#4
「見学者来たよー」
綾元先輩の緩い声で、道場の中にいた部員がいっせいにこっちを向いた。
「こんにちは!」
「こんにちは」
私は、歩夢記の元気の良い挨拶に続いて、挨拶をした。
道場の中には、綾元先輩を入れて男子3人女子3人だけだった。
「こんにちはー!」
1人の女子生徒が挨拶をしてきた。
「私は、女子主将の澤西です。主将って言っても、三年生の女子は私だけなんだけどね」
澤西先輩は、剣道部とは思えないほど華奢で、一見、文化部にいそうなかんじだった。それでも、剣道着が良く似合う。
「二人とも、経験者?」
「はい!二人とも、元 永紅中剣道部です!」
澤西先輩の問いに、歩夢記が答えた。
「本当!?」
澤西先輩は目を輝かせた。
「見ての通り、部員が男女それぞれ3人ずつしかいないの。だから、経験者の二人が来てくれてすごく嬉しい!」
「澤西さん、この2人はまだ入るとは決まったわけじゃないよ」
興奮気味の澤西先輩を隣に立っている男子生徒がなだめた。
「あ、僕は田民です。よろしくお願いします。それじゃ、澤西さん、稽古始めようか」
澤西先輩は「うん」と頷き、私と歩夢記を道場の隅の畳の上に案内した。
「体操始めます!」
澤西先輩の指示で、部員が道場の中心で円になった。
その時…、
「失礼します」