◇life2 「No.1、2」
シリアス色強かったんでしばらくラブコメ(?)路線でヽ(´ー`)ノ
俺たちの日常が変わって、一週間…――
5月17日金曜日、俺はいつもより重い足取りで生徒会棟へと向かう。
学生なら誰だって嫌だろう。
そう、来週はまる五日の試験期間<テストウィーク>!
もはや試験の意義がわからない。学力なんて初等部の頃からそんなに変わらないだろうに…わざわざ計るまでもないだろう。どうしてそんなに何度も行うんだ…。
試験科目は座学に現文、古典、数学、英語、化学/生物、世史、日史、保健、魔学の9つ。実技に体力テスト、能力テスト、魔術テストの3つ。
ちなみに能力というのは先天的な個人単位の超能力で、魔術というのは後天的に学ぶ大衆的ないわゆる"魔法"のことである。
個人的に実技は問題ない、と思う。身体能力もそこそこ持ってる物はあるし、能力に関しては申し分ない、魔術もそれなりにできるほうだ。
問題は―――
ペーパーテストだよなぁ、やっぱり。
そんなことを考えながら、生徒会室の扉を開けた。おっと、皆さんもうお揃いで…
「「遅いッ!」」
ん?
心なしか、声がハモって…、げっ…!
「全く、いつになったら礼儀をわきまえるのかしら、アナタは」
「同じクラスなのに掃除当番の私より遅いなんて…」
伊織が二人…よりヒドいか?これは。言うまでもなくもう一人は渚先輩。本当に、ほんとうに、俺にばっかり口うるさいコイツだが、一応一個上なので"先輩"ぐらいはつけてやっている。しかし、同期に加入した他の三人には気さくに接しているのに、……何で俺だけ。《ペチャパイ》のくせに、と言おうとしたがあの一件以来そういう発言は控えている。死にたくないからな…。
伊織も伊織だ。最近、渚先輩とあいまってやかましさがエスカレートしている気がする…いや、している。
「渚先輩はともかく、何でお前にまで怒られなきゃなんねーだよ?」
渚先輩のほうはなかなかやっかいなので、少々遠慮がちになるが、コイツにだけは遠慮したくない、いや、してはいけない。
「伊織ばかり責めないの、非はアナタにあるのよ?」
なのになぜかコッチが介入してくる。
もはや1対2、しかも苦手女子No.1、2揃い踏みとあっては、そもそも口げんかがそれほど強くない俺にとってかなり分が悪い。
とりあえず翔に助けを求めたが、アイツはワザと目をそらして笑いをこらえているらしい。
そんなに俺があたふたしてるのが面白いかコノヤロー。
…もはやこの二人からは逃れられないな、そう悟ったときだった。
「二人とも、もういいだろう?」
まさに鶴の一声!会長のことは真剣に尊敬してますよ!
「会長の言う通りですよ!晃様が困ってるじゃないですか、先輩方には若さが足りません」
そう言ってくれたのはあのルナ、そう、あの。彼女もまた学園生徒会の一員だったらしく、どうやらあのとき捕まっていたのは半分演技だったそうだ。何でも、中等部唯一の生徒会員で、なんかいろいろすごいらしい。
思わぬ二人からの言葉に一歩ひくコッチのお二人。
ふと、理解した。
あぁこういうのが"ツンデレ"か…、デレてないけど。
◇
一応、騒ぎが収まり、全員が席についたところで会長が話を始めた。
今の俺が一番聞きたくない内容…
そう――
来る試験期間についてだ…。
会長の言葉を聞いて俺は…
文字どおり言葉を失った。