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名前決定。あと、お前の結界魔法はおかしい

またメシの表現に悩んでました…。遅れてすいません。


先に行っておきますが相撲取りさんに悪感情とかありません。他意はないんです。ごめんなさい。

ふっと目が覚める。

「朝か…」

眠い。

でも起きないとな…。

『オース!おはようさん!』

『うるさいぞー。おはよ…』

『おっと、寝起きで深夜テンションはまずいか。スマンスマン』

声を落として(実際に声を出しているわけではないけど)謝って来る。

『いや、今ので目が覚めたからいい。取り敢えずメシにするか…』

『おう、じゃあ寝てる間の成果はメシ食ってからだな。』



というわけで食堂へ。いつもなら授業前に行かなきゃいけないけど、謹慎期間中だからね。遅くなっても仕方ないね。うん。

食堂に着くと、今日もおばちゃんは元気だった。

「あらおはよう!昨日はよく眠れたかい?」

「はい、特に痛みもありませんし、久々に動いて疲れたからかぐっすりでした」

「それは良かった。今日もおかゆ作っといてあげたよ!でも、付け合わせは梅干しだけどね」

「え」

すっぱいのは苦手だなあ…

「だーいじょうぶ、あんまりすっぱくないようにしてるから!おばちゃんお手製の梅干しでね、すっぱいのが苦手な人でも食べられるようにしてるんだ。そこは保証しとくよ!」

うーん、そこまで言うなら…

「じゃあ、それで」

「よしよし。リコちゃんもまだ食べてない新作だからね。自慢してやるといいよ!」

これはいい自慢になるぞ。


おばちゃんのおかゆを待ちながら食堂内を見渡すと、食事をしている人は殆どいない。やはり授業中の時間だし、職員の勤務開始時間は授業の始まりよりも早いだろうから、この時間の利用者は少ないようだ。

水を飲みながらのーんびりと過ごしていると、おばちゃんに声を掛けられた。おかゆできたみたい。


「ムムム…」

おばちゃんに太鼓判を押されたとはいえ、見た目はやはり梅干し。警戒してしまう…が、おかゆの放つ、湯気と米の優しい白色のコントラストと、かすかに香る甘い匂いが俺の中の食欲を刺激してやまない。

それに、昨日おかゆ自体は食べている。結果、美味いということが分かり切ったモノが目の前にあるのだ。そんなの我慢できるはずがない!

とうとう我慢できなくなった俺は、梅干し鰹節が入った小鉢にサッと醤油を垂らし、鰹節に醤油をなじませてから梅干しを少しだけ箸でちぎった。そしてスプーンでおかゆをすくい、息を吹きかけて冷ます。

息を吹きかけるほど近づけばその分香りも強くなるわけで。

ますます食欲を刺激された俺は、まだ十分冷めてはいないであろうそれにちぎった梅干しと鰹節を箸でつまんでかけてから、そっと口に運んだ。

「ン~ッ!」

最初に感じたのは熱さ。やはり表面は多少冷めていたが、下の方は冷めていなかったようだ。思わず「ハフハフ」と口から湯気を逃がす。せっかくの一口目だ。いくら熱くたって、水で流すなんてもったいないことは意地でもしない。

そしてやっとのことで口を閉じ、咀嚼を始める。まず感じるのはコメの優しい甘みと、鰹節の香りだ。昨日も感じたそれらが、これから感じるのは絶対に、更なる「美味」であるという予想を確信に変え、次に感じる「何か」への期待をますます高める。

そして次に感じたのは、梅干しだと思われる物の優しい酸味と甘みだ。更に、もったりとしたおかゆの食感に若干の、大根の茎などとはまた違った歯ごたえがもたらされる。

なんなのだ、この梅干しは!俺の知っている梅干しは、やたら酸っぱいだけのグニュグニュしたよくわからないものでしかなかった。しかし、このおばちゃんの作った梅干しは、俺に優しい安心感さえ与えてくれる。


