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名もなき創作家たちの恋  作者: おじぃ
2013年1月

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280/307

チヤマフシンシャティンカーベル

 お笑い芸人がネタを披露している最中に瓶ビールを持ってステージに乱入した袴男を心底侮蔑した成人式が終わり、夕方からは東海岸地区出身者を集めた打ち上げが始まるまでの間、僕は一旦帰宅して私服に着替えた。


 打ち上げは駅南口の居酒屋チェーンを貸し切り。集合は18時なので、17時まで3時間昼寝した。


 飲酒するのでバスで駅に行き、居酒屋チェーンの前に到着したが、馴染みの人物がまだ誰一人来ていないようなので周辺(幸町自転車駐車場から裏道に入って旅館に突き当たり右折して、サザンの桑田さんが有名にしたレコード店『CHIYAMA』跡の脇に出て、雄三通りを北上、南口バスロータリー向かいの横断歩道前にある酒屋の前に出て居酒屋チェーンの前に戻るを繰り返し)をうろちょろした。成人しても不審者は不審者。


 何周かしていると、自転車駐車場と旅館に挟まれた道で反対方向から黒いキャップを目深に被り、サングラスに不織布マスクを着用した怪しい女性らしき人物とすれ違った。


 次にその女性とすれ違ったのは、酒屋の前。次にまたほぼ一周してCHIYAMAの前。続いて自転車駐車場前。


 なんだ? 彼女はなぜ同じところを周回しているんだ?


 そう思いながら僕も周回を続け、次はロータリー前交差点の停止線付近にあるティンカーベル(建物が白いカラオケ店)の前ですれ違い、集合時間になったので仕方なく横断歩道を渡り、書店の前を通過して集合場所の居酒屋チェーン玄関口前に着いたが、よりによって顔馴染みは澄香しかいなかったので視界に入っていないように見せかけ距離を取りぼっちを決め込んだ。


 その後3分ほどして瑠璃が来て、僕を発見され手招きされ、気まずい時間を過ごすこと更に3分後に友恵と三郎、そして先ほど何度もすれ違ったキャップを目深に被りサングラスと不織布マスクを着用した人が来た。本人がキャップを外すと、やはり美空だった。


 なんとなくそうだとは思っていたが、確信がないと声をかけづらい。以前美空だと思って肩トントン指でプニをしたら、まだ知り合っていなかった澄香だった件を思い出す。


 何はともあれメンバーが集まったので、打ち上げはなんとか乗り切れそう。

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