幕間:公開日の朝
やることは、やった。あとは公開して、お客さんに観てもらえたら、作品は完成だ。
アニメ制作に明け暮れた高校最後の夏休みが終わり、2週間、文化祭の日が来た。
朝7時には学校に来たけれど、今年、徹夜はしなかった。
現在9時。文化祭が始まり、学校には次々と客が来て大盛況。僕らの作品発表は2時間後の11時。
アニメ制作を大いに手伝ってくれた美空たち鎌倉清廉女学院のメンバーは、僕ら湘南海岸学院のメンバーととともに部室で待機している。第2放送部の瑠璃と澄香はその部室にいる。
「……」
基本的に会話はなく、静かな部室。凛奈を除いて陰気、いや、控えめな性格揃い。加えて、連日のハードな作業に疲労困憊。そんな状況下で、誰も会話する気力は残っていない。気まずいけれど、仕方ない。
作品の雰囲気は静であり、きらびやかなものに仕上げたが、製作陣はきらびやかではない。いや、オールスターで臨んだが、オールスターが限界を迎えて生気を失っている。平沼さんは横浜の山手から電車を乗り継ぎ1時間かけて来てくれたそうだ。菖蒲沢さんなど、他にも手伝ってくれた人はいるが、後ほど来る予定らしい。
僕も疲れているので、ここらで仮眠を取ろうとプラスチックの机に突っ伏した。
目が覚めたのは、10時30分。公開まで30分あり、もう一眠り。公開5分前まで眠っていた。
さて、向かいますか、劇場へ。
お読みいただき誠にありがとうございます。
来週は都合によりお休みさせていただきます。




