10話
10話
さて、俺はいつもより早く起きて北門へと向かっている。
北門が見える頃にはいつも起きる時間くらいになっていた。
ん?まだだれもいないかな?
北門ですこしまっているとすぐに師匠がきた。
「師匠おはようございます!」
「おはようカイル。早いな。」
「時間の指定がなかったので早めに来たんです。」
「そういえばカイルは初めてだったな。ライノさんの商会であるハミッシュ商会の移動は朝と言えば7時集合なんだ。今は6時45分だからもうすぐ来ると思うぞ。」
師匠はズボンのポケットから時計を取り出していたものを見ながらそう言った。
「そうなんですね。というか師匠時計持っているのですね。」
「これか?これはこないだ買ったんだよ。常々時計が欲しいと思っていたのだがちょうどよさそうなこの時計が目に入ってつい衝動的にな」
「俺もほしいとは思うのですがまだまだ高くて」
と話していると馬車が近づいてくる音が聞こえたのでそちらを向くと1台の大きめの馬車が近くに止まった。
「二人ともおはようすこし待たせたかね?」
「そんなこともないですよ。」
「それでは二人は御者と一緒に座ってくれ。今回御者をするエルと娘のリリーだ。」
「護衛をするパノラだ。よろしく頼む。それと、弟子のカイルだ。」
「よろしくお願いします。」
ライノさんの娘のリリーさんは父親に似た髪質で茶髪で腰まである髪を後ろで結んでいる。
エルさんは少し年上の青年といった感じの人だ。
「リリーです。よろしくお願いします。」
「エルです。若輩者なので御者もやっていますが一応従業員です。」
「さて、自己紹介も簡単に終わったことだし出発しようと思うがいいかな?」
「とくにないので大丈夫なのでいきましょう。」
そして、俺の初めての護衛依頼が始まった。
「師匠護衛依頼のとき何を気を付けたらいいのですか?勿論周りを警戒するのらわかるのですが」
「そうだな、警戒しすぎると疲れてしまうからそこは魔法でズルをしよう。今のカイルなら使えると思うんだ。ちょっと使える魔法を意識してみて敵意に関する結界魔法とか探知魔法みたいなのがないか探してみてくれ」
「はい!」
俺は今使える魔法が何かを考えるとその中に今の条件に合う魔法がみつかった、その魔法はとくに魔法名は、なく概念的な魔法みたいだ。
どんな魔法かというと自分を中心として半径500m(現状)に敵意をもって近づくと生物の本能的に逃げ出したくなるような気配を感じ離れてしまうというもので現状の自分より弱いものにはてきめんで強い相手には違和感として感じられるものでそれでも離れないものなどいたら自分に虫の知らせのように知らせるというものだ。
自分でもよくわからないけど便利そうなので今回は使おうと思う。
因みにこのよく分からない便利魔法は消費が回復を下回るように調節され展開される。
つまり回復量が増えると範囲も広がる。
「師匠いいのがありました。」
「ほう、どんな魔法だ?」
「自分より弱いものを半径500m以内に敵意をもって入ると本能的に逃げてしまうように仕向け、強いものには違和感を与え、離れなければ虫の知らせのように感じ取れるようになる魔法です。」
「なかなか良さそうだが魔法名や消費魔力はどうなんだ?」
「魔法名はなくて消費魔力は消費<回復となるように自然に組まれます。で回復量ふえたら範囲も広がります!」
「なんというかむちゃくちゃな、魔法だな」
「ですよねー。とりあえず使って見ますね」
「どうだ?」
「んーとくになにも感じませんが魔力が消費されるそばから回復しているので少しなれるまで違和感が有るかもしれないくらいですね。」
「じゃぁ、そのままキープな」
「はい」
その後魔法の効果なのかとくに何もなく今日の夜営地までたどり着いた。
海道沿いにはある程度の感覚で夜営をするために自然にできた共同の夜営地があり一つの夜営地には、数組は過ごせるだけの広さが確保されており、石積みのかまども作られている夜営は基本そういうようなところで行う。
また、そういった夜営地として認識されていくと気の向いたときに魔法の適正が高いものが整地したり、背後に森や林があれば壁などを作ったりして防衛面の向上などをする。
さて、昼は保存食で済ませたが夜はどうするのだろうか。
「師匠!夜は自分で用意したらいいのですか?」
「ん、いや商会のほうで作ってくれるぞ。だから器だけ用意したらいいぞ。まぁ少なければ自分で出して食べるときはあるげとな。先に言っておけばよかったな。」
「そうなんですね。そしたら蒔きになりそうなもの集めてきますね。」
「あぁ、そうしてくれ。多めにひろって保管しておいてもいいからな」
「はい!」
俺は脇の林へと入り蒔きになるような折れて落ちた枝や倒木を見つけて切り出したりしてアイテムボックスへとしまった。
戻ると今日の夕飯の下ごしらえが終わりあとは火をつけて煮込むだけになったスープが石のかまどにおいてあった。
「すいません、おそくなりました。」
「いや、そんなことないですよ。いま下ごしらえが終わったところなので」
「そしたら、エルさん予備の蒔きはこちらに置いておくのでお願いしますね。」
