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安静という名のぶっ壊れ製造期間

一応言っておくと、これからまだまだぶっ壊れます。


正直やりたいことが多すぎてとっ散らかって来てしまった…。

もう少し読みやすいように精進します。

安静にしておけと言われている間。

俺にできることは本を読むことと、なんかもう滅茶苦茶になってしまった俺の結界魔法を更に研究すること、後はコルトと色々と話すことだけだ。

本を読むのは楽しいし、コルトの中の知識なんかを元に結界を改良すること、それとどうでもいい事でおしゃべりするのは自分が充実している実感がわいてくる。


例えばある日。魔術の本を読んでいる間に、コルトがこんな事を言い始めた。

『お、こっちにも漢字があるのか?なんていうか、昔の金属製の貨幣みたいだな』

おまえ、これが読めるのか?

今俺が開いているのは、アインの親父様に貰った『魔術の盛衰』の最後の方の、魔術陣の一覧のページだ。

『おう、俺の世界の文字が書いてあるぞこれ。』

本当か!ならお前は、例の渡り人って奴か。実在…するとは思っていたが、この目で見ることがあるとは…。


この本を読む前に、先に『始まりの人』『渡り人』の方を読んだが、これまで読んだのとは比べ物にならないほど詳しい内容だった。まあ、一般に出回ってる情報が伝承とか言い伝えとかそういうレベルだったのもあるが。

始まりの人…それは文字通りこの世界が出来て、最初に生まれた人間のことだ。彼らは知恵ある人間として生まれた時から多くの知識を持ち、まだ他の種族が知恵を付ける前に人間が文明を起こすきっかけとなったという。

詳細は分かっていない。というのも、彼らの文明は何らかの災害と思われる出来事によって消滅し、今では地下深くに点在する遺跡のみがその存在を証明する物だからだ。


渡り人はその始まりの人…と同様の存在だと思われる、今でも稀に出生する人々の事だ。

生まれた時から高い知能と高度な知識を有している。例えば、錬金術…彼ら的に表現するなら化学というもの。また、始まりの人の実在が認知されるきっかけとなった、古代の文明の遺跡を調査するための様々な道具や、生活必需品…衣食住に関する品々などの知識を持っていることもある。

彼らは皆「自分はこの世界ではない前世の記憶がある」と話し、そしてその世界は同じものとされている。それは、渡り人同士が知り合うと、多くの場合同郷だと言うからだ。


で、彼等が始まりの人と同様の存在であるとする根拠のうち、最も大きなものが『魔術陣の意味を解する』ということだ。話を聞く限り、コルトも魔術陣が読めるらしい。とすれば、コルトも渡り人である可能性が非常に高い。

魔術陣の文字が読めるのか…。なら、試しにここに描いてる魔術陣の意味を教えてくれないか?

『おう、ならちょっとさ。要らない紙と書くモノ貸してくれないか?ソッチのが説明しやすい』

机の引き出しからペンと、パピルス紙を取り出す。

ちなみにペンは渡り人がもたらした物で、中が空洞の木の筒にインクが詰まった棒を入れて使う。昔から使われている万年筆よりも安価なので、比較的平民にも出回っているシロモノだ。この学園だと俺みたいな平民の生徒には支給されている。

パピルス紙も同様だ。こちらも今では平民にも広まっているし、学園では支給されている。

そういえば、どうやってペンを持つのだろうかと思っていると。手のような形をした結界が出てきて、少し手こずりながらもしっかりと保持した。…こんな複雑な形の結界なんて、本の中でも見たことがない。

『うーん、まだ違和感があるな。用改良っと』

これでもまだダメなのか…恐ろしいことに。


『おっと、文字の説明だったな。まず、俺の居た世界…つっても俺の居た国か。そこの文字は三種類あってな。ひらがな、カタカナ、漢字っていうんだけど。魔術陣ってのに描かれているのはそのうちの漢字だ。』

へー。漢字、ねえ…。で、どんな意味なんだ?

『例えばコレだな。』

魔術陣の一つを指(?)さして、紙の上に模様…いや、漢字を書く。

『 爆|炎 』

この魔術陣に書かれている漢字はこれだけで、後は模様だと言う。間の縦線ごとに1文字らしい。

『この“火”ってのを見てみろ。これ、この中で3つもあるだろ?』

確かにある。これがどうした?

