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名もなき創作家たちの恋  作者: おじぃ
2013年1月

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305/307

開演前のライブ会場

 建物内は横浜などほかのライブ会場同様に広く通路が取られていて、飲食物の売店が点在している。その中で僕らが選んだのはお馴染みケンタッキー。


「うん、ケンタッキーは日本でもオーストラリアでも彩の国でも共通のうまさ」


 オリジナルチキンを頬張りホッと一息。馴染みのない土地で食べる馴染みの味は安息効果がある。


「サイノクニ?」


「そうそう、ここはパスポートがなくても行ける外国なんだよ」


「え、そうなの!?」


「そうそう」


「へー、知らなかった。こんどみんなに教えてあげよう」


 意地悪な僕は、これ以上何も言わなかった。だがしかし、ここはほんとうに日本列島の内陸にある独立国かもしれない。僕の常識は世間の非常識かもしれないし、世間の常識だってノブレス・オブリージュに反したことも多くある。故に彩の国が日本国外である可能性は捨てきれない。


 凛奈がオリジナルチキンとコールスローと控えめな食事だったのに対し、僕はそれらに加えクリスピーとビスケットも食べた。これなら3時間に及ぶライブだって乗り切れるだろう。


 そしてなんと、僕らの指定席は最前列! とはいえステージとの距離は10メートルほどあるが、こんな良い席を転売するなんて長沼さんに興味のない転売屋か、余程の事情があったに違いない。何にしろファンクラブを強制退会になったのだから、当人は金輪際この景色を拝めない。


 開演前、大型ビジョンと大音響のスピーカーから流れる長沼さんのミュージックビデオ。続々と集まるファンたち。客層は僕も顔負けの不審者だらけだ。最近はオタクもお洒落になってきたというが、どうだろう。鉢巻にリュックのおデブさんは少ないが、ヒョロガリの挙動不審はわんさかいる。僕の左隣もヒョロガリ男だ。右隣は凛奈。凛奈の隣もヒョロガリ男。


 しかしよく見ると、FBIに入り損ねたような筋肉質でサングラスを掛けた坊主頭など、なかなか濃い面子もいる。何アイツ、オタクなの?


 その他、女子もちらほら。女子はなぜか黒系の服装が多い。


 僕がアニメをつくって、もしその主題歌を長沼さんに担当してもらうことになったら、彼らが僕のお客さんになる可能性もある。ライブ会場、映画館、アニメショップなど、オタクが集まる場に行く度にそれを意識する。


 開演時間5分前、動画の撮影、録音などの、などといった女声アナウンスによる注意喚起があった。


『それでは皆さま、お待たせいたしました!』


 うおおおおおお!! ウオオオオオオ!!


 野太い声が湧き上がる、両サイドのヒョロガリ男からも、体型に似合わぬ声が上がっている。


 凛奈は「ふおっ、ほっ、ほおお……」と興奮で過呼吸気味。僕だけが素面。しかし楽しみでないわけではない。しかし何より開演時間ピッタリの開演に、いまは何より感動している。それだけファンの民度が高いということだ。これまでいくつかのアーティストのライブに参加してきたが、経験上、時間通りに始まるアーティストのファンの民度は高い。


 僕にもこういうお客さんが付いてほしい。


 しかしまずはプロにならなければと引き締まる思いになったところで、長沼さん、いや、アーティスト、長沼真央の登場だ。

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