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名もなき創作家たちの恋  作者: おじぃ
2006年8月

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おっぱいマッサージ

「では、またあした」


「はい! またあした!」


 19時を過ぎ、陽は沈んで空は瑠璃色るりいろ。通勤時間帯のバスにはワイシャツ姿の疲れ顔が多く、立席客も私たちのほか数人いた。


 ぼんやりした蛍光灯が照らす車内の青い座席にはキリン、サル、ゾウなどアニメチックな動物のイラストが描かれていて、白地の車体にもそれが描かれている。このバス会社の茅ヶ崎営業所には約100台の車両が在籍していて、そのうちたった一台しかないレアものなのだとか。


 幼稚園バスみたいに可愛らしい箱の中に収まっているのは清川さんや疲れ顔のおじさまたちという現実がシュールだ。


 でも、清川さんにはちょっと似合うかも……。


 初めて出逢ったあのときも、きょういっしょに行動していたときも、彼はこんな私に終始照れ顔で、それがちょっとかわいらしかった。男の子に『かわいい』はご法度というから黙ってはいるけれど、私がそう思っているのを彼は気付いているんじゃないかなって、なんとなくそう思う。


 個人経営の薬局を横目に西へ数メートル、道路を挟んで南側のニューヨーク雑貨のお店はテレビでも紹介され、ネイビーブルーとホワイトの外壁に『買い物で人を幸せにしたい』という旨の英文が記されている。


 趣味のお店が多いこの街には、自らのクリエイティブなセンスでひとを幸せにしたいという気風がそこかしこに漂っているなと、最近感じるようになった。


 横断歩道を南へ渡って雑貨屋さんの前に移動したら右を向き、信号待ち。二段階右折。南西角地にはコンビニがあり、明日、清川さんと待ち合わせる場所だ。私はそこで絵本用の自由帳を買って帰る。


 この位置に立つと西の空がよく見えて、まだあかねが残る空に富士山の影が浮かんでいる。


 夜の訪れは、遥か彼方の地に海に、新しい朝が訪れるサイン。太陽は一日で地球のすべてを見回すけれど、私の行動範囲は湘南という狭い地域が主。きっと一生をかけてでもこの星のすべては知り得ない。日々ふとしたときに、そんなことを考える。


 ところがきょうは、清川さんが私の知らないノンフィクションの物語を教えてくれた。彼はきっとこれからも、私に新しい世界を覗かせてくれる。創作という孤独との闘いに、新たな希望が見えた気がした。



 ◇◇◇



「ただいま」


「おかえり。ごはんできてるわよ」


 きょう、お母さんは休日で、一日中お家から出なかったという。


 夕食を摂り、お風呂掃除をしてバスタブに浸かる。我が家のバスタブはゆったり脚を伸ばせるよう片側が傾斜になっていて、背もたれの役目を果たしている。


「ふ~ぅ、落ち着く~」


 ここですかさずおっぱいマッサージ。大きくなあれ大きくなあれ……。


 占いは最下位だしお母さんに怒られたけど、きょうは良い一日だったな。清川くんがきっかけで作品に新しい方向性や、相乗効果が生まれて質の高いものが創れそうな気がする。それに、同じことで悩める仲間ができたのは、とても心強くうれしいものだ。


 気が済むまでおっぱいマッサージをしたら、入浴剤が全身に行き渡るよう手のひらでお湯をすくい、肩や上腕へ撫でるようにかける。


 次に、日々の勉強や創作活動で目が疲れているから、首と頭の境界、左右それぞれにある『風池ふうち』、その少し内側にある『天中てんちゅう』、こめかみ付近にある『太陽たいよう』というツボを指で刺激する。


 仕上げに、神経の消耗で情緒不安定になるとからだの片側に負荷がかかって片脚が痛むときもあるから、ふくらはぎや太ももを念入りにほぐし、血行を良くする。創作活動をするなら覚えておきたい一連の動作だ。もちろん、あらゆる分野で多忙な日々を送るひとにも有効。


 さて、そろそろ絵本を描かなくちゃ!


 自分の作品を見てくれるひとがいるだけで、心持ちが何倍も強くなる。


 洗面所に出て手を拭き。裸のままドライヤーで髪を乾かす。こうすればからだを拭く時間が短縮される。お肌には良くないのかな。


 乾燥作業を終えたらパンツとキャミソールを着用してお部屋へ。


「美空! ブラジャーくらい着けなさい! おっぱい垂れるわよ!」


 キッチンの前を通り掛かったとき、お母さんに呼び止められた。


「あなたと違って垂れるほどのものがないんです!!」


「あらそう、残念ね。ふふふふふ」


 お母さんはDカップ。私はBとCの中間くらい。これはどういうことだ。もしや私は河川敷で拾われた子? あ、そういえば父方の家系は……!


 しかし腹立つ。哀れなものを見るオニババのあの目!! ああいうのは一生肩こりに悩まされればいいんだ。それに引き換え私は胸の重みによる肩こりはないし、谷間の通気性はまあまあいいし、なんて機能的なからだだろう。


 さて、虚しくなってきたところで作業に取り掛かろう。


 机に向かい、新しい自由帳と色鉛筆を出す。


 あれ?


 なんだかこの机、違和感がある。


 なぜだろうと全体を見回したら、その正体気付いた。


 え、うそ、うそ!? なんで!? どうして!?

 お読みいただき誠にありがとうございます!


 今回は前回からの更新間隔が空いてしまい、読者の皆さまには大変恐縮です。


 実は先週末、北陸へ一人旅をしておりまして、新幹線グランクラスでのお食事やティータイム、金沢で温泉に浸かり富山で伝統芸術に少しだけ触れ、再び金沢へ戻り兼六園の茶店でまったりお食事をしたりと、大奮発で贅沢三昧してきました。今後のやりくりが大変だ……。


 旅の記録の一部はTwitterに掲載しておりますが、撮影禁止のものや、実際に行かないと感じられない音や雰囲気、薫りなど、伝えきれないものがたくさんあります。また、とき同じく現地を訪れていた人々も、飲酒喫煙でどんちゃん騒ぎしたり、着物姿の女性たちがいたり、楽しみ方、感じ方はそれぞれなんだなと。


 何はともあれ、小学生時代から国内津々浦々と旅しておりますが、色々と新たな発見があって良いものです(*´ω`*)


 で、本作は茅ヶ崎という街を舞台にしておりますが、本作で少しでもご当地の雰囲気、住民の人柄(今後順次新キャラ登場予定)などを感じていただけたら幸いです!

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