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名もなき創作家たちの恋  作者: おじぃ
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相模線にゆられて

 紅葉を見に行こうようと言っても茅ヶ崎ではまだそんなに色づいていない。東北地方でもまだ早いような気がする。そこまで行くお金はないけれど。


 紅葉を見られるか定かではないけれど、とりあえず山へ行こう。


 ということで、私と真幸は茅ヶ崎駅から相模さがみ線に乗った。東海道線が15両編成に対し、相模線は4両編成。しかも昼間は30分間隔という首都圏らしからぬローカル単線。茅ヶ崎と相模原さがみはら市の橋本はしもとを結び、一部列車は横浜よこはま線に乗り入れて八王子はちおうじまで行く。茅ヶ崎始発でありながら、多くの茅ヶ崎市民は滅多に乗る機会がない。私も最後に乗ったのはいつのことやら。


 車体はステンレス製で、薄い水色と濃い青(浅葱色あさぎいろ新橋色しんばしいろだろうか)の帯を纏ったツートンカラー。座席は昔ながらのバネが効いた緑色の長椅子ロングシート。真幸いわく、車齢は私たちと同じくらいなのだとか。生きもののみでなく乗りものにも詳しいとは、真幸は知識の幅が広い。


 もう一つ、これは地元住民が相模線を語るうえでのお約束といっても過言ではない事項を。


 相模線の電車には、ドアの右横に開閉ボタンが付いている。誰かがボタンを押さないとドアが開かないため、初めて乗る人や、誰かにボタンを押させたい横着な人は開かない扉の前でじっと立っていたりする。発車直前には一般的な電車と同様に乗務員室の車掌がドアを閉める。


 東海道線の電車にも開閉ボタンはあるが、一部の始発駅と直通運転をしている高崎たかさき線でのみ使うらしい。


 ちなみに真幸は茅ヶ崎駅でとてもボタンを押したそうにしていたので、右にいた私がわざわざ避けて押させてあげた。


 そんな相模線に揺られ、向かい側の窓を流れる景色を眺める。茅ヶ崎駅を出ると大きく左にカーブ。住宅や大型商業施設の間を抜け、2分ほどで次の北茅ヶ崎(きたちがさき)駅に到着。北茅ヶ崎駅を出ると住宅地からは少々距離を置き、茅ヶ崎市北部に広がる田畑の間を颯爽と駆けてゆく。


 茅ヶ崎市最北の駅、香川かがわを出た電車は、数分で隣接する寒川町さむかわまちの中心駅、寒川に到着。ここで行き違い列車と交換待ちのため5分停車。単線である相模線はこれがネックだ。


 停車中の電車が人の動きや風に煽られて、きゅう、きゅう、と音をたて、微かに、ゆるやかに揺れる。はす向かいの席で談笑するおばちゃん3人の声が響き渡るけれど、それを除くと静かな領域。街自体が閑静なのと、ドアが閉じたままなので外の雑音が入りにくく、尚更静かだ。


 車内を見渡すと、ところどころ遮光幕が下りて景色を塞がれている窓がある。旧型車両だから熱線吸収UVカットガラスではなく、陽が当たると熱くて眩しい。


 暇なので、車内広告を見回す。ローカル線でありながら、広告の数は東海道線より多く見える。その中で、文字と人の顔がぎっしり詰まった一枚に、私は目を留めた。


「ねぇ、週刊誌って、どうして毎度、下賤げせんな記事ばかりなのかな」


 東海道線や横須賀線でもよく見かける週刊誌の広告。芸能人の不倫、政治家の疑惑、事件を起こした容疑者の素顔などなど、見出しはいつもこんな感じで変わり映えしない。読むとただでさえ病んで不安定な心が更に病みそうだ。特にグラビアページに載っている巨乳のお姉さんなど、胸の小さな私としてはとても看過し難いものを感じる。

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