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名もなき創作家たちの恋  作者: おじぃ
2007年2月

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ナニをキャッチ!

 あぁ、色んな人生、色んな境遇があるんだなぁ……。


 今朝の一件からずっと、そんなことを考えている。


 キーンコーンカーンコーン。


 ウェストミンスターの鐘が校内に響き渡る。国語の授業が終わったようだ。


「真幸ー! おひるおひるー!」


 別れたくても別れられない。別れたら西方さんはどうなってしまうのか? 西方さんの交際相手は仙台まで追いかけにゆくのか?


「おーい、真幸くーん、清川真幸くーん」


 仙台。茅ヶ崎から、仙台。東海道線で1時間、東京駅で新幹線に乗り換えて所要ざっと3時間くらい? 通えなくはない距離だけれど、交通費は片道1万円を超えるだろうし、中学生には金銭的に厳しいだろうからそのうち諦める?


「真幸くーん? 今朝は何回シコッたのかなぁ?」


「うーん、彼、心此処に在らずね」


 あぁ、酸素が薄くて空気のどんよりした教室で考えこんだら余計に頭が重たくなってきた。ちょっと窓を開けよう。


 ガラガラガラと、僕は2段サッシの下段小窓を開けた。


「ズボン脱がしちゃっていいかな? いいともー!」


 あぁ、涼しい。いい風入ってくるなぁ~。きょうは股間まで冷気が染み入りさわやかだ。2月中旬とあって本格的に冷え込んでいる。


「あらあら、ここまでしても気付かないなんて、相当重症ね」


「これは竿さおを指で挟むしかないかな? トランクス越しならいいよね」


「さすがにそれはやめたほうがいいんじゃないの? みんな見てるわよ?」


「えいっ!」


「んんん!?」


 なんだ!? なんだこの感覚は!? もしやアソコをムカデに噛まれた!? あああん! でもなんだかちょっと快感……!


「あぁ、やっちゃったわね」


「ちょっと友恵!? 何してんの!?」


 おっと、ムカデじゃない。ムカデじゃないぞ! 友恵じゃないか!


 いつの間にかジャージズボンを脱がされていた。道理で股間が涼しいわけだ。着席して尻とズボンが密着していたはずなのに、どんな神業を使ったんだ!?


 友恵は人差し指と中指を順に立てピースをつくり、僕の問いに答える。


「人差し指と~、中指で~、ナニをキャッチ!」


 チョキチョキといたずらな笑みで蟹のように指をパタパタ動かす友恵。公衆の面前でナニをキャッチなんて、どうすればこんなしょうもない子に育つのだろうか。


「わかってるよ! なんてことをしてるんだって言ってるんだよ! 前に女子の先輩がクラスメイトの女子のスカートめくって先生に物凄い剣幕で怒られたでしょ!? チクらない代わりに友恵のケツ丸出しにするよ!?」


「きゃー! 真幸えろーい!」


 コイツ、本当に脱がされたらどういうリアクションするかな?


 そんな好奇心が湧いたとき、僕は気付いた。


 まずい、目の前の出来事に夢中で周囲を見ていなかった。なんだか空気が凍り付いている。一部の男女は大笑いしているけれど。三郎は呆れ顔。


 お読みいただき誠にありがとうございます!


 連載ほぼ一周年に当たる今回のサブタイトルが『ナニをキャッチ!』。


 私は何をしてるんでしょうね。


 しかしこれや美空のブラック労働など、今後の彼ら彼女らの創作活動における材料になっていたりします。想像と実体験が物語の内容を充実させるのです。


 次回『お茶屋さんで井戸端会議』(仮)!

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