでとうだけど……」

 まぁ、言いたいことはわかる。ただ、今のところ危なそうな場面が一度もないから、言いづらさもある。

 そこを察したのか、王子様が声をかけてくれた。

「危険性については保証しますよ。レーリも付いています。危ない場面があれば、指揮権を奪い、回避してくれますよ。」

 レーリとは、多分だが、天馬の隣に座っている、女性騎士のことだろう。王子様ですら外にいたのに、召喚の間にいたりしたことから、優秀な方であり、信頼もされているのだろう。

 王子様と比べれば、少し年上にも見えるが、二十歳位ではないだろうか?

 異国人のため、年齢が読みにくいが、それでも結構若い方であろう。

 凄い人なんだろうなと感心する。

 ただ、若さ故にこういう時、少しはしゃいでいるのかなとも思う。


「まぁ、じゃあ、いいのかな?」

「んー?これ、免許とかは無いんですか?」

 まぁ、この感じないんだろうなと思いつつ、何気なく呟いたんだが、王子様は和やかに言う。

「ありますよ。」

「「「あるの!?!?」」」

 3人でハモってしまった。天馬も聞き耳は一応立ててるみたいだ。

 一瞬だけ、車が変に揺れたのは、仕方ないとも思う。

「ですが、ここは王家の私有地ですので、特に問題はありません。それに希望があれば、勇者様や聖女様は比較的簡単に、免許を取れるようになっています。取りたい場合は、言ってください。身分証としても使えるので、有ると便利ですよ。」

 やめて!そんな庶民的な話、異世界の王子様から聞きたくない。

「車の免許みたいなものなんだね。なんていうか、ここほんとに異世界?って言いたくなってきちゃう。」

 それは、おれも薄々思ってた。

「それについては、前回の勇者様も似たようなことを仰っていましたね。」

 そうして、王子様は、この世界について色々と話してくれた。








 そして、王宮についた。

 今俺たちは、豪華なソファに座りつつ、並べられた、お菓子に圧倒されていた。マカロンやクッキーにケーキが、段々になって並べられている。ついでにポテトもある。こんなん、テレビでもみない。

「なんていうか、現実的だったり、非現実的だったりして、訳がわかんないね。」

「ほんと、それな。」

 わかる、語彙力が低下してしまうほど、衝撃すぎて頭が回らない。

「とりあえず、簡単に聞いた話をまとめ直してみる?」

「そうだなぁ。そうするか。」

「私たちは、この世界では聖女と勇者って存在みたいだね。」

「あぁ、それで既に13回も召喚が行われていたらしく、今回十四代目の勇者として来たのが俺たちだな。」

「数で言うと、一クラス分くらいかな?」

「どうなんだろ?なんか、数もまばらみたいだし、少ないときは一人だし、多いと4人くらいって言ってたからな。じゃあ、それくらいか。」

 優しい天馬は答えているが、その確認は必要なんだろうか?まぁいいか。

「来てた人は、俺たちより前の世代っぽいけど、そんなに差は無さそうだよね。」

「そうだな。恐らく、二千年代の人だろうけど、年号は被ってない人もいるかもな……ただのポテトでこの美味さ!?ディップするつもりだったけど、このままでも無限に食えるな。」

「その割に、この世界は初めての勇者召喚から、千年以上経ってるっぽいから、ね!?このケーキめっちゃ馬なんだけど!馬美が凄い勢いで、走り去ってく。」

「魔王の出現が、百年置きぐらいで発生してるみたいだからね。勇者の召喚もそれに合わせて行われるみたいだし。あ、ほんとだ走り去ってっく。」

 やばい、どのお菓子とっても、旨すぎる。馬美って誰やねん!?って思ってたけど、気持ちがよく分かったわ。やばいなこれ、全員太る未来しか見えないんだが!なんでここの人、みんな細いんだ!流石、貴族様だな。

 でしょ!と、月音が合いの手を入れつつ、本題も欠かさない。

「で、なんだっけ?魔王様の出現条件が、特殊な魔素が一箇所に溜まっちゃうと、出現するんだっけ?あ、この馬実めっちゃ可愛い。」

 いや流石にその表現は訳わからんのだが。


「そうっぽいな。今でも、研究はされてるけど、自然に溜まってく、その魔素ってやつを退かす方法も、使う方法も見つかってないから、魔王の出現は避けられない自然災害って感じになってるみたいだな。」

 天馬は気に入ったソースがあったのかな?口にしないけど、ずっと同じの付けてる。

「そもそも魔素ってのが分かりづらいよね。」あ、確かにこのディップソース美味しい。

「元の世界と1番違う部分だよね。これ飲んじゃうと、もうドリンクバー飲めないかも。」

「向こうは、元素が沢山あったけど、この世界は魔素一つで成り立ってるみたいだからな。」

「うん。」


「「「…………」」」

 ん?なんか、会話止まったな。てか、二人に見られてる??

 あれ?もしかしてこれ順番に喋ってく感じなの!?会話ってそう言うものだっけ??他二人が話してる時に食べたいからって、そんなことあんの!??

