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第17話 準備

「ナギア君、次スイッチお願い。」

「了解です。」


鱗粉蛇リルネークの尻尾を大きく振った重そうな一撃をネアさんが盾で防ぐ。

すぐさま連撃が来るので、間に入り剣でいなした。


それと同時に、バーツさんとラシュアさんが別方向から攻撃を仕掛ける。

仕掛けた攻撃はヒットしているので、着実に消耗させられてる。


今日戦っているのは鱗粉蛇リルネークと呼ばれる、おっきな蛇型の動物。大きな図体で小動物に絡みつき、消耗したところを丸呑みにするらしい。

この時、捕まえた動物が魔法攻撃を出来ないように、属性領域を作る。ただ、捕まえた動物に対して属性領域を作るため、その範囲は結構小さい。

この時の属性領域を纏ってる姿が鱗粉のように見えるため、鱗粉蛇リルネークという名前らしい。


捕まってしまうと厄介だが、属性領域を作れるだけで、魔法攻撃はしてこない。

なので、捕まらなければただの大きな蛇でしかなかったりする。


「ナギア君」


ネアさんが、体勢を整え直したので、また入れ替わる。


ネアさんはおっとりした雰囲気に似合わず、防御魔法などの身体強化系の魔法を得意としている。


ただ常時身体強化を行うのは、体に負担が大きいらしく、攻撃が当たる直前に魔法を使っているらしい。話を聞いている限り、ジャストガードを連発し続けているっぽいのだが、動体視力も強化して、相手がゆっくりに見えているから、難しくはないんだって。

こっちはそこまで負担が大きくないので、戦闘中は常時発動してるようだ。


ずっと、ゾーンに入ってるような感覚ってどんな感じなんだろ?

普通に凄いよね。


ネアさんが囮になってくれている隙に、バーツさんと胴体に畳み掛ける。

バーツさんは思ってた通りの長槍を、振り回される 事なく華麗に扱っていた。

一撃一撃が力強く、しっかりとダメージを蓄積させている。

俺の傷跡と比べて何倍もの深い位置まで一度に刺しているのがよくわかる。


最後にラシュアさんが俺たちの間を縫うように、氷属性の攻撃をぶつけている。

息を合わせているというより、俺とバーツさんが攻撃しているところに、ラシュアさんが俺たちを避けて攻撃してくれてる。結構、繊細な技術が必要そうなのに、なんともなくやってるようだ。


なんていうか、副業でやってるって言う割に、みんな結構レベルが高そうな印象をここ最近思ってた。

パーティバランスも良くて、戦術がちゃんとしてる。

ネアさんが戦闘に立って、敵の攻撃を一番前で受けて、ネアさんの動きから、後衛は位置を変えて逆方向から攻撃すると言うスタイルだ。

大抵の動物は目の前の敵から処理してくるので、大体はこのスタンスでいけてる。


俺ついていけてるのかな?

