死ぬくらいなら学校へは行かない
夜8時に帰宅して、母が用意してくれていたキャベツの千切りと玉子焼きと白米を両親とともに食した。父は酢豚も食べていた。私はそんなに食べられない。
明日、学校なのに、どうしよう。
と、いうよりは、どういう口実で学校を休み、両親にバレないようにするか。そちらを重点的に考えていた。あんなところ、行きたくない。
小説を書こうにも、頭が回らない。
両親の入浴が済んだ9時半に入浴。10時半に出て、自室のベッドに腰を下ろし、体育座りをした。
立ち上がり、学習机の書棚に差し込んでいた新品の大学ノートを開き、シャープペンシルを走らせた。題材なんて思い浮かばないから、私の現況を同い年の主人公に反映させただけの、小説とは言い難い記録を1ページ弱書き散らした。
翌朝、私は学校に行く時間に駅へ出た。学校指定のジャージ姿で。この辺りの中学校では、ジャージ登校が普通。他の生徒に見つからないよう、最寄りの停留所にバスが来る時間ギリギリに家を出て、そそくさと乗り込んだ。
登校時刻10分前の朝8時20分に駅に着くと、ペデストリアンデッキにある電話ボックスに入って、学校に風邪で休む旨の連絡をした。
しかし、酒場には12時待ち合わせ。いま行っても誰もいないので、私は通勤ラッシュの電車に乗って横浜まで行き、港の見える丘公園周辺を徘徊して時間を潰した。
11時40分に地元へ戻り、時間調整のためホームのベンチに座って何本かの電車を見送り、12時53分に酒場の前に着いた。
まだ、来てないな。
やっぱり、会わないほうがいいかな。変な宗教とか暴力団員の可能性だってあるし。そういうのに染まるくらいなら、死んだほうがいい、私は。
「やあ、来たね。じゃ、合格」
現れた。気配もなく、不意に正面に。そしてなぜか、合格を言い渡された。




