・・・大丈夫、だよね。
「うわぁ~、すごい人。」
「まぁ、いつも通りの暇人だらけ、だな。」
ロメックスから北東に二キロの地点にある、今大会の会場となる洞窟の前には既に多くの人が集まっているのを見て、リナと判人がそれぞれの反応を見せる中、マイクを持って舞台の上で、テンション高く、
「みなっさま~、お待ったせしました~。今回、誠に勝手ながら進行役を務めさせてもらいます。ダイスマンで~す。」
ちょい小太りで、シルクハットを被り、マントまで着けているダイスマンが説明を始める。
「みなっさまには、この先にある七つある扉の中から一つを選んで頂き、その向こうに待つボスを倒していただきます。そのステージを今回は七個用意させていただきました。そして・・・、今回のお宝は~」
ダイスマンは、机にかけられた布に手を掛けて、その布を取り去ると待ちわびたようにその物は輝きを放つ。
「セブーン、カラー・ダイヤモンドだー!!」
それに対して、参加者の方からも「おぉー!!」という歓声が上がる。
「では、皆さまご武運を~。」
そう言うとダイスマンはお宝を持って奥の方へ行ってしまった。
〈第一ステージ、アニマルチョイス〉
「アニマルチョイスってことは、動物と戦うって事。」
「まぁな、と言っても。」
と判人が扉の方を指さすと、野太い雄叫びが聞こえてくる。
「・・・・大丈夫、だよね。」
「あぁ、第一ステージだしな、余裕だろ。」
扉と参加者の間にダイスマンが立ち、
「それでは皆様、お好きな扉をお選び下さい~。」
参加者がそれぞれの扉の前に立ったのだが、ほとんどの人がある人物の元に集まり、リナ達と同じ扉を選んだのは他に三チーム、六人だけだった。
「では、スターートです!!」
判人が扉のノブに手を掛けて開き、その向こうで待っていたのは、二本足で立ち、鎧を身に着けて、手には巨大な斧を持っている黒毛のオオカミで大きさは人間の三倍はあるだろう。
「アックス・ウルフ、か。」
判人は敵を確認してからいきなり、リナの後ろにまわると背中をポンっと押した。
「え、・・・・なに?」
その行動が理解できないリナは驚いたが、彼は平然と、
「あいつ一匹なら、お前でも十分倒せるから、頑張って。」
頑張っての部分だけがものすごく棒読みで背中を押されたリナが一歩前に出ると、アックス・ウルフが天に向かって雄叫びを上げると、リナ達の方へ向かってきた。
「ひぃぃぃ~。」
すっかり気が引けたリナを見て、はぁっと溜め息をつく判人の隣から一人の男性がアックス・ウルフに向かっていき、一つ蹴りを入れて軽々と吹っ飛ばした。
「ここは、僕に任せてもらおうかな。」
長い槍を持った青髪の青年がニコッとこちらに笑顔を見せる。
「やる気があるのは良いが、本当にやれるのか、レイノス。」
腕組みをして偉そうにする判人はレイノスという男性に問うと、着ていた上着を脱ぎ捨てて簡素なシャツ姿になると、
「時には、活躍したいからね!!」
そう言いながらアックス・ウルフに向き合って走り出した、その十分経過後・・・・。
「グォォォォ・・・・オォォ。」
と言いながら、アックス・ウルフは後ろ向きに倒れた。
「ふぅ、・・・・疲れた。」
上着を拾い上げて戻ってきたレイノスに他の人から「お疲れ。」等という労いの言葉が掛けられているが、判人は気になっていることがあった。
〈レイノス、あいつの武器は確か・・・・いや、俺の思い違いか。〉
「じゃあ、次の部屋に行こうか」
いつの間にかレイノスの先導に付いて行くと、次のステージの前ではダイスマンが待っているのだが、判人が周りを見渡して、気付いたことを口にした。
「人数が、減ったか?」
「八チームの脱落を、残念ながら確認しました。」
ダイスマンがにやにやしながら、質問に答える。
「脱落者はどうなるんだ?」
「どうなるかは、皆様のご想像に・・・・お任せしますよ?」
シルクハットの端を持ってニヤッと上目づかいで判人を見上げた。
「・・・・。」
「では、第二ステージを始めましょ~う。」
高城連乃助です。いよいよ?「チョイス・ドア・カーニバル」が開幕しました。ここから、どんな展開が待っているのか?そして、判人が気になるレイノスの事とはいったい何なのでしょうか?