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名もなき創作家たちの恋  作者: おじぃ
2007年4月中旬 部活開始!

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83/307

文化部発表会3

 タンタンタンタンとリズム合わせにドラマーがスティックを叩き、演奏が始まった。


 音楽とともに地鳴りして、否応なしに椅子と脚から尻までが震える。もう周囲の連中の喋り声は聞こえない。


 おおおおおお!!


 と、一部の生徒から湧き上がる歓声。この感覚は、美空たちの文化祭以来だ。


 あのときは僕と美空と鎌倉清廉女学院の数名が作った曲を録音し、美空が歌いながら踊っていた。


 一方、今回はベース、ギター、ドラム、キーボード、ヴォーカル全てが生演奏。鎌倉清廉にもバンド演奏をした生徒は何組かいたけれど、恐れながら前奏の時点でクオリティーに雲泥の差があった。見知らぬ彼女たちの演奏が決して下手だったわけではない。


 中学時代、なんとなく高校数ヶ所の文化祭をめぐり軽音楽部の演奏を聴いたけれど、彼らはただ楽器を鳴らして心のこもっていない歌のような声を出していただけだった。


 見知らぬ彼女たちと彼は雲泥どころかコアとオゾン層くらいの差があった。


 邦楽では掻き消されがちなベース音もズンと胸に響き、ギターとキーボードはメロディーラインを軽やかに踊る。僕もついその場で踊りたくなってしまう、もはやプロの領域だ。


 悔しいけれど、僕らが作った楽曲より遥かに優れている。


 十数秒の前奏の後、仙石原先輩の透き通るようで、しかしどこかズンと厚みのある声が響く___。



 ◇◇◇



 桜舞う朝胸に誓った

 今までの冴えない自分にサヨナラ

 輝く海が待ってるんだ

 新しい僕の Highschool days!


 そう意気込んでみたけど

 案外そんなに変われなかった

 思うようにはいかないね

 またみんなから置いてけぼり

 代わり映えないコンプレックスのeveryday


 でもいいんだよ

 誰かと比べる必要なんてないっ!

 君は君の道を進むんだ

 立ち止まるんじゃなくて

 しっかり前を向いて一歩ずつ踏みしめて

 色んなとこに寄り道して

 

 ムダと思えることの中に意外な発見があるんだ

 よく落とし穴にもはまるけど

 それだってムダじゃないんだ

 自分の道を教えてくれる

 輝くための鍵になるんだ



 ◇◇◇



 他にハイテンションでハイテンポなナンバーを2曲演奏。講堂は歓声が響き渡り、その余韻冷めやらぬうちにアニメーション制作部の発表が始まった。


 尺は5分。内容は桜舞い散るどこかの通学路で少年少女が出逢い、新しいスクールライフに胸を馳せるものだった。面白さは可もなく不可もなくといったところ。


 作画に関しては若干崩れていて、仮にこれをテレビ放映したらちょっと、いや、チャンネル変えるだろうな……。というレベル。かえってアニメより挿絵なしの小説にしたほうが好印象だったかもしれない。会場全体から拍手は聞こえたものの、労力の割に観客は盛り上がらなかったといったところだろう。


 その後いくつかの部の発表があったが、どれもイマイチ。


 これは軽音楽部をトリにしたほうが良かったのでは?


 そう思わざるを得なかった。

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