第二話
βテストから二週間、サーバーの稼働開始まであと三十分。森下からの誘いを受けてから今に至るところまでの事を思い出す。
了承したのはいいものの、二つ問題があった。
一つ目は回線だ。僕は(友人曰わく)ゲームをしない変態だ。
普段パソコンに繋げるインターネットはあるがWIFIは契約していない為、使えない。
が、これは友人が解決してくれた。<<HRD-1>>には追加コンテンツがあり、それによって有線LANが使用可能となるものだった。
最後の一つは、スキル構成だ。
実は、このゲームありえないぐらいに自由なのだ。
例えば、農家になって畑を耕したり、教師になって勉強を教えたり、はたまた盗賊になって人を襲ったり。
色々な設定がある為、その分スキルも多くなる。
因みに、僕は冒険者なる物になろうと思っている。このゲームには、空想上の生き物が存在する。ゴブリンやオーク、ドラゴンまでもいるから、男だったらやっぱり、剣や魔法を使って倒してみたいからだ。
「まぁ、実際に一覧を見てからにするか」
そう呟いてから、机の上に置いてある<<HRD-1>>を手に取る。
「人生初のゲームかぁ。ま、楽しんでいきますか」
手に取ったものを装着する。ゲーム開始まで残り二十分。
残り二十分をキャラメイキングに費やすか、と心の中で呟き起動した。
「コネクト」
たちまち、視界がフェードアウトして行く。僕はその感覚に身を、いや脳を任せた。
『ようこそ!The cross Possibility Onlineへ』
ふと、そんな声が聞こえた。目を開けると空中に文字とキーボードが浮かんでいる。
『それではキャラクター名を入力してください』
と、またさっきと同じ声が聞こえてくる。
「えぇと、このキーボードを使えば良いのかな?」
『はい、キーボードの横で入力言語設定ができるので、必要があれば、お使いください』
うーん、今まで本名をカタカナで入力してきたが、少し気がひける。
あくまでも、これはゲーム。現実ではできない事ができる。なら、本名にする必要は無い。
まぁ、こんな事で時間を掛けられないので適当にRenoとするか。
『次に髪の毛の色と瞳の色をこの一覧の中から選択し決定ボタンを押してください』
実はこの事については決まっている。
「それでは音声にて確認します。髪の色は純白、瞳の色は真紅でよろしかったですか?」
「はい。それでお願いします」
この色にした理由はもちろんある。例の森下に言われたのだ。
ゲームの事については自分よりも知っている為、それに任せたのだ。
『それでは、種族を決めてください』
『種族は人族、獣人族、エルフ、魔族の五種類あります』
『ですが、一部のスキルによって一時的に他種族に変化するスキルがあります』
という感じで設定した結果、髪は腰まで伸びており後ろで縛ってある。
色は純白で、瞳の色は紅色である。肌も白く、足や腕はすらっとしている。そして、種族は人族だ。
スキル構成は<氷魔法> <闇魔法> <空間魔法> <身体強化魔法> <魔力操作> <気配察知> <隠蔽> という具合だ。
武器を操る為のスキルもあるが、ランダムという項目があったため、それを選んだ。
全部で十二個スキルを選ぶことができたが、武器と同様三つをランダムに設定する。
今後、必要となるスキルも出てくるかも知れないからだ。
因みに、武器操作系統のスキルを選んだ場合、そのスキルに合わせて初期装備をもらえる。
といっても、ランダムに設定した為開始しないと分からないが…
そういえば、今は何時だろうかと思いステータス画面を開く。
どうやらサービス開始から既に五分経っていた。
とはいっても約束の時間まで、少し間があるから、ゆっくりするか。
と心の中で呟きながら、ステータス画面のログインボタンを押した。
主人公のステータスは、優先度で表すと、素早さ→筋力→魔力といった順です。