0話『異世界転生トラックと神様』
私は、恥の多い人生を送ってきたと思う。小さな頃は、努力なんかしなくたってなんでもできた。大学に入るまでは、努力しなくても落第しない程度のスコアが確保できた。そのせいか、どうにも努力ということができなくなってしまった私は、自分の趣味と憧れから異世界転生チートモノの小説を好むようになった。
それで、目の前にトラックが迫っている訳だが……いやぁ、急に時間が止まってるねぇ……
そして、振り返ればおヒゲのおじいさんとは、これは私にも異世界転生チャンス来たか。
「ふむ、異世界転生が望み、と」
おぉう、考えが読まれてるぞう!これは神様でおおよそ間違いないな!
「確かに、私は君たちが言うところの神だ」
すげえや、チート能力持たせて異世界転生オナシャス!
「うむ、良かろう」
やったぜ。
「それじゃあ、転生ライフを楽しんでくるといい」
神様の指パッチンとともに、私の足元に黒い穴が開き、自由落下していく。これで私もチート主人公だ!やっほい!
「あぁそうそう、私は禍神だ、邪神とか悪神とも言うな」
その言葉だけ、落ちていく穴の中で嫌にハッキリ聞こえた。
嘘だろ。
そして、私は10歳の少女に転生した。