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名もなき創作家たちの恋  作者: おじぃ
2009年7月

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220/307

ゴールデンボール激チン事件の後で

 ゴールデンボール激チン事件(私が勝手に名付けた)後、ぼちぼち制作を進めていたのだが夏休みに入って早速、真幸は高熱を出して寝込んだ。文化祭は迫るしせっかくの夏休みなのになんて不運な男だろう。だがそれが清川真幸なのだと、私は思う。


 真幸の熱が下がるまで1週間かかり、7月28日を迎えた。それでもしばらく他者との接触は避けたほうが良いと真幸が判断し、私たちの前に姿を見せたのは8月に入ってからだった。快気祝いにスケジュールの空いていた私と友恵ちゃんとの3人でサザンビーチの花火大会を見に行った。


 サザンビーチの花火大会といえば、私たち3人はスケジュール調整により毎年見に行っている、海上から打ち上げる花火大会。花火は送り火なので、私は少々祖母に心を寄せてあげた。


「ということで、花火のシーンを取り入れようと思います」


「おい、あと1ヶ月だろ」


 ドスの効いた声で友恵ちゃんが言った。文化祭まで残り約1ヶ月。ここに来て花火大会のシーンを挿入するとは。


 もちろん今回も、私たち鎌倉清廉女学院ボランティア部に2原撒きなどの作業委託をしている。委託費は原画1枚につき3千円。4百円でやらせる業者もあるというから、割と良い価格かもしれない。かもしれない。かもしれない……。これは湘南海岸学院の予算から支払われるが、予算超過した場合は真幸の自費となる。


「ううう……」


 無理を承知している真幸は涙目になって俯いた。


 座卓に伏す真幸の正面で、私は持参した大学ノートに2羽のシマエナガを落書きした。もふもふキュンッと、いい感じに描けた。


 そして、しばらく日が経ったときのこと……。


「ウェロッ、ウェロウェロウェロウェロッ、うぇええっ……」


 友恵ちゃんの仕事部屋で真幸は白眼を剥き、再び倒れた。今夏の真幸はよく倒れる。吐きそうな呻き声を上げたが吐かなくて良かった。私は命の儚さを感じた。

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