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Fly High  作者: 夏目 碧央
18/25

夏休み

 夏休みに入った。もちろん毎日部活。毎日暑い中、悠理ちゃんのしごきは続く。

「ほらどうした!ちゃんと拾え!」

そう言っては鬼スパイクを打ってくる。

 先日諸住先輩に遊園地のお誘いをした。

「あの、俺と一緒に遊園地に行きませんか?」

突然休憩時間にそう切り出したら、諸住先輩は飲み物でむせ返っていた。

「ゲホゲホ、お前、ゲホゲホ、なんだって?ゲホ」

「だから、俺と遊園地に行きませんか?柚月さんも一緒に。」

「お前、驚かせんなよ。デートのお誘いかと思ったじゃないか。」

そう言って諸住先輩は笑った。そしてまだちょっとむせてせき込んでいた。

「いいよ。でも、3人っていうのも半端だから、俺も一人誘ってもいいか?」

「いいですよ、もちろん。」

そう答えて、そうしたら二人乗りの乗り物に乗る時、俺と柚月さんがいつも隣になれるなーなんて想像してにやけてしまった。ああ、懲りてないなあ俺。好きじゃないって言われたのに。まあいい。ずっと片思いだったんだから、まだまだこれから!

「あ、ところで、先輩は柚月さんと仲いいんですか?名前で呼び合ってますけど。」

俺はつい、聞いてみた。

「ああ、同じクラスだからな。というか、あいつ美人だろ?だから仲良くなりたいなーと思って俺の方から声をかけたんだよ。」

諸住先輩、ニヤニヤしながら俺をちらっと見る。そう言えば、前に俺の顔も悪くないとか何とか言ってたっけ。諸住先輩って、女子に対して硬派なイメージだけれど、対男になるとかなり「たらし」じゃないか?ぴか一顔の可愛い悠理ちゃん狙いなのも、つまりは面食いって事だよな。気を付けないと、柚月さんも危ないじゃないか。


 真希は、相変わらずサバサバしていた。変わらないでいてくれてホッとする。柚月さんに言われた意味が分かる気がした。俺は真希の事が好きだが、真希の言う「好き」ではないのだろう。恋人になりたいわけじゃないけれど、こいついい奴だなって思っている。柚月さんもそうなのだろうか。でも、俺は冗談でも真希にキスとかしようとは思えないけどなあ。分からない。

「はい、飲み物。」

「サンキュ。」

真希が俺に飲み物を渡しに来てくれるのは、前と変わらないけれど、ちょっと変わったと言えば、前は他の一年部員にはあまり持って行ってあげていなかったのが、今はみんなに配っている気がする。以前は俺だけレギュラーだからかなと思っていたけれど、今思えばレギュラーだからではなく、違った意味で特別扱いしていたのかもしれない。それをやめたのなら、諦めてくれたのだろう。そして変わらず友達でいてくれるのだろう。ありがたい。


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