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名もなき創作家たちの恋  作者: おじぃ
2006年9月

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まぢ病みモード

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"病み病み病み病みまぢ病み!!」


「始まりましたね、センパイのまぢ病みモード」


「うーん、美空ちゃん、こうなると止まらないから」


「あの忌まわしき女に侮蔑された私は己の責務を果たすべく、渋々ボランティア部の部室へ足を運んだ。陽当たり良好、空調機完備。長方形の折り畳みデスクと黒い革張りのローラー付きチェアー。余り部屋ながら居心地はまぁ悪くない。


 現在、私たちが抱えている案件は軽音部とダンス部への楽曲提供。しかしこの情緒不安定な状況で創作活動などとても乗り気にはなれない」


「センパイ、病むといつも小説の地の文みたいなこと言いますけど、誰に向かって喋ってるんスか?」


「誰に? 誰であろうか……? デスクに肘をつき手を組んでそれに額を乗せ俯く私の視線の先には自らの顔面により生み出された影と、デスクの年輪。このデスクもかつては土に根を伸ばし生きていたのだと実感する。あ、でもこのデスクはおがくずを固めて造っているから年輪の模様は人工物か。いずれにせよありがとう木よ。あなたの命に最大限の感謝を。そうか、私はデスクに語りかけているのか」


「美空ちゃん、とても落ち込んじゃったんだね」


「またあの高飛車に言われたんスよ。あんなの気にしなくていいのに」


「また? そうだ、また言われてしまった。前回何を言われたかよく覚えていないけれど、きっと今回同様、私の存在価値を全否定されたと思われる。


 しかし致し方ないであろう。この鎌倉清廉女学院中等部には私の肌に合う部が存在しなかった。点数稼ぎのために無理して不適合な部に身を置いてもストレスが蓄積し、心身ともに荒廃してしまう。


 良いではないか。ただでさえ勉学が忙しく日々に無理が生じているというのに、更に部活動まで我慢の時間としてしまったら心の休まる時間が皆無となってしまう。そんな暮らしを続けていては、やがて過労死や精神病を招くであろう。


 まぁ、このボランティア部も先公ども、あ、生徒を業績アップのためのコマとしか思っていない、合理主義で心を失った社会の中に限っては大変崇高で優秀な先生方の策略によって社会の荒波に飲まれた黒い部にされてしまったけれど、部内の人間関係は良好であろう。


 それに、この部がなければ教職員の残業時間は現状より長く、他方にいては自分で曲作りもできないのに音楽関係の部にノリと勢いで入ってしまった憐れな子羊たちは絶望に暮れていたであろう。


 あぁ恐ろしい。なんだかんだ言って大概のことはできてしまう己の才能が恐ろしい……!」


「自惚れる余裕が出てきましたね~」


「そうだね。雑用も曲作りも私たち三人でしてるのにね」


「否、今回は四人。作曲の一部を他校の生徒に委ねた」


「まさかの孫請まごうけっすか。美空センパイならやりそうだな~」


「ピンチになったら誰かを頼る。これ大事」


「みんなー! ひっさしぶりー! 元気だったかにゃー? ところで誰が生徒を業績アップのコマとしか思っていない合理的で心を失った社会の中に限っては大変崇高で優秀な先生なのかにゃあ? 先生気になるにゃー」


「気配もなく現れたな24歳の合法ロリ。いい歳して‘にゃー’とは私より遥かにぶりっ子だ。ロリなのに乳は私より少し、ほんの少し大きくて憎らしい。しかし安心なされ。そなたに関しては業績アップのコマとしか思っていない合理的で心を失った社会の中に限っては大変崇高で優秀な先生とは思っておらんぞ二葉ふたば素直すなお。そもそもこの幼児体型が本当に私より‘先’に‘生’を受けたかさえ疑問だ」


「ふふふふふー♪ 調子こいてんじゃねぇぞ美空っちー♪ ちょっとお話があるから生徒指導室に行こうかにゃんっ♪」

 お読みいただき誠にありがとうございます!


 今回は美空が病んでしまったため(?)全文会話劇といたしました。


 実は最近知ったのですが、神奈川県の横浜~星川経由で湘南台、海老名を結ぶ相模鉄道さんに『星川美星』さんというキャラクターがいらっしゃるのですね。


 美星さんは美空とは異なり、おっとりした雰囲気の駅員さんのようです。

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