◇life3 「生徒会の条件」
そういえば自分も試験前(´・ω・`)
「新参者たちの学力のほどは?」
生徒会長南雲悠はいつもどおりの微笑みで俺たちに問いかけた。
ここで俺たちの成績を振り返ってみよう。
翔、昔から何でもできた。どれをとっても一流でなおかつ顔もいい。"もちろん"学年トップクラス。
伊織、人にやたら口出しするだけあって、自分のことはしっかりやっている。基本的に真面目だ。"無論"学年トップクラス。
香奈、アクティブなことは得意でないが、学力はかなり高い。"言うまでもなく"学年トップクラス。
俺……?言うまでもない。
「生徒会に入ったからには、君たちは一般生徒の見本にならなければならない。言ってる意味がわかるか?」
まさか…、と思いながらも会長の次の言葉を待っていると…。
「つまぁーり!俺らは成績優秀でないといけないのだあ!」
ハイテンションな金髪オールバックの天童犀雅先輩がやたら俺に向かって親指を立てた拳を突き出している。
さらに補足。
「わかりやすく言うと、私たちはみんな学年トップクラスを維持しないといけないの」
癒し系小さいお姉さん、しなやかな黒髪が可愛らしい書記の岸本奈津先輩が優しく付け加える。
「俺たちは大丈夫ですけど…」
翔の言葉と同時に三人の視線が一気に俺を突き刺す。少し遅れて部屋にいる全員の視線が俺に向けられる。
「いやぁ…、俺は…。まあ、そのー。」
渚先輩はやっぱりアナタは…、と言うような表情でこちらを見ている。唯一、近いオーラを感じた超面倒くさがりの島津祐介先輩ですら、机に倒れこんでこっちを見ながらニヤニヤしている。
ちくしょう。何なんだ生徒会。何でこんなに俺に分が悪いことばっかなんだ!!
あのルナにすら少し目をそらされた。
「さて、どうするんだ?綾瀬晃」
会長も何だか良からぬ笑顔で問いかけてきたが、とりあえず翔たち三人が俺の勉強を見てくれるということで、俺の成績については結果待ちになった。
◇
その日は特に大きな仕事はなく、各々適当な頃合いに寮へと戻っていった。
ルナを除いた11人は高等部寮である。晃たち4人は1年、悠会長、渚先輩、犀雅先輩、奈津先輩、祐介先輩、谷崎智子先輩、渡部逸樹先輩ら7人は2年、と学年が違うので階は違うが。
俺たちはいつもの4人で寮に戻った。
「まさか、成績に規定があるとは…」
「日頃の行いが悪いからよ♪」
そう言った伊織はなぜか口元が笑っていた。
「うっせぇー!お前らとは違うんだよ、俺は!!」
「言い訳は見苦しいわよ?」
「そうだぞ、晃。俺が見てやっから」
ぐぅ…、どうなっても勉強しなきゃいけないじゃないか。
自主的に勉強なんてしたことなかった。授業ですらたびたび抜け出たし、出たところでほとんど寝ていた。
そんな底辺の俺が学年トップクラス?無理だろ、だが絶対無理だと思ってる先輩どもに一泡ふかせてやりたい気もあった。
特に汐留渚…、アイツにだけはみくびられたらおしまいだ。
少しばかりやる気の俺。
「だな、ちょっくら本気出すかー?」
ん?
どうしたんだ三人とも、俺の顔になんか着いてるか?
俺はみんなの反応の意味もわからず、ただニヤけていた。