『漢字ってのは色々な分類があってな。その辺詳しくは省くが、取り敢えずこの文字は火を表してるんだ。』

そして、その隣に薪を燃やしている絵が書き込まれた。

『表意文字って言ってな。この火が燃えている様子をシンボル化したものがこの文字だって言われてる』

薪を燃やしている絵がどんどん省略されていき、最後には“火”の文字になった。フム…中々興味深い…。


『ここまででうっすら気付いたと思うが、この魔術陣は火を起こす魔術だ。この、左側の文字は、強い勢いで火が起こるって感じの意味だな。「火が暴れる」と書いて“爆”という一文字だ。“炎”は見ての通り、「火が二つ連なってさらに強力になったもの」って意味だな。』

なるほど…このパーツごとに、意味が込められているってワケだな。なんとなく分かった。

『そっか、良かった。正直上手く教えられるか不安だったぜ』

でも、ここまで複雑なものを、そう何個も覚えるなんてできないな。流石は渡り人ってところか。

『おいおい、俺の居た国じゃあ、6歳頃から漢字について学び始めて、18になるまでずっと学び続けるのが普通だったんだぜ…。この位は割と誰でもできるぞ』

そうなのか。そっちは教育がしっかりしてるんだな。

『しかもそれだけ学んでも、全部学べたワケじゃないってのがなあ…。まあ、とにかく。魔術陣に使われてるくらいの漢字だったら、俺でも読めるぞ』

マジか。じゃあもっと色々聞かせてくれ。


というわけで、かなりの時間を魔術陣の解読に費やしてしまったが、その甲斐もあってかなりの成果が出た。

魔術陣は大まかに分ければ4の要素があることが分かった。漢字、外枠、内枠、背景、だ。

漢字は言わずもがな、その魔術陣がどのような作用を引き起こすかを決定する。

外枠はおそらく、対象との距離と方向。

内枠は、大まかな使用する魔力量。

背景は、その効果時間や更に細かく魔術陣の効果を意味付けるものだと思われる。

外枠は、例えば雨を降らせたり、長距離での転移を行う魔術陣の物では角が多くなり、川の水を増やしたり、短距離の転移を行う魔術陣では角が少ない傾向が有ったのでそう思われる。方向に関しては角の配置などから予想した。

内枠は、漢字が似たような内容でも効果が大きい物ほど角が多いらしいことから、そう結論付けられた。例えば“爆炎”よりも“大爆炎”の方が角が多い。これは“洪水”と“大洪水”などにも同じ傾向が有ったので、かなり信憑性があると思われる。

背景はあまりよくわからなかった。が、植物を成長させる魔術陣で漢字、外枠、内枠は同じものがあり、それぞれの背景が違ったことからコルトがさらに細かい条件付けだと言った。なんでも片方は樹木を主に生長させ、もう片方は草花を主に生長させるものだという。なんでも『背景がw(草)まみれかと思ったらもう片方はトト〇の3文字って完全にふざけてるだろ…』ということらしい。向こうの世界での暗号みたいなもの…なんだと。



…よく考えれば、渡り人じゃなくても天才ならこの位解読して、解読法が世の中に出回っていても不思議じゃない。もしかしたら解読法が世の中に出回ってないのは、万が一にも悪事に使われないように国が握りつぶしたりしているからなんじゃ…。


これ以上いけない。


うん。ホントは的外れな解読だったに違いない。ソウダヨネ…。

魔術陣の話はここまでにして…と。さて、そろそろ時間も良い頃合いだし、晩メシに行くか。

『なあ』

ん?なんだ?

『魔術が使えないのって、なんでだ?せっかく解読できたかもしれないならさ。やっぱ使ってみて検証したいんだけど』

あー。そこは話してなかったか。

魔術陣を描く…いや、書くために必要な材料の事などを話す。強力過ぎて一度の実験でも大きな被害が出かねないことも併せて伝える。

『うーん、そうか。ありがと』

いやいや、付き合ってくれたからな。この位説明するよ。

『……』

コルトはなんか考え事をし出したみたいだ。

ま、一先ず食堂へ行こう。話はそれからだ。

おや、コルトくんの様子が…?


クロム君、ここ数日はおかゆとかお茶漬けだけじゃなくてコンソメスープとパンとかも食べてます。順調に回復してますね。

「始まりの人」さんはお米好きだったので今でもこの世界では結構出回ってます。


後、神様が発展した世界からの知識の流入を嫌ってるのにどうして「始まりの人」なんて居るの?と思うかもしれませんが、この世界は神様が管理したりとかしてなくて、信仰してる人に勝手に力が分け与えられるようになっているだけの世界です。

なので、神様の管理無しでさっさと文明を築いてある程度安定させるために、「始まりの人」が居ました。

知識チートとかチーレムしてたんじゃないすかね(適当)。作者の脳内ではそんな感じの人です。

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