 しかし、二人は食べ物に夢中のようだ。まぁ、俺だけ黙るのも悪いし、会話繋ぐしかないか。

「魔素が性質を変えることで、火とか水とかいろんなものに変わるみたいだけど、元を辿ると、魔素って言う一つの元素なんだよね。」

「そうみたいだね。性質を変えるのも、魔法とかいろんな方法があるみたいだけど、魔王を生み出す性質を持つ魔素の性質の変え方とか、出現理由もよくわかってないみたいだね。」

「メカニズムがわかっても、止め方がわからないってのは、地震とかに近いのかもな。」

「だから、自然災害ってことなのかもね。」


「それに呼び名が魔王だけど、別に生物とは限らないみたいだもんね。」

「化け物が誕生して、森や町、全てを壊してくパターンだったり、植物が出来て、疫病が蔓延したりとか、結構いろいろあるみたいだね。」

「今年どうなるかは、誕生するまでわかんないって、結構きついよね。」


「俺たちも、魔法とか覚えて戦えるようになっていくんだよな。」

「適正とかいろいろあるみたいだけど、それはこの後測るらしいね。聖女って言うんだから、回復系なのかな?」

「呼び名ってだけだから、あんま関係ないんじゃないか?まぁ、月音はヒーラーとか似合いそうだけどさ。」

 そこは天馬の意見に同意だ。

「あぁ、確かに。ひたすら回復し続けて、私のために死ぬ気で戦い続けてねとか言いそうだよね。」

「ん?」

 美味しそうにマカロンを食べて微笑んでるのに、なんでこんなにも恐怖心を煽れるんだろう。

 話題を逸らそう。


「そういえば、帰ることは出来ないみたいだね。」

 みんなの手が止まった。まぁ、今のこの状況は、やけ食いにも近いものがあるから仕方ない。

 この世界では、遠くにあるものを呼び出し再構成する魔法は発達しているが、送信する技術は、発達していないようだ。

 メッセージのような、実態の持たない物は送れなくもないみたいだが、実態が大きくなるほど難しくなる。

 よって、俺たちを召喚することは出来ても、送り返す事は出来ないらしい。

 その上、俺たちは召喚とともに、既に身体構造が書き換えられているらしい。

 まぁ、当たり前の話だ。元の世界は化学で成り立っていたはずだが、この世界は魔素ひとつだ。

 書き換えを行わなければ、俺たちはこの世界で生きられないと言われた。

 断言するって言うことは、そう言うことなんだろう。


和樺わかばねぇ、どうしてるかな?突然、俺たちが消えたの見てるだろうし、姉上しか証言出来ないだろうけど、非現実的すぎるし。」

「たしかにね。異世界に召喚されたって言ったら信じるかな?みんな。」

「どうだろうな?鞄とかはナギナの家に置きっぱだけど。」

 服以外の物は、一緒に飛んでくることはなかったから、鞄とかは、うちに置きっぱなしだろう。結構、不自然だなぁ。けど、だからこそ。

「心配はするだろうけど、生きてることは喜んでくれるかな。命があるんだったら、まぁってね。」

「伝えられればいいんだけどな。」

「持ってくることは出来ても、送るのは難しいんだもんね。今までの勇者も戻り方とか研究してたみたいだけど、結局戻れた人はいないみたいだし。」


 結構、暗い感じになってしまった。話題を振った俺のミスだよな。


「確かに戻れた人はいないみたいだし、難しいとは言ってたね。でもさ、俺たちは比較的、発展した異世界でこれからを生きていくんでしょ?昔の人も無理って言ってた話なんてたくさんあったじゃん。飛行機とか、冷蔵庫、スマホとか。昔の人からしたら未知の物で、いつか実現するなんて思わなかったと思うんだ。理論上可能になっても、結局作れないってなったことはたくさんあった。それでも百年くらいしたら、実現してるものもたくさんあるんだよ。前に来た人と比べて、百年くらい経ってるんだとしたら、また新しい世界に発展する可能性は、十分にあり得ると思うんだよね。」

 二人の目を見ると、月音と天馬と目があって、そのあと、月音と天馬で目を合わせてた。

 ま、頑張ってみる決心がついたみたいだ。悩んでても仕方ないしね。

 お菓子も美味しかったし。

「うん。頑張れば、二人なら出来るよ!」

 力強く二人を鼓舞するように宣言してみた。

「「いや、ナギナも頑張るんだよ(んだぞ)!」

 何故かツッコミが飛んできた!


 そういう重要な役回りは、二人みたいなキラキラした人の役目だと思うんだけど。

 まぁ、手伝いくらいはするものか。

「おけ。少しは手伝うね。」気の抜けた返事をしておく。

「なんで、こう大事なとこで主体性失うかな?」

「これが、ナギナの良くないところだからな。途中まで言いこと言ってたのに。」

 この世界での能力とか、まだ何もわかってないから、頼りきるのは良くないか。まぁ、あんま期待できないけど。

ノロノロですみません。

読んでいただきありがとうです

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