表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名もなき創作家たちの恋  作者: おじぃ
2009年7月

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

242/307

4百円のティーバック

「せっかく来たんだし、お茶でも飲んでく?」


「え、マスターは……」


 マスターのお店なのに、アルバイトの人が勝手に開けて入って良いのだろうか。


 そう思っている間に、お姉さんは鍵を開け、シャッターを上げた。


「いいよいいよ、ティーバックの紅茶を1杯4百円で出してるような店だし、ちょっとくらい」


 値は確かに高いと思うけれど、それでも犯罪は犯罪なのでは。


 けれど私は言われるがまま、店内に入ってしまった。音楽のかかっていない、照明も点いていない、何か出そうな不気味な雰囲気。


 次第に目が慣れてきて、私は前回と同じカウンター席で紅茶をすする。


 そこで気持ちが、不法侵入から明日、その先へと向いた。


「学校、どうしよう、明日から」


 きょう一日くらいなら、風邪で休んだと言っても疑われないだろう。しかし何日も続いては、担任やクラスメイトに不審に思われ、親に連絡が行く。保健室登校だってしたくない。


「行かなきゃいい」


「そう、簡単に言われても」


「行くと死ぬんでしょ?」


「はい」


「じゃあ行かない。とにかく生きるの最優先。そうだ、小説、良かったら読ませて」


「やっぱり読むんですか」


 小説のこと、忘れてると思ったのに。


 私は渋々、通学バッグから駄文を書き散らした原稿用紙を取り出し、カウンター越しにお姉さんに手渡した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