表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名もなき創作家たちの恋  作者: おじぃ
2010年4月 大学生編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

265/307

湘南新宿ラインの彼女

 大学生活、それは人生で最も遊び盛りで堕落した生活ともいうが、僕は腑抜けていた。


 高校生活は創作に没頭する日々で、ずっと忙しかった。


 大学にもアニメ関連の部活動はあるが、好きな作品に関して語り合ったりコスプレイベントを開くなどがメインで、僕の趣向とは合わなかった。


 ということで入学から3ヶ月、7月になっても僕はぼっち。すごくない? 3ヶ月間、学校でほぼ誰とも会話してないなんて逆に神。


 地元面子は、美空はデビューに向けて鬼のレッスン、友恵や三郎は相変わらず多忙、凛奈は専門学校で絵の勉強、澄香と瑠璃は声優レッスン。僕は積極的に誰かに声をかけるタイプではないので、特に連絡は取らずSNSのタイムラインを見て近況を知っているだけ。


 しかしあれだ、家庭環境が良くない、両親不仲により家が荒れている中で寄る辺がないのはぼっち主義の僕にも厳しいものがある。


 誰かに構ってほしい。そんな子どものような感情が芽生えていた。


 さて、講義が終わったし、きょうも帰ろう。先日、湘南新宿ラインの横須賀線直通で戸塚まで行って、そこから東京始発の東海道線に乗り換えようと思ったら、なんと次の東海道線は湘南新宿ラインの特別快速。しかも数分後に来た。渋谷駅では15分差だったのに物凄い追い上げだ。


 なんだよ、ホーム上にあるハニーズバーのいちごミルクを飲みながらぼんやりしたほうが良かったじゃないか。


 帰りの電車を調べるのは面倒なので、渋谷駅で次に来る湘南新宿ラインが横須賀線直通だったら見送ってハニーズバーや自販機の飲み物を飲もうと決め、大学最寄り駅から民鉄に乗った。 


 渋谷駅改札口から毎度面倒な歩く歩道を使うほど長いホームまでを歩くと、ちょうど湘南新宿ラインの特別快速が発車したところだった。次に来るのは埼京さいきょう線の新木場しんきば行き。これに乗っても仕方ないのでハニーズバーでいちごミルクを購入した。空腹状態で電車で立っているのはけっこうきついので、ついつい飲みたくなる。


 このタイミングに於いては湘南新宿ライン横須賀線直通に乗ると戸塚で東海道線の快速アクティー、つまり湘南新宿ライン東海道線直通快速平塚行きの1本前を走る電車に接続するが、茅ケ崎駅到着は3分早いだけ。15分早い電車に乗って3分差まで追い上げられるのは癪。いちごミルクを飲んでいたほうが気分が良いのでストローでちゅぱちゅぱ吸い上げながら、車内の中ほどまで数十人の人が立っている逗子行きを見送った。


 ちゅぱちゅぱし終えて東海道線直通電車の2号車4番ドアから乗車。海側ボックス席の進行方向逆の窓側に一人分の空席があったが座らなかった。他の立っている人々も座らない。


 窓側進行方向側はパソコンカタカタ、通路側は昼間からビールを飲んでいるオヤジ、窓側に入りにくい状況をつくっている進行方向逆通路側には小柄で黒いワンピース姿の40代くらいの女が窓側に黒い鞄を置いて座っている。


 新幹線並行区間を猛スピードで駆け抜け武蔵小杉むさしこすぎに到着すると、荷物置きワンピース女が降りた。空席には知り合いではないであろうオヤジ二人が座った。


 横浜駅でボックス席後ろの二人がけロングシートが二つとも空いたので、キーを叩く音が嫌な僕はドア側の席に座った。こちらはドア脇に立っている輩にもたれ掛かられるリスクが高いのだけれど立っているのも疲れたのでやむ無く座った。


 僕の隣には、綺麗なお姉さんという感じの人が座った。白いスキニーパンツに黒いTシャツ、肩甲骨辺りまでストレートに伸びた髪。脚を組まず、広げず、行儀が良い。ケータイいじりもせず大人しく座っている。僕もだけど。いやあ、僕も行儀がいいね、当たり前のマナーを守ってるだけなんだけどね。


「お家、こっちのほうなんだ」


 綺麗なお姉さんが僕の視線を捉え妖艶に笑んで言った。目を合わせるのが苦手な僕は、逃げと本能で彼女の胸元に視線を遣った。CかDか、そんなところだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