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名もなき創作家たちの恋  作者: おじぃ
ムクドリのえほん

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170/307

ぼくはまた、もどってくるよ 3

「むっちゃん、もうやだ、私、どうしたらいいの? お母さんに相談しても、いじめられるほうにも原因があるって言われるの。じゃあ、いじめられないようにするには、一緒になっていじめなきゃいけないの? そんなことまで周りに合わせなきゃいけないの?」


 そうか、群れの仲間をいじめるように指示されたけど、唯はその子をかばったんだね。話してくれてありがとう。


「ピピッ、ピピピピッ」


 唯は間違ってないよ。合わせなくていい。大切な仲間を守りたいのは、当たり前だよ。


「ピピピッ」


 人間は群れていなくても天敵に食べられにくい生きものだから、その子といっしょに群れから離れるべきだ。とは言っても、人間でも群れから離れるのは怖いと思う。だけど、その群れに居続けるのは、唯とその子にとっていちばん危険なんだ。


 それでも唯は、その後何日かは出かけて行った。でもそれからは、ずっと家にいるようになった。最後に出かけた日の唯は、目の下に黒い模様ができて、いまにも死んでしまいそうだった。


「私ね、通信制の高校にしたの。卒業まであと3ヶ月だったんだけどね」


「ピピッ、ピピッ」


 唯の言葉の意味をぼくは理解できなかった。けれど、危ないところから逃げ出して、新しい場所を見つけたけど、心残りがある感じ。


「友だちもね、そこにしたんだ。唯ちゃんがそうするならって」


「ピピッ、ピピピピッ」


 そっか、唯は、自分で道を選んだんだね。唯の仲間は、それに付いて来たんだ。


 唯は僕をゲージから出した。そうそう、ぼくが入れられているこのハリガネの檻には、ゲージという名前があるみたい。唯がゲージって呼ぶから、覚えちゃった。


 それからの唯は、少しずつだけど、生気を取り戻していった。


 唯の悩みは尽きないみたいだけど、最近は、怖いとか、イヤだな、という悩みじゃなくて、どんな絵を描こうか、とか、どんなお話にしようかな、なんてことを言っている。


 お絵描き、紙、鉛筆、ペン、インク、テレビ、アニメ、カレシ欲しい、アルバイト、ニート、キョウセイロウドウ、ミンジソショウ、ダンガイサイバン。


 思えばぼくも、人間のいろんなことを覚えた。唯の言っていることが、だいたいわかるようになった。


 唯は漫画を描いて、それと食べものを引き換えられるようにしたいみたい。ムクドリもカラスも、自分で食べものを取って食べるけど、人間は何かをする代わりに、誰かから食べものをもらう生きものなんだ。


 食べものをつくって食べものをもらう、なんだか不思議な人間もいるみたい。そういう人たちが、唯みたいに食べもの以外のものをつくる人間を支えているみたい。


 唯はいま、紙に絵を描いている。


 がんばれ、唯。しばらく巣立つ気はないみたいだけど、お父さんとお母さんに食べものを分けてもらわなくても、自分で食べていけるようになる。


 親はいついなくなるかわからない。唯が食べものをもらえなくなると、ぼくも食べられなくなるんだ。


 ぼくは唯のヒモ。一生巣立たないぼくをやしなっておくれ。

 お読みいただき誠にありがとうございます。


 先週はお休みしてしまい申し訳ございません。現在、一時的に不定期更新とさせていただいております。

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