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名もなき創作家たちの恋  作者: おじぃ
2013年1月

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300/307

美空、再びの仙台

 はい、私がドライバーになりました。


 インプレッサは加速性能に優れていて、発進時、アクセルを少し踏み込んだだけでギュンと勢い良く加速した。サービスエリアで高速走行は危険なのですぐに足を離してブレーキペダルに添えた。


 渋滞なく、法定速度内で走行車線を順調に走り続け、追越車線のクルマを追い抜いたりして、そろそろ福島市内に入る。いつしか地元の面々で飯坂温泉へ行ったのが懐かしい。


 ……。


 誰も何も喋らない。カメラが回っているのでここは北海道の某テレビ番組のように何かしらで盛り上げるべき場面だろうけれど、そんなの知ったことではない。辛うじて穂純ちゃんが何か喋らなきゃとモゾモゾしているけれど、結果として黙っている。


 私たちは三人とも口数が少ない。菖蒲沢麗華は下ネタになると「はしたない」などと言いつつ私たちの誰よりも興味津々なことくらいは中学からの付き合いで理解した。


 黙り込んだまま高速道路を降り、なんやかんやで仙台市街に入った。失礼だが田舎のイメージが強い東北地方とは思えないほどビルが乱立し、街は広範囲に広がっている。


 仙台へは何度も来ているけれど、関東地方に隣接した地方だからか文明は首都圏に近いレベルまで発展している。交通系電子マネーのアプリかICカードにチャージしていれば電車やバスはもちろん、コンビニやスーパー、自販機で買い物ができる。ICカードは全国的に普及しつつあるけれど、交通系電子マネーアプリが使えない地方は意外と多い。某大都市でも改札機にタッチするとエラーでゲートが閉じた。


「はいはい、ということで仙台に着きました! ライブは明日やることになったこで、一旦どこかで少し休憩して、きょうは別の街へ行きまーす。ここからは私が運転するから安心してねん♪」


 といって全国どこにでもある牛丼チェーン店でそそくさと昼食を済ませ、マネージャー、阿波あわ鳴子なるこの運転でインプレッサは宮城県を北上する。仙台駅のあおば通駅側はビルが多く栄えているけれど、反対側の小鶴新田こづるしんでん方面は駅から離れるとすぐ住宅地になった。


 こちら側といえば塩竃しおがま松島まつしまといった観光地が連なっているけれど、どこへ向かうのやら。とりあえずきょうはライブをせず済みそうなので良かった。

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