ついていけてるのか、力不足なのか、その辺がわからないぐらいの未熟な俺では判断がつかなかった。


ダメなら言われるだろうと思うしかないよね。




そうこうしているうちに、バーツの攻撃が最終的に致命傷になったようで鱗粉蛇リルネークは、動かなくなった。





「ぷっはぁ。狩猟後の酒はやっぱいいなぁ!」

「バーツ、汚い。」

豪快に一気にお酒を煽るバーツと対照的に、丁寧にゆっくり呑むラシュアさん。

「今日も唐揚げがすごくおいしぃ。」

ネアさんは今日も食事量が凄いな。見た目的に細身に見えるし、着痩せではないと思うんだが、凄い勢いで唐揚げと焼き鳥が無くなっていく。


最近は、狩りの後ご飯を一緒に食べる事が多い。食の好みも結構、魔法属性に支配されるんだよね。

身体強化系は、お肉が凄く欲しくなるらしいので、お疲れ様ですって感じだ。


「ナギとの狩りも結構慣れてきたわよね。」

「うん。安定して入れ替われる人がいるのは助かるよ。」

「バーツは、攻撃受けるの得意じゃないものね。」

「避けて、懐は入れそうって思ったら体が動いてるからな。」

「それで私らに攻撃が当たったら詰むのは、こっちよ。」

バーツさんはガツガツ攻撃したいタイプだから、タンクとか向いてないみたいだね。

「みんなの役割がハッキリしてるから、俺も動きやすいかな。サポートぐらいにしかなってないかもだけど。」

「大丈夫よ。私らのパーティとしては、凄く相性良かったわ。なんとなくで、話しかけたけど、間違ってなかったわね。」

「そうだなぁ。最初は、ネアが好みの男でも見繕ってきたのかと思ってたけどな。」

「な、違うわよ。バカ。ちょうど一人増やしたいって話してたから、いいかなと思っただけ。」

「ほんとかぁ?」

「ほんとうよ!」

「なんかごめんな、ナギア。」

「え?あ、別にナギアが嫌とかって話じゃないからね。」

「ふふ、大丈夫だよ。」

この顔に惚れられても困るだけだからね。


「みんなは恋人とかではないんだね?」

「それでここに誘ってたら、ネアは鬼畜だな。」

「そうね。私らは今彼氏いないわね。」

「私らは?」

「俺は彼女いるからな!」

「え?そうなの!?」

「おう、みるか?写真あるぞ!」

言うとすぐに、目の前に画面が出された。

見せたくて仕方ないって感じですね。

そして、出てきたのは黒髪に眼鏡を掛けた知的な雰囲気の女性だった。

「美人な人だね。」

「だろぉ!」

「バーツには、絶対もったいないのよね。」

「たしかに、お似合いではないかも?」

「ナギア!?」

「あ、じょ冗談だよ。美女と野獣って感じでいいと思う。」

「それ、フォローじゃないからな?」

「あはははは」


「バーツの彼女は良いから、そろそろ明後日の話しましょ。」

「明後日?」

「ええ、みんな休みだったわよね?あれ?ナギも平気よね?」

「あ、明後日も狩りに行くってのは覚えてるよ。」

「私らがパーティ組もうってなったのは、こいつを狩りに行くためよ。」


そういうと、みんなの前に一匹の動物が立体的に写し出された。


「水面イモリ(シーサラウド)って言って、難易度Bぐらいのモンスターよ。私たちがよく倒していたレベルね。推奨人数が4人ってところがいつもと違うところね。」


上半身が緑なのに対し、グラデーションしながら、最終的に水色に変わってる。

面白い色合いのイモリだね。


「そういえば、なんで今回は四人パーティのクエストを取ろうと思ったの?」

「そっか、ナギには話してなかったね。私、アクセサリー作りが趣味でたまに作ったりするのよ。」

「え、すごいね。」

「それで、少し前にね。私たち勇者様に助けてもらう事があってね。」

「あの時の勇者様達かっこよかったぁ。」

あ、黒衣獣ダスティマニアとのことだね。

「そう、すっごくかっこよく助けて貰っちゃって。その場で御礼は言ったけどさ。ちゃんと御礼とかもしたいし、でも簡単には会えないしさ。」

「それで2人への感謝を忘れないようにって、2人のイメージカラーのアクセサリーかを作ることにしたんだよね。」

「まぁ、それぞれの推しのアクセを作るだけだから、完全にただの自己満なんだけどね。」


そんな風に自虐的に2人は笑って見せたけど。

そんな風に思われてたのか。こうして会ってなかったら、知らなかったことだけど、あの時の頑張りは無駄じゃなかったってことか。

腕が飛んだらいろいろあったけど、良かった。


「そんな事があったんだね。」

「うん。それで、私はナギト君推しでさ。」

「私は天馬君推しなのね。」

一応、バーツに視線を向けて見る。

「俺は彼女推しだから。ナギアに譲るよ。」

なんか、月音が振られたみたいになってる。

なんかごめんね。

謝るな!ってツッコミが聞こえてきそうだね。


「でね、この前の歓迎パーティーの写真を見てさ。ナギト君は青とか水色系?」

「天馬君は、緑が好きなのかなって思って、その色のアクセが欲しくなったんだぁ。」


月音が色合いとか凄く考えてたけど、こう言うのを予想してたのかな?凄いな。商魂。


「なるほどね。それでせっかくなら狩りに行こうって思ったんだね。」

「んー、それもあるんだけど、ちょっと違くってね。水面イモリ(シーサラウド)なら、色に拘れるなって思って。」

「買い取りだと、取ってきてくれた中の鱗しか選べないけど、自分で行けば、全部の鱗が見れるからね。」

「なるほど。」

なんていうか、理想のための行動力が凄まじいね。


「凄い、熱量だよな。最近は、国産勇者への活動も積極的だよな。」

「そうね。あんまり今の勇者様達の為って感じしないから、あんまりだったんだけど、勇者様の為に何かしたくても出来ることって少ないからね。少しでも役に立てるならって、最近は少し思うの。ナギはどー思う?」

「え?あ、国産勇者のこと?」

突然振られて、びっくりした。


「まぁ、実現出来たら素晴らしいんじゃないかなって思うよ。不自由なく暮らせるように整えているけど、帰れないって言うのはやっぱり寂しくはあると思うからね。今後も勇者様や聖女様にしか、頼れないのは、国としても良くないだろうし。」

「そうよね。」

「でも、2人が力になれないって思うのは、違うんじゃない?国産勇者の取り組みとか、勇者様や聖女様への待遇とか見た時に、結構な高待遇が出来てるから、この国からの誠実さは伝わってるんじゃないかなって思うよ。」


俺は2人に比べると明らかに、役に立った場面てなかったけど、それでもこの国の人達は、温かく接してくれる。

決して、貶められたことって本当に一度もないんだよね。

俺は1人が好きだからこうやって、顔を隠して行動もたくさんするけど、ナギト・ナガルルを悪くいう人を耳にしたことなんてないしね。


チート能力もなく、世界発展に貢献出来るほどの趣味も持ち合わせていなかった俺としては、この十四代目という、かなり進んだ世界線で召喚されたのは、本当はよかったことだったのかもしれないな。





題名思いつかなかった

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