何なのよ!!もー!!
深呼吸をしてみたり頬を抓ってみたりしたが、どうやらこれが現実での出来事であることを理解したリナを判人が呆れた目で見ている。
「じゃ、そろそろ森の抜けようか。」
「そ、そうね。」
二人で並んで歩きながら、判人が話を切り出した。
「ところでお前も扉を通って来たって事は、能力者なんだな。」
「の、能力者?」
「あぁ、そうだよ。ちょっと手を貸してみろ。」
言われるがままに右手を出すと、判人は自分の指にはめていた銀色の指輪をリナの中指はめようとしたが、それは、何かに弾かれたように少し離れたところに飛んで行ってしまった。判人がそれを拾い上げながら、
「なるほどな。まぁ詳しいことはまた今度教えるよ。」
「う、うん。」
その後、判人はこの地の事やその他、簡単なこと以外は何も教えてはくれなかったが、そんな二人を木の上から見ている者が一人。
(キーシッシッシィ、『心の能力者』の女か、これは面白くなりそうだシィ。)
〈ファルメスタ最大の街 ロメツクス〉
「トレジャーハンター・ホームズ?」
「何をするにも、金は必要だからな。」
判人と共に建物の奥へ行くと、肩まで伸びる銀髪と整った顔立ちとスタイルをした女性が迎えてくれる。
「フィーナ。新人を連れてきた。」
「はーい、あら可愛い新人さんね。フィーネスト・コロナです、よろしくね。」
「車井リナです。リナって呼んでください。」
「分かったわ。ところで、あなたは何を見付けたいのかな?・・・あ、ペーパー持ってる?」
「ペ、ペーパーですか?」
ティッシュなら確か制服の上着のポケットにと探ってみると、見慣れない紙が一枚入っている。
「あ、それそれ」
開いてみると、『7(セブン)カラー・ダイヤモンドと書かれている。』
「じゃあ、この大会に出てみたら」
フィーナが奥から出してきたのは、大会の参加用紙だった。優勝賞品は何と、リナが探している例の物。さっそく名前を書き込むとそこには名前を書く欄がもう一つあり、彼女の提案で判人を誘いに家を訪れた。
(また、留守にしているのかな?そういえば、前にも同じようなことが・・・)
それは、現実世界での出来事であり、判人の家を訪れた後にこの世界に来たことだった。しかし、今回は違い彼は家に居た。
「何か用か?」
「これ、一緒に出てくれない。」
だが、判人は用紙にさらっと目を通すと、それを返してきて、
「断る。」
思わぬ発言にリナは驚いた。
「ど、どうしてよ。良いでしょ別に。」
「今度からは、内容をよく読んでから来いよな。」
そうしてバタンと音を閉められた扉の前で、近所迷惑も考えずにリナは叫んだ。
「何なのよ!!もー!!」
高城連乃介です。やっと、次話からバトルに入る?かもしれませんのでお楽しみに。この先、どんどん文字数が増えて、読むのに時間が掛かるかもしれませんが、最後まで読んで頂ければと思います。