表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
運命と交戦の剣士達  作者: 高城連乃助
7/61

私は諦めない。

 何も言えず、ただ茫然とその場に座り続けるリナの首をグモリスは掴み、そのまま後ろの壁に押し付けた。

「グモモモモ痛てぇか?苦しいか?グーモモモモ。」

 時折、笑い声を交えながら、リナの首を少しずつ締めていく。

「てめぇの失敗を二つ教えてやるよ。一つは判人に関わった事、もう一つは、俺様に出会ってしまったことだぁ。」

「うぅ・・・・あぁ。」

 体を捩り、何とか抵抗するリナに、

「諦めろ、てめぇみたいなひ弱な奴が何をしたって無駄だ。」

リナの意識が少しずつ薄れ始める。


 私、死んじゃうのかな?このまま・・・・何も出来ないまま。

 最後まで、誰かに頼るしか・・・。

 ごめんね、皆。ごめんね、判人。ごめん・・・ね。

 

 そんな時だった。遠くから誰かが叫んでいる。

「最後まで諦めちゃだめだよ、お姉ちゃん!!」

 判人?レイノスさん?・・・違う、あの声は・・・そうだ、私は。

「最後まで、私は、諦め、ない。」

 苦し紛れにグモリスの手首を掴んでいたリナの手が突然、白く輝きだした。

「グモ?・・・!?」

 パッと手を話し、間合いを取るグモリス。

「これは・・・・。」

 モニターを見ていた黒葉圭語が思わず立ち上がり、満面の笑みを浮かべる。

「ふふふ、これは、すばらしい。」

「あれは、まさか。」

 アイナにも思い当たる(ふし)があった。今、リナに起こっている現象こそ、

「そう、これが『心の能力』としての覚醒の瞬間、ふふふ、美しい。そして、今、あの場所にいる人の中で、恐らく彼女に勝てる人はいないだろうね。」

 若干、狼狽(うろた)えていたグモリスだが、

「グモモモモ、『心の能力』だか何だか知らねえが、弱者は弱者に変わりねぇ!」

 レイノスの時の様な、ロケットダッシュをするグモリスに判人が呟いた。

「・・・馬鹿が。」

「今度こそ、終わりだぁ!・・・・!?」

 一瞬何が起こったのか、グモリスを含めて判人達にも分からなかった。

「グモァ!」

 右肩を切り込みが入り、傷口を抑えながらグモリスは息を荒くしながらリナを見て、

(グモモ・・・・、何なんだこいつは。さっきとはまるで別人みてぇじゃねぇか。)

 今度は逆にリナがグモリスに向かっていき、完全に攻守が逆転している。

(心の能力・・・・、これほどとは。)

 モニターを見ている黒葉圭語は(あご)に手をやりながらニヤニヤしている。

「アイナさん。」

 後ろから声がして、アイナが首だけを向けるとユウジが走ってくる。

「遅い!一体何をしていたの?」

「すいません、来るまでに少々手間取ってしまって。・・・あれは!」

 ユウジは黒葉圭語、ではなくモニターに映るリナの姿に驚きの声を上げる。

「あれは、『心の能力』。」

「えぇ、そうよ。あの子覚醒したんだわ。でも、そろそろ・・・。」

 アイナの心配が的中し、リナは突然その場に片膝を着くのを見て、黒葉圭語が説明をする。

「心の能力はスポーツ等でいういわばゾーン状態にあり、彼女は今、おそらく考えているより先に体が反応しているんだ。しかし、タイムリミットは必ず存在し、さらにその反動も大きいんだよ。」

 グモリスは再び笑顔を取り戻す。

「グモモモモ、焦ったぜ。だがな、今度こそ、終わりだぁ!」

 武器を握り直しリナに向かって振り下ろそうとした時、

「・・・・そうはさせねぇよ。」

 背後から、声がして恐る恐るグモリスが振り向く前に、

「終わりは、お前だよ。」

 判人の一撃がグモリスを切り裂き、

「グモォア、判人、何故・・・だぁ。」

ドシャっという音と共に、グモリスがその場に倒れた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