「はい、ありがとうございます。」
それから暫くしてスープが出来たと言うことで
器とスプーンを出しておき、エルさんにスープをよそってもらい、パンを貰ってたべた。
スープはシンプルな鳥ガラだしを使い塩と香草などで味を整えられた美味しいものだった。
パンは堅焼きパンでお腹に溜まるようなものだったが、物足りなさを感じて食パンを取り出して食べていると。
「あの!私もそのパン食べてみたいんだけど!」
「こらこらすまないね。カイルくん少しでいいので分けて貰えないだろうか?」
「ええ、いいですよ!」
少しならいいけど普通に提供してほしいと言われたら正直微妙たなぁ。
俺は少しずつちぎって配ってまわった。
「おいしいー」
「確かにこのパンはおいしいですね。」
「ですよねー」
「このパンはどこのパンかね?」
「このパンはパン屋さんのパンですよ」
「いやそのパン屋の名前を」
「いえだからパン屋さんという名前なんですよ!」
「おーそうなのか!変わったところだな。」
「えぇ、そう思います。」
「カイル帰ったら私を連れていってくれ」
「わかりました。師匠!」
「さて、見張りは夜中と朝方をパノラさんとカイルくんに任せて私とエルで今からでもいいだろうか?」
「ええ、構いませんよ。」
「はい!」
「カイルはちょっと来てくれ」
「師匠なんですか?」
師匠に呼ばれて師匠の隣へ行くと
「なに、カイル酒は呑まないのか?」
「いえ、呑まないというか呑んだことないのでまだ買ったこともないですね。」
「そうか、街へ着いたらすこし付き合え少し呑んでこよう。」
「わかりました!少し楽しみです。」
「ふふ、そうかでは寝るとしようか」
「はい。」
女性達は馬車の中で寝て、男性は馬車の周りに敷物を敷いて毛布などにくるまって寝ることになっているので俺は買ったばかりの薄いが水が染み込まないような処理のされた布の上に厚手の敷物を置いてから最近覚えた体を綺麗に保つ魔法をつかって横になった。
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「カイル、カイル」
「ん、すいません師匠」
「交代だ」
「わかりました。そうだ師匠喉渇いてませんか?」
「ああ、そうだな。」
「コップ出してもらっていいですか?」
「おおいいぞ、ほら」
師匠はアイテムボックスからコップを出したのを受け取りそこにおいしい果実水をいれ、氷魔法で冷やして渡した。
「ほう、果実水かしかもいま魔法で冷やしてくれたのか?」
「ええ、その果実水とても美味しかったので買いだめしたんです。」
それを聞きながら師匠は一口のむと
「ほう、確かに上手いな。これはパインをメインにしてるのか。たしかにごくごく飲めるな。ありがとうカイルそれではあとは頼むぞ」
「はい!」
「もし魔物などが来たらすぐ起こすようにまぁ、倒せるなら倒していいけどな。」
「はい!」
さて、火のところに行き枝を足してあの敵意の持つものを追いやる?魔法を展開しておき火を見ていると少し夕飯が足りなかったのかお腹が空いてきたので木の枝をナイフで串のように削り表面を少し炙ってからウインナーをだしてそれに差して焚き火の脇に差して焼き上がるのを待った。
暫くすると美味しそうな匂いが立ち込めてきたのでコッペパンをだしてあと、葉野菜をだして1枚ちぎり残りはしまったらパンにはさんでその上からウインナーをおき、トマトのソースと辛味のあるソースをかけてかぶりついた!
「うっま!」
おっと思わず声に出してしまったけど思った通りこれうまいなぁ。
宿にあるソースもうまいけどこの、組み合わせが正解だったな!
モグモグ食べ終わり喉が渇くので果実水を飲み満足した。
そうだあの卵?出してみるかな。
アイテムボックスから取り出してみるがこの卵何故かアイテムボックスに入るんだよなぁ。
生物入らないはずなのに、まぁどうするかな。
魔力でも込めてみるか?
魔力を込めてやると吸い込まれてるのはわかるが別段変化はないが・・・
こんど師匠に聞いてみようかな。
いろいろ考えていると夜が開けて空がしらみ初めて来た。
それから朝日が上る頃には皆起き出してきた。
「おはようございます。」
「おはようカイルくん」
と、ライノさんが挨拶を返してくれた。
そして、皆と挨拶を交わしたあとエルさんは昨日のスープに米と呼ばれる穀物をいれて粥を着くって振る舞ってくれた。
「この米というもの初めて食べたのですがお腹にたまっていいですね。」
「おう、そうかそうかこんどうちの商会で売り出す予定だからよかったら買ってくれ」
「はい!」
ライノさんのところの新商品なのか。
「因みにどこのものなのですか?」
「王国の東の一部で作られているものでたまたま口にすることがあって気に入ったので今年の収穫量を増やしてもらって売り出す予定なんだよ。人気が出れば来年の分に向けて人を雇ってその栽培地の農地を増やそうと考えているんだよ。」
「へぇ、そうなんですね!発売されたらぜひ買わせて頂きますね!」
「ああ、よろしく頼むよ!」
そこからとくに何もなく街へと着くことができた。




