表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名もなき創作家たちの恋  作者: おじぃ
2013年1月

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

290/307

仙台のアニメショップ

 被災地を歩き回った後、萬画館の飲食コーナーで食べたチキンラーメンとクリームソーダがやたら身に染みた。そこの窓から見えた川は、夕陽に照らされて穏やかだった。


 帰り道がわからなくて迷いながら石巻駅に辿り着き、石巻線の気動車に乗った。昔ながらの車両だ。こちらの車両も先ほど乗った仙石線の車両と同じく海側は二人ボックス、山側は四人ボックス。僕がどちらに座ったかなんて言うまでもない。


 内陸部を貫く石巻線は、休耕田や住宅地をゆるゆる駆け抜け、小牛田こごた駅に到着。ここから東北本線の仙台行き、新型車両に乗り換えた。途中の松島あたりからいくつかの駅で、新成人と思しき着物を着た男女が数十名乗ってきて、車内が騒がしくなった。僕が座っている山側の四人ボックスには誰も座ってこなくて良かった。


 なるほど、地元だと打ち上げをできるような店がない、特に二次会のカラオケやら何やらできる店がないから栄えている仙台へ向かうのか。僕もついこの間のことのように成人式とその後の打ち上げを思い出した。駅前を何周しただろう。


 仙台に到着。改札口を出ると、着物を着た若者がウジャウジャいた。


 さて、これにて帰路に就くので、帰りの新幹線の切符を買おう。社会人になったらモバイルにしよう。


 多機能券売機を操作して、はやて号の指定席を確保。普通車で最も空いていた8号車の最後部にした。二人席の窓側はすべて埋まっていたので今回は仕方なく3列席。一人席が6つある10号車のグランクラスに乗りたいところだがお金がない。目的の場所はないが最後に少し街を歩きたいので、1時間後の列車にした。


 とりあえず、土産物を買おう。


 駅ビルの土産物コーナーを周り、笹かまぼこ、萩の月、福島のお菓子だが『ままどおる』を購入。


 後は徘徊するのみ。


 フリーパスなので改札口を抜け、仙石線ホームに入ってそこから地下通路を通り、再び駅舎の外へ。


 あ、そうだ。


 仙台にもアニメショップがある。そう思ってケータイを見て行ってみると、薄暗いじめっとした雰囲気の道の脇にひっそりと店舗の入った雑居ビルがあった。


 階段を上がって店舗に入った。


 まずは新刊コーナーをチェック。


 じろじろ舐め回すように平積みの本を見渡す。


「へえ、これがフミカちゃんの小説なんだ」


 声の主のほうを見ず、僕は声だけを聞いた。女二人組のようだ。


 フミカちゃん? そういえば中3のとき、彼氏がいるけど僕を好いていて告白してきた西方にしかた文佳ふみかは当時既に小説家デビューしていて、仙台に引っ越すって言ってたな。まさか。


 更に、彼女の名を呼んだ声に、聞き覚えがある。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