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名もなき創作家たちの恋  作者: おじぃ
2007年9月

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2学期のはじまり

 夏が終わった。つまり、2学期が来てしまった。


 季節とは不思議なもので、9月になった途端、雲はもくもくからまだらになり、風はさやかに葉を揺らすようになった。


 昨年の始業式の日は暑かったんだけどな。友恵といっしょに北五丁目でランチしたのを覚えている。


 セミの声が恋しい……。


 しかしまだ、ツクツクボウシの声は聴こえる。漢字で『寒蝉』と書くそれは、僕にとって夏の最後の名残だ。


 7月下旬より少し低くなった朝陽が差し込み白く反射するリノリウムの廊下。


 うわ、こんなヤツいたっけ?


 1学期にもいたはずの何人かが、まるで野獣の如く変身し、個性を強調したつもりの量産型と化していた。


 そもそも僕は変身前の彼奴きゃつらの姿や名前を覚えていないから、ビフォーアフターを比較できない。


 2学期に入り、他にも変わったことがある。


 一つは各学年に退学者が発生。自主退学もあれば、悪事を働いて強制退学となった者も。


 二つ目、生徒の中に死者が出た。


 しかし全校生徒2千人超の当校では毎年のことだとか。


 詳細は聞いていないけれど、死因は交通事故、病気とのこと。少なくとも2名以上が亡くなった。


 高校生が死亡する確率は千分の一以上ということか。


 僕のクラスからは一人退学者が出た。長野県出身で、地元の学校に通いたくなったらしい。


 クラスはそんな別れ関連の話題で持ち切り。


 それはそうだろう。全校生徒6百人以下の中学までは、別れがなかったといえば嘘になるけれど、そんなにたくさんの人がいなくなるなんてことはなかった。他の地域から当校に来た者についてもそれは共通しているだろう。


 他方、僕は特に変化のない2学期を迎えた。


「えいっ! わしゃわしゃわしゃわしゃ!」


「んぐ……」


 始業式後、他の生徒がいない教室の机に突っ伏していたら友恵にチャックを開けられ股間を鷲掴みにされ、下だけおっきさせられたのもいつものこと。


 猥褻わいせつ行為が理由で退学となった者もいるけれど、なぜか友恵が僕にしたことに関しては全て見逃されている。


 やっぱり、ずっこんばっこんされているところを監視カメラに録画されないとだめなのかな。


 いや、大前提として僕に人間の尊厳は与えられているのだろうか。教員だって平気で生徒をイジメるから、その可能性も有り得る。


 しかし僕に友恵を訴える気はないから、結局は彼女が手を出してこなくなるまでセクハラは続くのだろう。


「よーし、きょうも元気になった!」


「元気なのは股間だけで脳は眠たいよ」


「股間が元気になってスッキリすれば脳も元気になるって」


「そうだね、その通りだ」


「ひひひっ、さて、屋上でランチにしよう!」


 昨年と指して変わらぬ2学期の始まり。友恵も元気そうだ。


 また忙しく騒がしい日常が、戻ってきた。

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