表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名もなき創作家たちの恋  作者: おじぃ
2009年7月

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

251/307

人生は障害物だらけ

 歌手デビューのオファーがあり、私がそれに乗ろうとしていることを、意外なことに誰も反対しなかった。あの母でさえだ。


 あんたなんてどうせ会社に入ったって使いものにならないんだから、少しでも稼げるならやってみればいいんじゃないの? とのことだった。


 世にありふれた下賎な傀儡とはいえさすが私の母、よく理解している。


 そう、仮に私が一般企業の事務職になったとして、エクセルはマウスを使わないと操作できそうにないし(学校のパソコンの授業ではマウスを使わなくても使いこなせるようになりなさいと言われた)、コールセンターのオペレーターになったら客に何を言われているかわからなくて硬直するか、頭にきて電話を切るだろう。まさかのまさかで管理職になったり社長になったら鬱病や倒産は必至。


 そう、私は社会の歯車、定型群にはなれない。


 しかし、歯車に注す潤滑油にはなれるかもしれない。


 それが絵本作家だったり、歌手だったりするのかもしれない。


 人間には、この世に生きる意味がある。


 会社員や公務員として生を受ける者もあれば、フリーランスとして生を受ける者もあり、その両方であったり、はたまた浮浪者としてだったりもするだろう。


 真幸は一旦企業に就職して社会を学び、後に独立を目指すらしい。それに近い路を辿った先輩として、長沼さんがいる。元会社員がいまや大人気声優だ。そういう人生もある。人生いろいろ。


 だが私の経験上、どの道を辿っても物事はそう簡単に上手くゆかない。行ったとしても、先般この世を去ったおばばのように、最期に盛大な苦しみが待ち受けている。


 どうせ障害だらけの人生なら、少しでも心躍るほうへと進んだほうが良い。


 しかし歌手がそうかといえば、微妙なところでもある。歌手はあくまでも絵本を売るための広告的手段として考えているのが現状。


 確かにステージに立って歌うのは気持ちの良いものだが、熱量は菖蒲沢麗華と比較すれば、茶碗一杯の卵かけご飯と背脂マシマシ大盛りラーメンくらいの差がある。


 だから困る。芸能関係の仕事はとんでもないローギャラの場合も多々あるというし、それなら好きなことでなくもも時給千円のアルバイトをしたほうが心身ともに健康かもしれない。


 ブラックバイトというのもあるけれど……。


 あれもまた、汚ない大人どもが辞めたくても辞めさせてくれないパターンだ。


 ほら、どのみち人生は障害物だらけ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