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第14話 パーティ前

「はぁあぁぁ、ドキドキする」

「流石に人が多いよな。」

「俺見学したいな」

「見学ってなんだ?パーティにそういうのないからな!」


 この国の有力者?有識者?まぁ、国を代表するパーティに出れるような方々と、初対面する日になってしまった。


 すでに、俺ら以外の人は城内にある大ホールに集まって歓談がされていた。

 聞いていた通り、人の数が凄まじい。


 一応、俺たちへの配慮で同年代の子供が多く集められているらしいが、それにしたって、こんな数の人に注目されるのは、経験なさすぎて吐きたくなってくる。


 2人は委員の代表とかするから少しは慣れてるだろうけど、それでもいつもとは少し違うのだろう。2人が緊張してるのは見て取れる。

 2人ですら緊張するなら、俺には耐えられるはずないじゃないか。


「うまいこと、来たのは2人だけってことに出来ないかな?」

「無茶言うな、失敗とかはないんだから、諦めるしかないさ。」

「まぁ、そうだけど。」


 俺たちと交友を持ったり話したい人との交流を持ったり、俺たちがこの国を文化的に知る事も意味したパーティであり、俺たちへの一番の期待が魔王退治なら、上手く喋れる必要はないんだろうけど。

「それでも、緊張はするでしょ?」

「まぁね。」

「簡単な挨拶は、だいたい天馬がやってくれるんだし、私たちは噛まないかなぁって、見てれば大丈夫よ。」

「たしかに!それいいね。」

「応援しろよ。話したくないって言うから、引き受けたのに。」


「皆さんは本当に仲が良いですね。」

 一緒に控えていた、王子様とキラリアさんが控えめに微笑を浮かべてる。

 わぁ、絵になりますな。

 欧風の王子様とお姫様に、現代日本での王子様とお姫様が集まってるのか。

 ここまで来ると、少し凡人が混ざった方がバランス取れるのかな?そう思わないと辛そうだ。


「うはぁ、キラリンのドレス姿、前のも似合ってたけど、今日は一段と綺麗だね。」

「ありがとうございますわ。月音も華やかで愛らしいわ。」

「本当?ありがとう。」

 キラリンってあだ名いいのかな?ってか、面識あるんだね。

 月音はイエローベースで、ふわっとしたスカートに白のレースの小さな羽織ものをつけて可愛らしいイメージに対し、キラリアさんは赤一色のスラッとした雰囲気で、美しさを体現していた。

「あ、2人は面識ある?」

「数日前に、魔法場で紹介してもらったよ。」

「デロイと手合わせした時に、軽く挨拶だけな。」

「そかそか。」

「そういえば、2人はお似合いそうに見えるけど、付き合ってるのか?許婚みたいなのは、最近ないって聞いたけど。」


 気になってたけど、よく聞けるね、天馬さん。


「ええ。婚約もお付き合いもしてないわ。私たちもただの幼馴染なのだけれど、お互いに他にパートナーもいないから、エスコートしていただいているの。」


 うーん、恋愛感情的なのは無いってことかな?

 確かに、月音と天馬もよくお似合いって言われてるけど、もう付き合うことはないだろうし。

 腐れ縁に近いのかもね。


「もう何年もパートナーをしてるから、どちらかに相手が見つかるまでは、このままでもいいかなと思ってさ。僕がいつもパートナーを申し出てるんだ。」


「へぇ、そういう関係も素敵だね。」

「まぁ、俺たちも近いものがあるからな。」

「私たちは違うでしょ?」

「まぁ……そうか。」

 2人がほのぼの話を聞いているが、2人と自分たちでは。

「え?違うの?」

 仲の良い、恋愛関係の無い、幼馴染の男女。

 って考えたら、似たものな気がするんだけどな。


「私らの関係は、ナギナがいないと成り立たないからね。」

「確かにそうだな。」

 そういうと、月音が俺の右手を取って、左側に天馬が立った。


「えっ!?いや、そんなことはないだろ??」

「あると思うけどなぁ。」

「可能性の話だがな。」


 んー、まぁ、物語でも友人キャラって大事だったりするからな。

 主人公たちがすれ違ったり、上手くいかなくなった時に、2人の架け橋として支える存在って考えたら、重要か?


 あれ?でも、そう考えると、2人が全く上手くいかなかったのって、俺の責任になるのか??


