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名もなき創作家たちの恋  作者: おじぃ
2006年8月
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そういうこと、かな?

 バスに乗車した瞬間、少しあどけない顔立ちの男の子と目が合った。


 豪雨に撃たれシャワーを浴び、塾へ出かけるころにはすっかり晴れて、東西に伸びる鉄砲道てっぽうみちから見上げた空は澄み渡り、今宵は綺麗な星空が見られそうと少しワクワクしていた、そんなときのできごと。


 その瞬間、彼は驚いたように「わっ」と声を漏らした。その意味は不明だけれど、何か用事でも思い出したのか、私を知人の誰かと見間違えたのか。とにかく何かに驚いていたのは目や口を大きく開いていたから理解できた。


「前のお席、失礼しますね」


「あっ、はっ、はいっ!」


 人見知りなのか、顔を真っ赤にして返事をする彼を少し可愛いと思いつつ、私は座席に掛けた。


 バスはほんの5分で終点の茅ヶ崎駅南口に到着。洋風な街の風景は一変、バスロータリーを囲うかたちで中層程度の白やグレーのビルがぎっしり建ち並び、空や山々を覆い隠している。


「終点ですよ?」


 背後に掛ける彼は項垂うなだれたまま、ドアが開いても立ち上がろうとせず、車内に残った乗客は二人だけ。運転士さんがしびれを切らす前に、私から声をかけた。


「あ、はい、すみません……」


 もしかして


「具合、悪いのですか?」


 顔は真っ赤なままだし、高熱なのかも。


「あ、いえ、大丈夫です……」


 怪しい。塾か習い事を休むわけにはいかなくて、無理してそう言っているのかも。


「ちょっと失礼しますね」


 降車して、彼、私の順で額に手を当て温度を比べるけれど、差は感じない。けれど気温のせいか、お互い思ったより熱かった。


 うーん、平熱かな。


 けれど彼の顔はみるみる赤みを増して___。


 ふふっ、そういうこと、かな?

 お読みいただき誠にありがとうございます!


 この先のお話ではキャラクターの視点が小刻みに変わるため、今回は短めのお話になりました。


 鉄砲道は茅ヶ崎市の東西を貫く片側一車線のやや広い通りで、戦中は鉄砲を肩に掛けた兵隊の列が行進していたそうで、現在では富士山がよく見える隠れスポットとして、地元の人々にこっそり親しまれています。

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