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名もなき創作家たちの恋  作者: おじぃ
2007年6月

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雨音に抱かれて

「と、いう感じの内容です……」


 番場バス停で浮かんだ物語の内容を友恵に話した僕。緊張で喉が詰まり、唾を飲んだ。肩は強張り口は渇き、高鳴る鼓動はゼェゼェハァハァ気管を荒らしている。高湿度なのに空気が棘のようだ。


「うん、いいじゃん! いい感じだと思う!」


「ホントに?」


「ホントだよ、本当にいいと思う! なんだ真幸、絵はクソだけど物語はやればできるじゃん!」


「絵は、クソです、はい……」


「絵はクソだって思ったのも物語が良かったって思ったのも本当だよ! なんかいいな、こういうの、さっきのバス停で考えたっていうのは伝わるけど、このヒロイン、私にはないものを持ってる。美空ちゃん寄り? いやでもあの子もけっこう黒いもんな」


 何気に失礼だと思ったけれど、美空は本当にけっこう黒いから仕方ない。


「友恵がいたから浮かんだんだと思う。雨の日の田舎のバス停で女子と二人っていう、イレギュラーなシチュエーションが感性を刺激した」


「それ、女子なら私じゃなくたっていいじゃん」


「そう言われるとどうだろう、わからないや」


「ふぅん」


 どこか不満げな友恵。


「それで、キャラクターの恰好だけど、男の子は真幸ベースの大人しい子っていうのは想像できた。女の子のほうは? 髪型、セーラー服もしくはブレザー、スカート丈とか色々」


「髪は黒のショートで、上下紺のセーラー服かな。襟から胸元にかけて赤紫のラインが入ってるタイプ。スカートは長め」


 とはいえこれはまだ第一段階。キャラクターの仕様やキャラクター自体を変更する可能性がある。


「由緒正しき文学少女って感じだね。真幸はこういう子が好み?」


「どうだろう、でも下着が見えたら下は元気になりそう」


「小出川で私を抱いたときも元気になったじゃん。さっきから胸元チラ見してるの気付いてるからね」


 抱いたというとあたかも最後まで行ったかのように聞こえるけれど、単に隆起したものが僕のパンツとズボン、友恵のスカートとパンツ越しに接触しただけだが。


「とてもムラムラしているのは間違いない」


 友恵だったら正直に言っても問題ないだろう。


「そ、そう、なんだ……」


 少し頬を膨らませ、紅潮する友恵。


「うん……」


 どうしよう、気まずくなってしまった。


 下のテレビの音や雨音、友恵のお父さんが接客している声がよく耳に入ってくる。


「ゴムはないから本番はやめといたほうがいいけど……」


 友恵の頬はみるみる赤く染まりゆき、目は僕をちらちらと見る。


「そ、そうだねっ……。でででも、本番までとは行かなくても、そういうのって、恋人同士でするものじゃ……」


「それはその人の価値観によるけど、友だち同士でする子もけっこういる、よ?」


 うああああああ困るどうしよう! こういうときの友恵はすごく女の子らしいから、こうして躊躇っているうちにもドクドク込み上げてくる!


「○○と△△でしょ、□□と○△は本番までやったって言ってたし……」


 小中学校からの同級生の名を列挙する友恵。あいつら付き合ってもいないのにそこまでやってたのか! 特に○△! 清楚なフリしていけない女だ!


「ど、どうすればいいんだよ! やりたいのにそんなこと言われたらやれないじゃないか! やったらアイツらと同類じゃないか!」


「同類じゃ、だめ?」


 上目づかいの友恵は僕の視線を捉えて逃がさない。


 うああ、このままでは呑み込まれてしまう!


 受動的になら最後までやってもいいかと、僕は誘導されている。


 白いワイシャツは元々はだけていて、前かがみになった友恵の下着や谷間はより強調されている。


 心はやるかやらないかの堂々巡り。しかし正直なあそこは『やる』一択。


「友恵は、やりたいの?」


 相手に答えを委ねる卑怯な僕。友恵は少し間を置いて、


「真幸とならいいかな、とは思うよ?」


 目を逸らし、つぶやくように答えた。


「うん、そっか、ありがとう」


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