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名もなき創作家たちの恋  作者: おじぃ
2013年1月

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再びの東北2

 なるほどなるほど。


 僕は映画館のある仙台のショッピングモール内を歩きながら、辻堂にあるショッピングモールとの違いを感じていた。


 こちらのショッピングモールは昔からある大型スーパーの床面積を大きくした庶民的な雰囲気、辻堂は小金持ち向けの雰囲気。


 しかしまあ、なんというか仙台、駅前は横浜の元町にいても違和感のない格好をしている人が多いのに……。


 比較対象が都内ではないのは、都内はけっこう地方っぽい格好の人が多いから。


 さてディスりはこれくらいにして、映画館へ。


 発券機で予約したチケットを受け取り、入場口ではポスターをもらった。関東の劇場ではキャラクター色紙を配布していた。


 ほぼ満員の劇場で、僕は最前列左側の席を予約した。ここは三人がけで、周辺人口が多く常に混雑している川崎のチネチッタとテアトル新宿を除き、これまで観てきたどの映画でも埋まっていなかった座席だから。


 案の定、そこに人は来なかった。


 上映が始まった。


 地元から遠く離れた仙台の地で観る江ノ電、江ノ島、湘南の海岸、見慣れた街並み。


 画像が美麗なのもあるが、ここで観ると、なんだか異世界のような光景だ。


 約2時間の上映が終わると、司会者の女性と30代男性の監督が登場。


 被災地の光景は、信じられなかった。言葉を失った。


 監督はそう語った。


 映画館を出ると、そこには先ほどと同じ仙台の日常が広がっていた。家族連れ、通路で横に広がって邪魔なヤンキーかぶれ。被災地とは思えない無傷のような光景。たぶん震災前からこれがこの街の平常。


 ここへ来る途中、ショッピングモールのすぐそばに地下鉄の駅を見つけたので復路は地下鉄に乗った。クリーム色に黄緑の帯が入った少々年季の入った列車は4両編成で、着席できないものの立っている人は十数人程度の混雑。


 仙台駅に着いても、人混みも風景も前回来たときとほぼ変わらない様子。ビルの大型ビジョンは‘やくしまるえつこ’のMVを流している。艶っぽくて幻想的な歌声が夜の街にこだまする。


 ここはほんとうに被災地なのか。


 2年経っているから復興は進んでいるのかもしれない。ただ、監督が言うように、言葉を失う光景が広がる場所もあると。


 さて、ホテルに行く前に夕飯。仙台といえば牛タンだが、財布が寂しいのであおば通駅近くの牛丼チェーンに入ってネギ玉牛丼の大盛を食べた。全国どこでも同じ味の安心感を得た。

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