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名もなき創作家たちの恋  作者: おじぃ
2009年7月

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228/307

声優のたまご、人気声優にガン見される

「なななななんで!? なんで長沼真央さんが!!」


 熱海散歩の翌日、日曜日。昨日、茅ヶ崎駅のホームで長沼さんと遭遇した僕は、明日アフレコをする旨を伝えたら見に行きたいとのことだったので、学校のアフレコブースに連れてきた。美空もどきもとい烏山からすやま澄香すみかがわかりやすく狼狽している。


「どうもこんにちはー」


 と、呑気に挨拶をしているのは、澄香の相棒、羽賀原瑠璃。


「どうもどうもー、お久しぶりです」


 長沼さんも呑気に挨拶。


「じゃあ、そろそろ始めましょうか」


 僕が声をかけた。僕と長沼さんはこの場に残り、澄香と瑠璃は録音スタジオに入る流れ。


「はーい、よろしくお願いしまーす」


 瑠璃はスタジオの防音扉を開けた。


「え、え、え、え、え、正気!? こ、心の準備が」


「正気じゃないのは澄香だけだよ」


「リラックスしようリラックス!」


「そうそう、長沼さんの言う通り」


「あ、いや、だから、ですので、その……」


「私がいるから緊張するんじゃないかって? だいじょぶだいじょぶ! 澄香ちゃんが出てる作品、ぜーんぶ見てるよ、ぜんぶ!」


「ぜ、ぜんぶ!? ですか!?」


「そう、ぜーんぶ、アニメも、音楽配信も」


「音楽配信も!!」


 そう、制作費を稼ぐため、僕ら湘南海岸学院のアニメ制作部と第2放送部では動画サイトで前作『きみといっしょに』のキャラクターによる音楽配信もしている。作詞作曲、DTM制作は僕、ボーカルは澄香と瑠璃。


 これが好評なので、今作では学校からの補助金と併せてなんとか赤字を出さずに済んでいる。


「あうあうあうあうどどどどどうしよう……あれもこれもぜんぶ、あんな歌詞も、こんな歌詞も……」


 ギロッ、作詞者の僕を睨む澄香。


 中には、ユニークな曲も、あるからね……。


「あれは、真幸くん、そこまでさせる必要ある? って、私も思ったけどね」


 長沼さんがとてもにこにこしている。怖いなぁ、リンチ経験のある人ににこにこされるの。


「いや、ほら、世の中には色んな作品があって、中には破廉恥なのも、あるわけじゃないですか……」


 過労で下ネタしか浮かばなかったのが実情だけど。


「それもそっか」


「長沼さんまで……」


「でもね澄香ちゃん、イヤな仕事は断ってもいいんだよ」


「いいんですか……?」


「うーん、事務所の都合とか、断ったらどうなるかとか、色々鑑みた上でね」


「うううううう……」


「声優は役者だからね、子どもとか動物のキャラクターを演じるときもあれば、濡れ場を演じるときもあるよ」


「た、確かに……」


「さて、じゃあそろそろアフレコ行ってみよう! 瑠璃ちゃんが待ちくたびれてるよ」


「そうだよお」


 ということで、瑠璃のメンタルが混沌としたままアフレコが始まった。

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