▽class11 「大自然の猛攻」
2日連続更新…まさかこんなに早くなるとは。不定期だからいっか。9月もなかなか時間なさそうなんで、もう一話いっときました。今後周期が早くなるわけではあくまでなく、不定期だということをご理解くださいm(_ _)m
「キミらしくないねぇ、綾瀬君。あんなに騒がしいのに、どうしちゃったのさ?♪」
西川は挑発を続ける。
「………」
晃は無言で下を向いている。
「つまんないね、もういいや、やる気がないんならさっさと退場<リタイア>してもらうよ」
西川の口元からは薄ら笑いが消え、目には殺意を感じさせる。彼が右手を振り上げた瞬間、無数の葉が晃を取り囲む。そして手を振り下ろすと、それらは一斉に晃を切り刻む。
(手応えはあった…、が何か……)
西川が思考を働かせたその刹那、晃を覆う葉の渦は吹き飛び、風の塊が西川に突進する。
「ぐッ…!!……」
その衝撃で彼の小柄な体は数十メートル後方へ吹き飛ばされた。先ほどまで西川が立っていた場所には晃がパンパンと服についた葉を払っていた。そして西川が吹き飛んだ方を冷たい目で見つめる。
ガサガサと音をたてながら西川は戻ってきた。
「…ハハッ…とんだピエロだね…♪、あまりに急なんでびっくりしちゃったよ…」
強がりなのか、言葉ほどの余裕は感じられない。
「今、機嫌よくねぇんだわ、てめぇがAランクで良かった…死なれると困るからな…」
そう言って、まだ茂みの中の西川に容赦なく追い討ちをかける。
「【武装爆風】」
風の速さで西川の腹に一発キメる。
「!!!……わざわざ懐に飛び込むなんて…」
腹に猛烈な拳を受けたまま、彼は両手を振りかざした。
「木よ…、森よ…、大いなる自然よ、今、汝らの眠り覚まさん!」
「《大自然の神託<フォレスティカルテット>》!!!」
彼が詠唱を終えると、辺り一帯の植物がざわめきだした。
「まだそんな力を…」
晃はすぐさま西川から離れようとしたが、体が動かない。追い討ちをかけ茂みに突っ込んだ晃の誤算だった。茂みがまるで鉄の檻のように動きを封じている。
「…てめぇもただじゃ済まねーぞ」
「?…僕は自然耐性があるから心配ないよ♪…人の身より自分の身の心配したらぁ?」
西川の言葉どおり、辺りの森のざわめきはどんどん大きくなっている。このままじゃさすがにマズい…。そう思った矢先だった。
森全体が…"森"という一つの生き物が、晃一人に襲いかかった。
その際島全体を揺るがす地震が起こった。辺りは砂ぼこりで何も見えない。ほこりがおさまり、茂みのあった場所には一つ、人影があった。