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さんぼんあしのねこ

作者: 小さな教会の神父
掲載日:2013/10/02

「ねぇ、にんげんっていいいきものなの?」


「そうねぇ……いいものもいるし…わるいのも、いるわ」


――とうに忘れた、昔の情景。

私は黒猫だ。


町の人間からは、リーヴァという名を貰っている。



私は、気が付いたらこの町にいた。


この町の人間達はとても親切で、傷ついていた私を熱心に看病してくれた。



この町には、他の猫がいなかった。


だから、恐らく…私はここで生まれたのではないのだろう。


母親も父親も知らない。



私には、足が三本しか無い。


事故で失ったのか、生まれる前から三本脚だったのか…。


母親なら何か知っていたのだろうな。



私はどうやら、他のどの動物よりも少々賢い様だった。


文字も読めるし、色も分かるからだ。



今日は、墓へ行った。


「おやリーヴァ…お出かけかい?」


年老いたシスターが私に声をかけた。


私は一つだけ鳴くと、墓をパトロールした。


同じ名前の墓ばかりだった。


私と、同じ名の。



帰ると、住処の前に食べモノが置いてあった。


ありがたい……今日は、これを食べて寝るか。



次の日は…子供達と石避けゲームをした。


子供達が石を投げてくるので、私はそれを避ける…単純なゲームだ。


勿論、当たれば痛いし、最悪の場合は怪我をする。


だから必死になって避けるのだ。



やれやれ…酷い目にあったよ。


まさか尻尾に当たるとは。


幸い、近くにいた医師が傷を見てくれた。


大事にはならない様だった。



次の日は、皆と泳ぎに出かけた。


私は魚を追いかけて夢中で泳いだ。


「おーいあんまり遠くへ行くなよー」


大人の声に従って、すぐに戻った。


ついでに、途中で魚を捕まえた。


以外と大きかったが……大人は喜んでた。


良かった。



次の日は……体調が悪かった。


何故だかわからないが、だるかった。


風邪か?



次の日は…更に酷くなった。


村人が


「風邪にはネギ」


だと言っていたのを思い出した。


丁度ネギが置いてあったので、齧った。


食べられなかった。



次の日には既に、動けなくなった。


昨日のネギのせいかはわからないが……体がしびれていた。


もう何も食べる気力が無かった。


とにかく眠い。



次の日……私は想った。


多分、私は死ぬのだろう。


まぁ、それでも良いと思った。


人間達に助けて貰わなければ…もっと酷い死に方をしていただろう。


ああ、やはり……人間は、良い生き物だ。




―――次の日、木のうろから黒猫の死骸が見つかりました。


とても、穏やかな表情だったと言います。


ただ一人の年老いたシスターだけが涙を見せ、他は無表情でした。


男達は小さな墓穴を掘り、そこにそっと横たわらせました。


子供達が、お供えをしました。


………ネギや、青背の魚を。


シスターはそれを見て、また、泣きました。


墓石には、他のお墓と同様に『リーヴァここに眠る』と書かれました。




誰も知らない町での、誰も知らない物語。

名前…リーヴァ   種族…黒猫


三本脚の猫。故意に起こされた事故で足を失いました。

人間の事をとても愛しています。そう、とても。

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― 新着の感想 ―
[一言] はじめましてireneです 人間の残酷さと優しさ 両方がうまく書かれていて感動しました これからも応援させてください 失礼しました(ペコリ)
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