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名もなき創作家たちの恋  作者: おじぃ
2007年6月

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スッキリ!

「しゅしゅしゅしゅ、しゅごい……!」


「わーキモッ」


「だ、だって、しょうがないだろ、ぼ、僕の思い浮かべたキャラクターが絵になってる。しかも綺麗な絵に!」


 素晴らしい、なんということだ。友恵によって僕の思い浮かべたビジョンほぼそのままにキャラクターが描かれた!


 お絵描きが壊滅的に苦手な僕にとって、それはもう晴れ渡る空のような清々しさと、TCGやガチャガチャで目当てのキャラクターを入手したときの超強化版みたいな気持ちだ。


 要するに、超劇的ハイテンションだ!


「なのに私の胸とか脚をチラ見してるよね」


「うん、今夜は何回抜くだろう?」


「5回くらいにしとけば?」


「え、それだけ?」


「足りない?」


「むしろいまここで友恵に1回だけ抜いてもらったほうがスッキリしそう」


「へぇ、そうなんだ」


 獲物を狙う雌豹の上目遣いで這い寄る友恵。


 ふわぁ、あぁ、い、いい香り!


 胸の谷間もたまらん!


 ぼくちゃん頭がヘンになる! やけにアソコがウズウズしてる!



 ◇◇◇



 30分後。


「し、信じられないスッキリ感だ……。これほど健康を感じたのはいつぶりだろう」


「良かったね、スッキリして。私も面白いものを見せてもらったよ」


「正直、自分は脱ぎもしないで新しいオモチャで遊ぶようにわくわくしながら僕を弄んだからとんでもない仕返しをしてやろうかと思ったけど、予想以上の快感に謝意しか芽生えなかったよ」


 すごく楽しそうにニヤニヤしながら背後から僕を羽交い絞めにして、あの光景を小さな子どもが見たらイジメでしかない。


「最後までしなくてもスッキリするんだ。同じことを男子にしてもらったらどうなんどろうね」


「たぶん下からじゃなくて、口から大量の内容物や胃液が出てくると思う」


「女子同士ではよく触り合うよ?」


「男は他者のイチモツなど触りたくない生きものなんだ」


 いやはや、まるで高原の朝のようにスッキリさわやかな気分。


 しかし友恵と二人きりになる機会はあまりなく、美空や長沼さんに頼んだらどんな顔をされるか。長沼さんは僕に手を出したらお縄になってしまう。


 まだお互いをよく知らない凛奈に頼んだら、僕がお縄になりそう。同意なき行為はいけない。一日の半分くらい、つまり起きている時間のほとんどはエロいことを考えている僕でも、そのくらいは理解している。


 こうして最低なことを考えている僕だけれど、何かをするにあたって欲求不満は大敵であるとよくわかった。


 オリンピックの選手村にはアレが用意されているというし、健康な暮らしにはああいうことも不可欠という認識は、人類共通なのだろう。


 夜、帰宅してからの僕は、創作のみでなく勉強も普段よりずっと捗った。深夜になぜか泥酔した長沼さんから電話がかかってきてアニメの打ち上げの話を聞かされたときも、こんな時間に電話してきやがってという不快感をほとんど感じなかった。


 ただ単純に、アニメに関わる人たちにも作品の好き嫌いはあるのだと、納得しただけだった。


 そうだよな、当たり前だけれど、アニメって、苦しくても見てくれる人のために創るんだよな。


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