「嫌な事実だな。」

「え?嫌なの??」

「あ、嫌、嫌ってわけではないんだけど、なんか俺が上手く支えきれなかったから、2人が上手くいかなかったみたいに思えてさ」

「あー、それは関係ないよ。ただ、天馬に魅力がなかっただけ。」

 ニコッと無邪気に笑う月音さん。

「おい、もう少し言い方あるだろ?」

 すかさず、天馬も突っかかる。

「えー、天馬的にも同じでしょ?」

「そんなことはないぞ。月音の良さはわかってる。」

 男らしく語る天馬に、一瞬時が止まったように感じる。

「ただ俺の好みじゃなかっただけだ。」

 雰囲気が一変した。


「似たようなもんじゃない!」

「え?!全然違うだろ??なぁ、ナギナ?」


 月音視点で感じる天馬の魅力がなかったってのと、天馬的には好みじゃなかったは、ほとんど同じだし、俺がどうにか出来ることじゃないな。

 うん。俺のせいじゃない。


「んー、同じじゃない?」

「ほらぁ。」

「なんでだ!?」

 俺の意見を聞いて、月音が天馬にドヤ顔して、天馬が頭を抱えた。

「ただ、天馬は客観的な視野も持ってったって話だよ。天馬、優しいから。」

「あれ?私の味方じゃなかったの?」

「なるほど。納得した。」

 2人がコロコロと表情を変えている。


「御三方も素敵な関係でらっしゃるんですね。」

「確かに、そうだね。では、僕たちはそろそろ時間なので、お先に会場に行きますね。お話しした注意事項だけは、気にしていただきたいですが、基本的に勇者様方に楽しんでいただくのも目的の一つですので、楽にしてくださいね。」

「では、お楽しみくださいませ。」


「わかりました。ありがとうございます。」


 王子様がキラリアさんをエスコートして、その場を去っていく。


「注意事項ね。」

「勇者様と聖女さまを神様的に崇拝してる感じの人たちもいるから、気をつけてってことだっけ?」

「あとは、国産勇者団体だっけ?」

「俺たちみたいな、突然異世界に連れて来られる犠牲者を増やさない為に、国民から勇者として、魔王を倒せる人を育成しようとしている団体だったか?」

「うん。この人達やその集団を応援する人達のほとんどは、俺たちに同情してのものだから、悪意が向けられることはないって言ってたけど。」

「だからって、神様的に信仰されるのも怖いものがあるよね。」

「まぁ、でも教祖様って面白そうではあるけどね。」

 2人して目を点にする。

「月音にまで、そんな目で見られるとは。」

「面白そうだからって、ついてっちゃダメだぞ。」

 天馬から凄く子供向けなお叱りを受けた。

「わかってるよ、結構規模でかいみたいだから、活気をつける為に、勇者様達とコネを作りたいみたいな人達もいるっぽいね。」

「召喚をしない為に、国内で勇者を作ろうって考えは悪くないんだけどね。」

「過激っていうか、規模がデカくなると手を選ばない人も出てくるってのが、怖いんだろうな。」

「後は、私たちの気持ちを勝手に決められるのもかな?」

 それは、確かにそうかも。

「家族に会えないのも、他の友達に会えないのも悲しいし、全くの別の価値観で今後生きてくってのは怖いけど、でもそれだけではなくない?」

「そうだな。魔素や属性って言う、別の価値観で、新しい世界に触れるのはなんだかんだ楽しいからな。」

「同じ勉強なのに、なぜかそこまで苦じゃないからね。」

「そうそれ!なんでだろね?」

「勉強って、めんどいってイメージがつきすぎなんじゃない?」


 後は、勇者補正かわからないけど、壁に当たらないからかなぁ。努力に見合った成果が見れれば人って頑張るんじゃないかな?

 これは、口には出せないけど。


「まぁ、ともかく可哀相って言われんのは、なんか違う気がするのよね。国で生活を保障してくれるのとは違ってさ。」

「そうかもね。」

「うん。ただ応援してくれるだけで、ありがたい気もするな。」

 2人的にはそう思うのか。まぁ、俺も2人を崇拝する大多数に変わりないのかな。


 そんな会話をしていたら、メイドさんがやってきて、時間になった事が告げられた。


 月音を挟んで、右に天馬左に俺が立った。

「うわぁ、両手に、両手にぃ……両手に剣ってやつだね。」

「それ月音がすごい無双を始めそうなんだけど!いいの?全然羨ましくないよ!」

「やっぱ、ナギナが真ん中に来る?」

「それもありだよな。」

「いいよ、目立ちたくないし。それに、この並びで衣装のバランスも取ったんでしょ?」

「まぁ、そうだけどさ。」

 少し照れ臭そうに、まごつく月音。

「そうだったのか?いつもの色合いだと思ってた。」

「別にすごい考えたわけではないんだけどね。じゃあ、両手に剣のままでいいや。」


「うんうん。それで良いよ。」

 真ん中が目立つとかは無いと思うけど、この組み合わせで俺が真ん中はいろいろ考えちゃいそうだしな。

「じゃあ、行くか。」

「うん。」


 俺たちは大きな扉の前に並んだ。




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