そして安堵感に包まれながら、30秒ほど、ゆっくりと咀嚼して、それを飲み込んだ。

「…ハァ~~」

思わず、ため息のようなものが漏れる。おそらく、それがため息なのだとしたら人生で一番幸せな溜息だろう。そう思えるような満足感だった。



結局、食べ終わるのには40分ほどかかってしまった。

一口ごとに口の中に広がるやさしいせかいが、俺の時間だけをゆっくりにしてしまったかのように、穏やかな気持ちにしてくれた。久しぶりにだが、ひとりで、静かで、豊かで…。そんな朝食だった。

そうだ。食器を返さねば…。


「すごいゆっくり食べてたけど、大丈夫だったかい?やっぱり苦手だった?すまなかったね…」

確かに、我ながら誤解を招いてしまっても仕方がないほどゆっくり食べていたかもしれない。おばちゃんのメシが美味くないわけがないのに、疑ってしまった俺が謝るべきだろうに。

「いえ、全然そんなことないです。本当に、ほんっとうぅぅに、美味しかったです。毎朝作ってほしい位に」

「えっ!?」

あれ、おばちゃんが赤面してしまった。

「な、なんだよお!そんなプロポーズみたいなこというんじゃないよ!全く!からかわないでおくれ!」

やはり怒らせてしまったのか…。反省。

「すいませんでした。もう言いません」

「そ、そうだよ。それでいいんだ…」

なんだか残念そうな顔だ。今度からちゃんと気を付けないとな。

「じゃあ、今日から来週までは安静にしてるんだよ?度を越さない限りは、プリンなんかの食べやすいおやつも作ってあげるから。しっかり休みな」

「はーい。あ、っと。ごちそうさまでした」

「はいよ。じゃあねー」

プリン…食べたことがあるにはある。けど、おばちゃんのつくるものなら絶対に、ずえぇったいにそれの何倍も美味い。今日にでも頼んでみようかな…先生の分も合わせて。

ひとまず部屋に帰ろう。んで、昨日の進捗を聞かないとな。


おい。起きてるんだろ。聞こえてるか?

『おう。起きてるぞー』

部屋に戻ったら、一応昨晩の成果とやらを見せてくれ。頼むぞ。

『ん。分かった。…それにしても、おばちゃんのメシは美味いな。これだけでも、ここにいる価値があるってもんだ』

それは同感だ。本とメシだけが俺の癒し。

『言えてるぜ。まあ、俺も今度から手を貸すからな。少しでもお前の学園生活がマシになるようにな』

お前、良い奴だな。

『今更気付いたのか?遅いぜ』

こんな風にくだらないことを話せるのも、久しぶりだな…。また心配されるから伝わらないように考えてるけど。実際、話す相手は教員、特にリコ先生くらいだったし、バカ話なんてできる相手は居なかった。俗っぽい話ができる相手がいると、自分の悪いところも認めてもらえてるような気がして、安心する。




部屋に帰ったら、ベッドに横たわる。食べてすぐは体に悪いって?ケ、ケガしたばっかだからいいんだよ!

『んじゃ、俺にできること発表会だ!まずはこれだな』

そういって空中に結界を出す。いち、にー、さん、しー、ごー、ろく…瞬く間に立方体ができた。

マジか、お前凄いな…。一気に6つも結界張るなんて、教員クラスだぞ。

『そうか?じゃあこれは?』

そう言うと、立方体がみるみる小さくなっていき、最後には点になって消えた。

何だこれ!お前、作った後の結界を動かすなんて、教員でもできないぞ!

