▼class14「突然の来訪者→最強の助っ人」
恐らくは黒衣の集団の一人だろう、がいつものようなフードはかぶっていなかった。改めて男の顔を確認すると想像よりは若かった。男というか青年、恐らく同い年、かひとつふたつ上ぐらいか。どちらにしても年は変わらなそうだ。
「てめぇ…」
晃は青年を睨んだ。あのときは黒衣のフードで顔は見えなかったが、しゃべり方に特徴があるので間違いない。彼は青年の顔を頭に焼き付けた。コイツは宙を連れ去った連中の一人だ。
そんな彼の様子を見てあのときの青年は続ける。
「うん、うん、いい顔だ」
青年は素直に感心したように晃をジッと見て続ける。
「やっぱ、お前才能あるよな」何のことだかわからなかった。が、そんなことどうでも良かった。目の前に仇がいる。
ぶっ倒す!!!!!!!
言葉はいらなかった。後ろの二人も事情はわからなかったが、目の前のこの青年が晃を復讐に駆り立てていることくらいは容易に想像できた。
そして…
コイツがハンパじゃなく強いことも…――
辺り一帯の風を集めて黒い青年を閉じ込める
「【武装爆風】!!」
さっきと同じ、このパターンが晃の十八番だ。
まったく容赦ない親友を見て、二人も一斉に"最強"を使う。
一瞬だった。
三人の術は跡形もなく消え、全員が体の力が抜けたようにひざをついた。
「ハハハハッ、こんなもんかぁ?」
青年が迫り来る。
終わった……――
三人が諦めようとした刹那、目の前で爆発(?)が起こった。
砂が舞い上がって何も見えない
が、何故か先ほどまでの絶望が消えていた。
「ここは俺たちが請け負おう」
頼もしい一言、スピーカーごしに聞き慣れた深い落ち着いた声、赤い長髪…。
「会長!!?」
翔が目を丸くして叫んだ。彼の言葉に二人も驚きを隠せない。
学園生徒会―――
都内の学生のほとんどが通う小、中、高、大一貫の超規模学園、国立中央学園。その3万を超える学生の頂点―――それが。
かれら。大学部を除いた生徒によって成り立っている。大学部では独立した"学園自治会"が別に存在している。
学園生徒会のトップ、つまり生徒会長は大学部を除けば、事実上最強の魔導師、能力者――ということになる。
そんな人間が今、目の前に立っている。
「こりゃあ…、お前が出てくるとはなー…」
黒い青年は苦笑している。
「悪いが、今日はお前と闘りにきたんじゃない、…犀雅!」
「はいよぉー!!」
呼びかけにとても高いテンションで応じるオールバックの"サイガ"という青年。そいつはこちらを見て手招きしている。
「こっちだ、退却するぜー?!」
見ると彼の横で扉のようなものが開いていた。
事態を飲み込みないまま…
俺たちはこの場をあとにした。