『え、そうなん?お前でもできるんじゃないか?俺でもできてるんだし。やってみろって』

えー…。ムリだと思うんだが…。

俺が一度に張ることができる結界の枚数は2枚。それでも、同じ向きに、更にかなり強度を落としてじゃないと張ることが出来ない。少なくとも最後に魔法を使った時…アインに吹き飛ばされるときまではそうだった。

まあ、やってみるか。出来たら良いな。位の気持ちだけど。



結論から言おう。


出来た…。

出来てしまった…。

これまでのが何だったのかと思えるくらい、簡単に出来てしまった…。

6枚以上も余裕。いくらでも出せるし、しかも魔力が減った感じも特にしない。明らかに異常事態だ。

でも、頭の中に誰かさんが住み着いている時点で、かなりの異常事態だし…。

もういいや。深く考えまい…。考えてもどうしようもない。色々調べものしてから考えよう。


『な?出来たじゃん』

お、おう…言っとくけど、こんなのおかしいからな?多分、宮廷魔法使いでも出来ないレベル…。

『そーなのかー。でも、もっと色々できるぞ。』

ゑ。マジか。

『おー。やってみると、平面じゃなくても球体みたいな曲面も出せるし、結界の中に結界を出せたりするし、色々と使えるぞ。試しに3時間出しっぱなしにしても平気だったしな』

あ、これ色々とダメな奴だわ。

おい、絶対人前で使うなよ!絶対だからな!

『わーってるよ。話を聞いた感じ、この世界の常識じゃあ考えられない事なんだろ?お前が、その、やられてる時に、普通に結界張って助太刀くらいはしようと思うけどさ。別に有名になったりとか、そういうの興味なさそーだし。目立つようなマネは控えるって』

おう。それならいいんだ。

そういえば。お前、名前思い出せないんだろ?いつまで一緒かは分からないし、ずっと「おい」って呼ぶのもアレだから、名前決めようぜ。

『お、良いなそれ。俺も考えようかな…』

んじゃあ、話し合おう。なんか案あるか?

『んー。俺の記憶には、お前の名前と同じ金属があるんだ。クロムって。だから俺も金属の名前にしたい。んで、お前の知ってる金属の名前だとさ、混同しちゃうだろ?だから、俺の知ってる金属の名前言っていくから、お前が知らない奴の中から選ぼうと思う』

ん。いいぞ。でも長いのはナシな。メンドい。

『それもそうだな。お前としか話さないのに、無駄にカッコよくて長い名前でも不便だし』


話し合った結果、コイツの知ってる金属は結構この世界の物と被ってるらしい。軽く話してみたら、性質なんかも似通っている。鉄なんてその最たる例だ。

ただ、コイツの世界だと、ミスリルやアダマンタイト辺りは想像上のモノらしい。ミスリルなんて魔法金属と言われてるくらいだ。魔法の実在しないらしいコイツの世界じゃなくて当たり前、あっても魔法が使える奴がいないからそれがミスリルだと分からないだろうし。

あと、人名とは思えない感じの金属を除外して、最後に残ったのがコレ。

『コバルトか~。カルシウムやカリウムはこの世界にはそれが金属とか栄養って概念がないみたいだし、仕方ないとして。コバルトもちょっと名前としては微妙だけどなぁ…』

そうか?じゃあ一文字取って「バルト」とか?

『なんかそれはヤダな。重そう。どうせ一文字取るなら「コルト」の方が良い!』

ん。じゃあ「コルト」でもういいだろ。正直飽きた…。

『飽きたってお前…俺もだけどさ。煮詰まって来たし、今後はコルトって名前でいいよ』

というわけで、誰かの名前は「コルト」に決まった。


これからよろしくな。コルト。

おう。こっちもよろしくな。クロム。

やっと名前決まった…。

作者の中では、「クロム」ときたら何となく「コバルト」なんですけど、人の名前としてはしっくりこなくて…。

一文字抜こうと思ったんですが、

バルト→重そう、そして物理的に強そう。ノリ軽めだし、物理的には何もできないからナシかな?

コルト→んー、ギリセーフ?

コバト→あんちゃん!俺はどっちかというとマリア派d(ry …というのは置いといて、女の子の名前だと思ってしまうのでナシ!

コバル→人名…か?語感が良くない気がする…。それに最後に「ト」が無いと男っぽさが出ないなあ…。

というわけで「コルト」にしました。

これからも2人をよろしくお願いします。

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